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異世界召喚された勇者たちは酒場からでない。  作者: 新居部留源
昼の情景~ミリガンティア市場~
10/32

第九話 昼間の勇者たち

第2章スタートです。

ほんとに予想以上に難航しております。

区切りが難しく一話一話が短くなっております。

読みやすさ的にはこの方がいいのか?

とある午後の昼下がり。今日は快晴で大通りは行き交う人であふれている。

ミリガン王国の首都たるミリガンディアは魔王軍との国境に近く、現在戦闘は散発的なものの

国境砦には傭兵として雇われる冒険者も増え、それに合わせて各地から商売のにおいを嗅ぎつけた行商人などでミリガンティアは軽い好景気となっている。

夜こそが主戦場の歓楽街は昼のさなかはひっそりとしており

深淵の海豚亭も夜の騒がしさはどこへやらといった風情でシンと静まり返っている。


店内は昼ごはん時を過ぎたためまったく客はなく、忙しく立ち回る可憐な女給たちも今はいない。

カウンターにはコック見習いの若者が店番の片手間に今夜の仕込みの野菜の処理をしている。


そんな静かな店内のいつもの一角に男が2人テーブルに座っていた。

小太りの男、ダイはだらけた格好で浅く椅子に座り暇そうに天井を眺めながら足元の器具をスコスコと踏んでいる。

もう一人の男、眼鏡をかけたリーはここの酒場には似つかわしくないノートパソコンと睨めっこをしながらなにやらカタカタと打ち込んでいる。

その足元ではダイと同じ器具をスコスコと踏んでいた。

「なぁ。コレ、なんとかならんのか?足がだるくなるぞ」

ダイは足を止めずにリーにだるそうに抗議する

「仕方ないだろう。こういう仕様なんだから。しっかり踏んで魔力を電力へ変換してくれ」

リーは視線をパソコンから動かさずに答える。

「だいたいどういう仕組みなんだ?なんで魔力が電気になるのか?なぜ足で踏まねばならないのか?その器具の造りはどうなってるんだ?」

ダイは次々と疑問点を指折り数える。

「んー説明は難しいなぁ。俺にもよく原理はわからん。魔法理論、魔法道具理論、人体の不思議

俺たちの世界の電気の理論。まーいろんなもんを混ぜ繰り回してみたらこうなった。としか言いようがないなぁ」

リーは手を止め自分の発明品が謎であることを告げた。

「ひとつだけ聞いていいか?」

「なんだ?」

ダイはひょいと姿勢を正しリーと向き合う。

「こいつを量産したり運用することはできないんだな?」

リーは眼鏡を押し上げふふん、と笑うと

「無理だな。一点ものだ。なぜかできた。としか言いようのないものだ。しかも多くの人の手を借りて作ったものだからな。同じように作るのはたぶんもう不可能だ。ちなみに、我々の持ち込んだパソコン、スマホ、麻雀卓。いまんとここいつらの充電ぐらいにしか使い道がないな。」

きっぱりと言い切る。リーはまたパソコンへと視線を落とし作業を再開する。

ふぅむ。ため息のような相槌を打ちつつ

ダイは足で踏んでいる器具の繋がれた先の箱に目を送る。鉄ではない金属でできた綺麗な正方形の箱がある。角にぶつかってもいいように角部分は木製のカバーがつけてあり危険がないように配慮されているのがリーらしい作りだ。

箱の側面にはコンセント口が作られておりこれもプラスチックなどではなくなにやら木に漆を塗ったような感じで作られている。

「だいたい俺たちは魔力はあるのに魔法は使えないというのがいただけないな」

ダイはいつものように不満を述べた。

「こればかりは仕方ないさ。こちらの人たちですら魔力はみんな持ってるが魔法を使う素質がある者しか使えないんだからな。神様の間違いで死んで連れてこられたわけではない俺たちに特殊能力がないのは仕方ないだろう」

リーは手を止めずにてきとーに返事をする。

「ま、そうだな。その方がいい。やはり楽に強くなるほうなモノより断然いい」

ダイは意地の悪いにやけ顔でまた天井を仰いだ。

「俺は楽に超魔法が使えてレベル制で道歩けば女の子が股を開くような簡単な世界が良かったがね。世界の一つでも救ってやろうって気になるじゃないか」

リーはつまらなそうに手を止めて肘をつく。

「まぁそういうな。なんだかんだパソコンが使えたりネットに繋がったりはしてるのだ。これはこれでイージーではないかね?」

ダイはニヤリと笑みを浮かべリーを見て昼間からビールに手を伸ばしグイッと煽る。

「まーね。召喚術の解析の賜物で上手く向こうのネットとつながったからなぁ。これもいまいち理屈がわからんがこれはこれで助かる。残してきた自前のサーバーに繋がったしな。いろいろと重宝はするな。面白い副産物もあったことだし」

リーは思い出し笑いをしながら視線を上げる。

そこにピポン!とメッセンジャーの通知音がする。

「おっと、噂をすれば、だ。ヤっさんからメッセージだぞ」

リーはにやけ顔でダイに報告する。

「ふふん、例のアニメの感想かな?」

ダイはいい暇つぶしがきたかと自らのスマホを取り出しメッセジャーを起動した。

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