迸る雷
トルデォン戦です。
参考bgmとしては「マリオアンドルイージRPG2 ゲドンコ姫第一形態」です。
一応URLを貼っときます。よくわかんないんですけど、なろうの規約に反しているか知らないので良かったら教えてください。
https://m.youtube.com/watch?v=FOSpWMEfRtE
八戦将。
魔王軍の誇る絶対な力を持つと言われている八人の魔族。魔王直属の配下であり、魔族を容易に上回る戦闘能力を有する彼らは一人一人が歴戦の猛者でありその力は一国を容易く滅ぼすとも言われている。事実、此度の八戦将によって滅ぼされた街は三十以上、国に至っては小国だが7つ滅んでいる。
そのうちの一人トルデォン・ロイド。
『獄炎』と並び悪名高い、雷を操りし強大な幹部は上記の内、2つの国を己が雷で焼き尽くした。焼き尽くされた国は今尚雷が不規則に降り注ぐ土地と化し、誰も近づけないでいる。
トルデォンは王都とは別の街にいたにも関わらず、遠い所から聖剣の力を感じ、『迅雷』の名に恥じぬ凄まじいスピードでこの王都へと現れた。
その最中に他の都市を落雷で焼きながら。
降り注ぐ雷は、歴史ある建物も、人の命も根こそぎ奪い去った。
既にソドォムは王都以外の街は壊滅状態に陥っていた。
目の前に現れた存在にユウ達は武器を構えたまま動かなかった。
明らかにこれまでの相手とは画する存在。先程のオドロよりも禍々しく、それでいて強力な気配。
魔王軍幹部、八戦将。
ユウとメイは八戦将を見たのはこれが初めてではない。フォイルと共に『爆風』と呼ばれた八戦将を倒した事がある。その時は正に死闘と呼ぶのに相応しい戦いであった。
常に飛び、上空から異名の爆風と呼ばれる力を使って辺り一面を吹き飛ばしてきた。その余波は石造りの家をも容易く吹き飛ばし、地面も余りの威力に大きく亀裂が入った程だ。更には追い詰められたダウンバーストは7つの竜巻を発生させ、何もかも吹き飛ばしにきた。
それほどの相手なのだ、八戦将は。
だからこそ目の前の相手に対して迂闊に動くことはできない。下手に動けばこちらが死ぬからだ。
「来ないのか? ならこっちから行くぞ! 【雷電砲】」
いつまで経っても動かないユウ達に痺れを切らしたのかトルデォンが先に動いた。
バチバチとトルデォンの腕から球型の青白い光が迸り、収束するとユウ達に向かい放たれる。
「下がってください! 【我らが女神様、その力をお貸しして、あらゆる災害から私達をお守りください。結界】」
神官のクリスティナは、祈りを捧げる事で女神の力を一部その身に宿し、奇跡とも祈祷とも言われる力を行使することができる。
【結界】はあらゆる攻撃から身を守る奇跡である。それは魔物の一撃を防ぐほど強力である。
だがそんな奇跡がガラスが割れるように容易く破壊された。
「そんな、防ぎきれ……!」
「ふっ! 【聖空斬】」
ユウがすかさず前に入り、聖剣で迎撃する。
二つに割れた【雷電砲】は背後の家にぶつかり、炎上する。
「ほぉ! さっきのは女神の力か? だが防ぎきれなかったみたいだな」
「クリスちゃん大丈夫!?」
「は、はい……」
間近に迫った死にクリスティナは腰を抜かした。心配そうにメイが駆け寄る。ユウも未だにしびれる手の感触にどれほど強力な攻撃だったか悟る。
「やれやれ、ほんの小手調べ程度の攻撃を防ぎきれないとは程度が知れるな。こんなんじゃ……あん?」
呆れたトルデォンの背後で炎が上がる。
何処から、とトルデォンは上を見上げる。
「ユウにぃ! 無事か!?」
<ギャオッ!>
キュアノスに乗ったファウパーンが異変を感じ、駆けつけたのだ。キュアノスの口元からは青い炎が立ち昇っている。
「キュアノス! 【魔獣威力向上】……【火炎ブレス】だ!」
<キュルルルル!!!>
『魔獣使い』の力により威力が増幅した連射された火炎ブレスがトルデォンとその周囲に着弾する。
しかしトルデォンに効いた様子はない。
「な、ななな……! ファウパーン! 貴方女神様を奉る教会になんてことするんです!」
「今はそんな状況じゃないだろクリス姉!? そもそも教会既に半壊してたぞ!?」
「なんだと思えばお前、半獣かよ。半端もんが邪魔するんじゃねぇよ、【雷鳥】」
「っ! 【魔獣速度強化】避けるんだキュアノス!」
<キュー!! キュルルルッ!>
トルデォンより放たれた雷の鳥がファウパーンを追って飛び立つ。辛くも避けるもそのまま追い掛ける雷鳥にファウパーン達はその場から離脱せざるを得なかった。
