第十一話 召喚ネット世界
ーー数ヶ月前---
夕刻の少し忙しくなる前の「深淵の海豚亭」
女給たちも仕事場に集い始め仕事の支度を終えて戦闘の始まる前の静かなひと時を軽いお酒と談笑で場を華やかせている。
そんないつもの夕暮れ時の海豚亭のいつもの一角のテーブル。
4人はいつもの席についていた。
上機嫌のリーの前には召喚時麻雀卓にぶら下げてあった自前のノートパソコンが置かれていた。
リーにしては珍しく少し興奮しているようで勢いよく立ち上がり
「さて、諸君。俺たちが文明から切り離されて幾月かが経過し、そろそろ文明が恋しくなってきたころだろうと思う」
リーにしては珍しい語り口調で場の3人に話しかける。
「なんだ、リー。趣旨替えか?ダイみたいになってんぞ?」
サマジがニヤニヤしながら茶化す。
「俺はあんなメガネはかけてないぞ?」
ダイは真面目な顔して突っ込む。
「そこじゃねーよ!!」
すかさず突っ込むサマジ。
そんなつまらない漫才をものともせずリーは話を続ける。
「ふっふっふ。君たちぃ。そんなこと言っていいのかね?こいつを見てくれ」
リーはテーブルの上のノートパソコンの画面を見せる。
そこにはamazunのホームページが移されていた。
「ほぅ・・・」
「なんだただのHPじゃん」
「なつかしいねー」
それぞれ気のない回答が返ってきたのにリーはがっくりする。
「おまえらね・・・・これ見ておかしいと思わないの??」
「AmazunのHPなんか変わった?」
「あ、お気に入りに新刊が出てるぞっ!!リーも買ってたんだな!!これ面白いよなあー」
流石のリーも突っ込む気にならなくなって頭を抱えている。
「リー、大した快挙ではないか。どうやってネットに繋がったのだ?」
ダイはテーブルで腕を組みながらボケてる二人をスルーしてリーの望む回答を答える。
リーはやっと来たかという顔で立ち直る。
「さすがはダイ!!普通気付くよなぁ?そう。この度、召喚実験の賜物であっちの世界の俺のサーバーとリンクすることに成功したのさ。そいつを踏み台にしてネットに繋がったというわけだ」
リーはやっとこ踏ん反り返る。
「ぉぉ!!そうだったのかぁ。リーすごいねぇ」
「い、いや、オレは気付いてたぞ!!わざとだわざと。」
サマジは焦りながら答える。
「ハイハイ。大体このPC自体におかしいとは思わなかったのか?」
リーはノートパソコンを画面側から背面へ回すとそこには謎の幾何学模様のような魔法陣が描いてある。
「遅咲きの厨二病かと思ったので突っ込むまいと」
サマジが真顔で答える。
「ぼくはそんなこと思ってないよ。いじめられてるのかと思ってそっとしとこうかと」
コマシは同情するような悲しい顔をする。
「お前らね・・・ここどこだと思ってんだか」
リーは答えた2人を哀れむように見る。
「で?どういう理論なんだね?」
ダイは珍しく真面目な顔して質問をする。
「ぁぁ、まぁ召喚陣に俺のサーバーのIPを混ぜて色々と試行錯誤してみたんだ。そしたらアクセスできてさ。これを踏み台にしてネットワークへ入ったんだ。ちなみにこのノートパソコンを踏み台にしてお前らのスマホでもネットに繋がるはずだ。
ただし、デザリングできる範囲は2メートルくだいだけだからあんまり意味はない,」
「なんじゃそら。意味ねーじゃん,」
サマジはスマホを出して使おうとしてすぐテーブルに投げた。
そこでダイが真剣な顔で質問をする。
「向こうとコンタクトが取れるのかね?SNSやメールを送ることができるのか?」
リーにやっと笑い、首を横に振った。
「残念ながらダウンロードだけだ。こちらからのアクションが届くことはなかったよ。メールも送れなかった。受け取れはしたんだがね。」
「そうかそれは重畳、重畳」
ダイは満足げに椅子に深く座りなおす。
「何言ってんだ。向こうとやり取りできればうまくすればいろいろとこちらに喚ぶこともできかかもしれないのに」
リーは残念そうにそう言った。
「それがよくないから重畳といったのだよ。できる限りこちらの文明文化にへんな混ぜ物をしたくない。これは最初にみんなで決めたことだろう?」
ダイは諭すようにリーに話す。
「まぁな」
リーも相槌を打つ。
「とりあえずネット開通記念だ。リーのサーバーにあるアニメを見るとするかね?
なにを見るのが一番だと思うね?」
ダイは一同の意見を求めた。




