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番外編3の1 メイの追想

メイ視点での話。

嬉しい事があった(あとがきを見てください)ので色んな所加筆したので、もしかしたら雑な部分があるかもしれませんが、いずれ修正します。


 わたしが産まれた村は至って平凡な所だった。周りを森に囲まれて、広い牧場があるだけの、平和な村。


 その中でわたしは至って普通の家庭で育った。


 余り大きな村じゃないから同世代の子は何人か居たけど、多いとは言えなかった。そんな中、わたしが最も仲が良いのは二人の男の子だった。




 ある日、村を歩いていたわたしは何かの打ち合う音が聞こえた。木こりが斧を使って薪を作るのとも違う、何か硬い物同士がぶつかる音。


 つい気になってお気に入りの人形を抱えつつ、音のなる場所へ向かう。


 そこには男の子が二人いた。

 二人とも木の棒を持って互いに何度も何度も激突する。


 その姿にわたしは初め驚いた。だって二人とも拙いけれど、まるで本物の兵士みたいな動きだったから。


 そして、初めは怖かった。わたしは誰かが傷つくのも傷つけるのも好きじゃなかったし、実際に戦いなんて見たことない子どもだったから。


 やがて片方の赤い髪の男の子が、もう片方の青い髪の男の子の木の棒を飛ばしてその子が泣き出した時、わたしの体は自然と動いていた。


『こらぁー! 何をしているの!? いじめちゃダメだよ!』

『うぉっ!? だれ!?』

『……えっ!?』


 突然飛び出してわたしに二人はびっくりしていた。

 けれどわたしは青い髪の男の子を庇うように赤い髪の男の子の前に立っていた。



 よく聞けば二人は幼馴染で、何でもしゅぎょーをしていたらしい。いじめてた訳じゃないって。泣いた男の子も、悔しさから泣いただけだったらしい。二人は笑いながらそう教えてくれた。


 つまり、わたしの勘違い。

 恥ずかしい。あの日は顔から火が出るほど恥ずかしかった。


 そんなわたしを二人は慰めてくれた。


 赤い髪の男の子はフォイル・オースティン。

 青い髪の男の子はユウ・プロターゴニスト。


 わたしは二人をそれぞれをフィーくんとユウくんと呼ぶ事にした。


 二人はいつもこの場所でしゅぎょーをしているらしいの。わたしは、怖かったけど二人は真剣に強くなろうとしていたから何も言えず、ずっと見ていた。


 そしてしゅぎょーが終われば二人は本来の子どもらしく遊ぶんだ。

 それに付き合っているうちにいつのまにか、わたしは二人と一緒に遊ぶのが日常になっていた。


『ユウ、あの場所まで競争しようぜ! 勝った方がより勇者に相応しいってことな! よーい、ドンッ!!』

『えっ!? いきなり!? ま、まってよフォイルくんっ!』

『もー、二人とも転んでケガしないでよー』



 フィーくんが先に行き、ユウくんがちょっとだけ遅れながらもその後に続く。フィーくんは力強く、ユウくんは途中コケこうになりながらも彼を追いかける。


 これが何時もの日常。

 二人は色んなことをしては、怪我をして、それでも楽しそうにしていた。


 わたしはいつも、そんな先に行く彼らを見ていた。





 この日常がずっと続く。

 そう思っていた。そう……願っていた。











「は〜ここまで来たらあと一週間で王都に着くな」


 宿に入ってやれやれと態とらしく肩を凝ったとするのはオーウェンさん。でも実際にここに来るまでに苦労した。


 私達は一度魔王軍との前線である通称"トワイライト平原"で魔王軍を相手に戦っていた。前にソドムを襲撃した後の混乱の隙に魔王軍の攻勢が始まった。


 トワイライト平原は人間界と魔族の本拠地通称魔界を繋ぐ巨大な平原。そこは闇と光の狭間であって常に黄昏(トワイライト)が特徴な平原。


 本当にそれだけ。

 草は生えているけど、それ以外何にもない。

 そこで多くの人と魔物が命を凌ぎあっている。命が掻き消えていく。


 個々が強い魔族と体の大きい魔物、それに"トワイライト平原"に常に張り付く八戦将の『砦壁』のせいで多大な被害を受けてしまった。


 勇者のユウくんが来たことで向こうの攻勢を跳ね返したことで一時的に余裕が出来た。向こうは魔界と呼ばれる領域に戻ったけどこっちも攻めいる余裕がないから暫くは立て直しに専念している。

