お茶会
切りどころを見失って少し長くなりました。
ロメオの家は町の外縁部にある所だった。
本当は町の中に花屋の店はあるが、そこに飾る花をここで育てているらしい。
「ここが僕の家だ。少しばかり町の中央から離れているけど良い所だよ」
二階建ての至って普通の家。特筆すべきは、周囲に咲き誇る花の多さだろう。大小色合い様々な花が、彼の庭には咲いていた。
「花屋の花ってここで育てたやつかい?」
「うん、そうだよ。僕の祖母からずっと続いているんだ」
「素晴らしいですね。どれもこれも生き生きとしています。これだけ生命力に溢れた花が森じゃなく町に咲いてるのは珍しいです」
「アイリスちゃんわかるのかい?」
「分かりますよ、わたしはエルフですから。貴方が愛情を持って花を育てているのは見ればわかります」
<カウッ>
アイリスちゃんが慈愛に満ちた目で花にそっと触れる。ジャママも良い匂いにご機嫌で尻尾を振っている。
その様子は俺にはまるで一枚の絵画のように見えるほどの光景だった。
「そうか。『自然の調停者』として名高いエルフにそんな事を言ってもらえるなんて僕も嬉しいよ」
「そうですよ、誇って良いくらいです。それよりやけにベゴニアの花が多いのは貴方の好みなんです?」
「えっ、そ、そうだね」
「なんだい、何か理由がありそうだね。是非とも教えてくれないか?」
軽く小突きながら笑うとロメオはデレデレとした顔で語り始める。おやおやこれはもしかして惚の字じゃないか?
「えっとだね、この町に住むジュリエさんって言う女性の方が居てね。あの、その人は貴族なんだけどすごく親切でお淑やかで見ていて凄く綺麗で優しそうな人だなって思って。前に仕事で花を届けた時に話したんだけど、本当にイメージ通りの人だったんだ。それで、その、その時にベゴニアが好きだって聞いてそれで」
「なるほど、それで彼女にベゴニアの花をあげたくて育てているって訳か」
「ひぃ〜、は、恥ずかしい〜!」
ロメオは顔を覆って蹲る。
聞いたのは俺だけど途中から自分で語っていたんだけどな。アイリスちゃんもそう思っていたのか俺と目が合うと一緒に笑ってしまった。
「はい、これで大丈夫ですよ」
「あぁ、ありがとう」
家に入ると先ずアイリスちゃんがロメオが殴られた箇所へ塗り薬とガーゼを貼っていた。
『聖女』の力抜きにしてもアイリスちゃんの治療技術は頭一つ抜けている。薬も自ら作ったものだが、俺が店で見るポーションとかよりも効能が高く感じた。
「これなら翌日には腫れも引くと思います」
「そうか。本当にありがとう。助かったよ」
「いえ。思ったよりも怪我は酷くありませんでした。殴られたのは不幸でしたけど、傷が浅かったのは幸いでしたね」
「あはは、喜んで良いのか微妙だな…」
「そういえば、あの暴漢達技能は使わなかったんですね。じゃなきゃ、この程度で済むとは思えないです」
「あぁ、それなら簡単だよアイリスちゃん。技能は『兵士』や『騎士』といった治安維持部隊以外が街で使うと通常よりも罪が重くなるからね。魔獣や魔物が出てきた際はその限りではないけど」
技能は、勿論殺傷性のないものもあるが中には『魔法使い』の火魔法や炎魔法のように危ないものもある。
もし街中で喧嘩が起き、双方が技能を使いあって喧嘩すればその被害は当事者だけでなく、他者にも及びうる。だからこそ、街の中での技能の使用は重罪なのだ。
「なるほど〜、でもならず者はそんなの関係ない! と言わんばかりで使う人もいそうですね。嘆かわしい事です」
「そうだね。世の中善人ばかりじゃないから。僕も身に染みてわかったよ。君も一人でなるべくウロつかない方が良いよ」
「大丈夫です! わたしにはアヤメさんがいますから!」
「頼りにしてくれるのは嬉しいけど、アイリスちゃんも不必要に相手を煽ったりはしちゃダメだよ?」
「えぇ〜」
不満そうにするアイリスちゃん。
いいね? と言うと「わかりました」とちょっと不満そうにしながらも頷いてくれた。
「二人は仲が良いんだね」
「そうです! わたしとアヤメさんはそれはもう深い仲なんです! それはもう切っても切れないくらいに運命の糸が絡み合って」
「うん。深い仲なのは認めるけど、その言い方は誤解を招きそうだからちょっと落ち着こうか?」
「えぇ〜…」
「あははっ。そうだ、何か御礼をしないとね」
「いえ、別にそんなの気にしなくて良いですよ」
「いや、それじゃ僕の気が済まない。そうだな…少し待っていて貰えるかい?」