「ちっ、これじゃあ此処にはもう立てないか」
トルデォンは燃え盛る教会から降り立った。剣を構えるオーウェン。ニヤリと挑発する笑みを浮かべる。
「油断したな。八戦将とやら。ファウ坊に一本取られるだなんて」
「油断? ははは! 面白いことを言うじゃないか。人間が。いいか油断ってのは」
瞬きすらしていないのに突如としてトルデォンが消え
「ーーこういうのを言うんだよ」
いつのまにかユウの目の前にトルデォンがいた。
「【雷脚】抜刀【雷撃剣】」
「っ、はや、あぐぅ!」
トルデォンの手からジグザグな雷を模様した剣が雷を伴い、薙ぎ払った。ユウは聖剣で防ぐも大きく飛ばされる。そのまま煉瓦の家にぶつかり瓦礫と砂塵が舞った。
とてつもない威力であった。
だがその結果にトルデォンは不服そうにする。
「ユウくん!!」
「俺の【雷撃剣】を受けても感電しないとは、やはり聖剣は特別性らしいな。やれやれ、忌々しい。『地蝕』がいればその聖剣の素材となったものが分かったかもしれねぇが、まぁ居ないから仕方ねぇな。お前を殺した後にゆっくりと調査するとしよう」
「旦那っ! 【大巌砕き】」
直ぐに事態を把握したオーウェンが先ずは後援の二人から離させようと横薙ぎで大剣を振るう。
トルデォンはそれを剣を持ってない片手で受け止めた。
「ずぉっ!? やるじゃねぇか、予想より重くてビックリしたぜ」
「アンタこそ、オレの一撃を受けて潰れないとかどんな身体してんだッ……!」
「人如きの脆弱な体と同じにするな。それに甘いぜ? 【感電】」
「な!? ぐあぁぁあ!!」
トルデォンの身体が発光する。
トルデォンの身体中から放電する【感電】を大剣を伝って受けたオーウェンが身体から白煙を出して地に伏せる。
「オーウェンさん!? くっ、【マナを糧に、目の前に立ちはだかる障害を打ち砕き給え、放出水破砲】」
「おーおー、水使いか。だがな、あいつに及ばないただの水鉄砲でオレを倒せるはずがないだろぉ!! 【雷電砲】」
「きゃあぁ!」
メイの水魔法をトルデォンは雷で容易く弾く。
更にはそのままの勢いで【雷電砲】が彼女へと当たる。
瞬間メイには身体を焼かれる痛みと全身を針で刺されたような痛みが襲って来た。
対魔法攻撃に強い衣服でなければそのまま雷で全身を焼かれていただろう。
辛うじて息はあるが、今も痺れて動けなかった。
「メイちゃん! 【聖輝剣ーー」
「おぉ、勇者様よぉ。そこはちと危ないぜ? 【感電】」
「あ、ぐぁぁぁぁぁ!!」
「ユウさん!? そんなどうして!」
メイの放った水で濡らした大地に向かいトルデォンは電気を放った。その瞬間離れているユウに電気が伝わる。その事にクリスティナは驚いた。
「水は雷が伝わりやすい。まぁ、雷を扱う者が滅多にいねぇから知らねぇとは思っていたがこうもあっさり引っかかるとは「【主よ、我が前に立ち塞がりし敵を祈りを聞き届けて打ち払い給え、聖弾】あん?」
聖剣ほどではないが、魔に対してダメージを与える『神官』による奇跡。
しかし女神の力を借りた聖なる攻撃はトルデォンに何の痛痒も与えていなかった。
「くっ、これでもダメなんですか……!」
「地力が違うんだよ、小娘が。人間如きが舐めくさってんじゃねぇぞ!」
「くはっ!」
トルデォンがクリスティナを蹴飛ばす。
華奢な身体のクリスティナは何度も転げ回った。『神官』の清楚な白い服が破れ、出血した箇所によって赤く染まる。
「クリス……ティナさん……!」
「テメェもだ、真の勇者さんよぉっ! 無様に地面に這いつくばってないでもっと足掻いてみせろよ。【紫電針】」
トルデォンはしなやかな長い獣の尾を振る。尾からは雷を帯電した針が多数放たれた。もし仮に当たれば蓄電されている雷によって動けなくなる。ユウは膨大な数の【紫電針】を躱すも、途中【雷電砲】を放って来たりして邪魔をする。ユウはなんとかそれを躱すも、トルデォンは笑いながら中指を立てた。
「逝っちまいなぁ? 【地爆雷】」
【紫電針】の帯電した雷が、地面を通じて一箇所に集まり、ユウの足下で放電される。全てはトルデォンの罠であった。
【雷電砲】を避けたユウは空中でそれを避けられない。
地面が光る。
雷鳴が王都に轟いた。
本日も「おっさん船医」更新してます。
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