 一旦の魔王軍の脅威が去ったから、私たちは王都に戻るための中間点にある都市モーダに立ち寄る事になった。


「そうだね。此処の所ずっと戦闘ばっかりだったからこうして少しばかり羽を休められるのは嬉しいよ」

「ほんとだぜ。旦那もちったぁ気を抜けよ。戦場じゃ常に戦い続けてきたんだからよ」

「それは、僕は勇者として」

「だとしても、だ。休息は必要だ。肝心な時にぶっ倒れて使い物にならないんじゃ困るぜ」


 オーウェンさんの言葉に確かにと私も頷く。


「ユウくん、私もそう思うよ。最近のユウくんは、ずっと戦ってるか、僅かな休憩の時間も鍛錬してばかりだもん。流石に心配だよ」

「うっ、そ、そうかなぁ。自分ではそんなつもりないんだけど……」

「だーめ! とにかく今日は休息! これは決定事項! 無理したらめっ、なんだから」

「メイちゃんがそう言うなら……」

 

 渋々といった感じでやっと了承するユウくん。

 その姿に私はホッとする。だって、"トワイライト平原"で戦っていたユウくんは鬼気迫るような、自身を追い詰めるような感じだったから。

 この街で休むことで少しでも疲れがとれるといいな。


「それじゃこれから自由行動を取ろうと思うんだけど、みんなは何か反対意見はあるかな?」

「私はないよ」

「あの、わたしもありません」

「ねぇな」

「ないぞ、ユウ兄」


 勇者パーティといっても四六時中一緒にいる訳でもない。やっぱりプライベートの時間は必要だし、それぞれも自由に行動したい時もある。

 ただ、何かあったらいけないからある程度何処に行くとか、自由時間の最中に重大な事があったら後でみんなに話したりもする。じゃないと男女混合のパーティなんてうまくいかないもん。


 反対意見もない事で、一旦この街で自由時間を取ることにした。


「そんじゃ俺はこの街の鍛冶屋でも見て回るわ。ついでにちょっと酒場巡りだ。何、心配するな。帰んのは明日だ」

「おいらもこの街には魔獣使い向けの店があるって聞いたんだ! だからちょっと見てくるよ!」

「ファウくん、一人で大丈夫?」

「大丈夫だよメイ姉! 心配しなくても怪しい店とかにはいかないから」


 ファウくんは昔危うく騙されて低品質なのに高額な魔法具を買わされそうになったことがある。

 だから注意したんだけど自信満々に言うから、私はそっかと笑っておいた。


「それじゃ行ってくる!!」


 ファウくんはそれだけ言うと元気いっぱいに人混みに紛れていった。


「そんじゃ俺も行くとするかな」

「あっ。待ってくれよオーウェン、僕も……」

「旦那、悪りぃな! 俺は女性と酒盛り(これ)も行こうと思ってるから旦那が付いてくると旦那の保護者二人がうるせぇんだ! だから勘弁な!」


 付いて行こうとするユウくんをオーウェンさんが断る。というか保護者って。失礼しちゃうな。確かにユウくんは色々心配だけど私はそんなに老けてないもん。


 そうして去っていったファウくんに続いてオーウェンさんも人混みに消えていく。


 残ったのはユウくん、クリスちゃん、そして私。


「……」

「えっと……」


 ユウくんとクリスちゃん二人は互いの顔を見てはどちらも目をそらす。

 これは仕方がないこと。ユウくんはあの時、クリスちゃんにフィーくんのことで詰め寄った負い目を感じて、クリスちゃんも幼馴染を失った私たちに対して神官として女神が与えた役割について負い目を感じている。


 だから二人とも何処か距離がある。それはあの日、思い出すのも辛いフィーくんを失ってユウくんが一時期引きこもっていた時から。


 今はもう戦闘の時は大丈夫だけど、日常がこれじゃそれもいずれ影響が出る可能性が高いかなって私は思っている。


 ……本当はね。私も、少しばかり思う所はある。

 でもそれはクリスちゃんに対してじゃない。フィーくんの事を気付けなかった自分自身の不甲斐なさと、もっとユウくんを支えなきゃということ。


 ユウくんとクリスちゃんは、仲が悪い訳じゃない。

 ユウくんも女神教とはいえクリスちゃんに責任自体はないとわかっているんだろうけどきっかけが掴めないのかな。


 ……もー、しかたないなぁ。


「ほら、二人とも行こうよ! 私この町のお洋服見てみたかったんだ! だから付き合って!」

「えっ、メイちゃん?」

「わ、わわ」


 二人の手を引き、駆け出す。

 こういう時手を引っ張るのは私だ。何度かフィーくんとユウくんが喧嘩しちゃった時も私がこうやって手を引いてきっかけを作ってあげた。


 だから私は今回もこうやって二人の手を引くんだ。

あとがきのようなもの。

エドワードの件について暖かい感想が多く、とても嬉しく思いました。ありがとうございます。今後の彼の活躍に期待下さい!

ポイントの方も十人以上の方が入れてくださり、久々に日刊の下層に載ってました。嬉しくてつい声が出ました。ありがとうございます。今後とも本作品を宜しくお願いします。

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