ロメオは立ち上がり、一度家から出た後幾つかの花を抱えて戻ってきた。
「【作成】、あとここに【固定】をして形を崩れないように…」
彼は作業台に座り、花の棘を切ったり、形を整えたりする。その動きはとても手馴れていて、思わず感嘆するほどだった。アイリスちゃんもわぁ〜と興味深そうに見ている。
ロメオは最後に花袋に花を包み込んで、花袋に巻いたテープを切る。
「うん。これで良いかな。はい、どうぞ。これは僕からのお礼だよ」
「わぁ、ありがとうございます!」
「よかったねアイリスちゃん」
「はい!」
<カゥカゥ>
嬉しそうに花束を抱き抱えるアイリスちゃんを見ていると俺も嬉しくなる。改めて礼を言うとロメオは「本当に気にしなくて良いよ」と照れながら手を振る。
「凄かったよ。素晴らしい花束があっという間に出来るからビックリしたよ」
「これが僕の仕事だからね。やっぱりこうして花束を作ってお客さんにあげると喜んでくれるからやりがいを感じるんだ」
ロメオは自らの仕事に誇りを持っているようだった。
ふと時計を見たロメオが「あっ!」と立ち上がる。
「おっと行けない。ジュリエさんに花を届ける約束の時間が迫って来ている! 直ぐに頼まれた品を届けにいかないと。あぁ、でも本当はさっき潰された方が一番の出来だったけど…」
ロメオは残念そうに目を伏せる。
彼の手には暴漢によってぐちゃぐちゃに潰れた花束の残骸があった。
…うん、そうだな。
「付いて行ってあげるよ、またあんな事がないとは限らないからさ」
「そんな、悪いよ」
「教えてくれた礼さ。それにきみがご熱心のその女性に興味も湧いた」
勿論それは建前だ。本命は言った通り彼の身に危険が迫った時に守れるように側にいるためだ。本当に只の因縁なら良いけど、もし奴らの理由があった場合またロメオに危害が及ぶのを防ごうと思っている。
「…わかりました。本当にありがとう。今すぐ花束を作るから待っていてくれますか?」
「あぁ、わかったよ。…………ん?」
ぞくっ。
何だか背後から冷たい空気が。
まさかと思って冷や汗を流しながら後ろを振り返ると先程とは打って変わってじっとこちらを見つめているアイリスちゃんが。
「アヤメさん…? 」
「はっ! 待つんだアイリスちゃん、興味が湧いたといってもそれはあくまで好奇心であり、決して恋愛的な意味ではなくてだね」
「アヤメさんの浮気者ー!」
「へぐぁ」
アイリスちゃんの頭突きが俺のみぞおちに入った。
確かにアイリスちゃんの身長じゃ、メイちゃんみたいに叩く事は出来ないけどこれはこれで痛い。
暫く蹲った俺は、ジュリエとやらの女の人の家に行くまでアイリスちゃんの誤解を解くのに頑張ったのであった。
ジュリエの家はロメオの家とは反対側にあった。少し町から離れた所。周囲にはあまり建物もなく、屋敷というには小さく別荘とでも言える家にジュリエという女性は住んでいるらしい。
「ジュリエさ〜ん! 花屋のロメオです。注文の花をお届けに参りました〜!」
「直接呼びかけるのかい?」
「あぁ、ジュリエさんの家には門番が居ないんだ。だけど僕が勝手に不法侵入するわけにもいかないから、こうして呼びかけてくれってジュリエさん本人が」
「なるほどね」
話していると別荘の扉からではなく庭園の一角から一人の女性が現れた。
「あら、ロメオくん。今日は少し遅かったのね」
「ジュリエさん! ご、ごめんなさい。ちょっと色々ありまして…」
「もう、ジュリエでも良いって言っていますのに」
「い、い、いえ! 貴族であるジュリエさんをさん付けで呼ぶだけでも恐れ多いのに呼び捨てなど!」
ロメオくんと話す女性はクスクスと口に手を当てて笑っている。
何というか儚いって言う感じだ。
「綺麗ですけど…何だか生気が薄いです。里にいた老体になったエルフに似ています」
「こらこらアイリスちゃん失礼だよ」
確かに存在感が希薄という点では近しいものがあるかもしれないが、流石にその言い方は失礼だ。
だが目の前のジュリエさんは気を害した様子はなく、クスクスと微笑ましそうに笑っていた。
「あらあら、可愛らしい子。初めましてわたくしはジュリエと申します。…その耳、もしかしてエルフかしら?」
「そうなのです! この子はジャママで、此方にいるかっこいい人はアヤメさんです!」
<カゥ!>
「そうなの。素敵なボーイフレンドね」
「! あ、アヤメさんはあげませんよ!」
「物か何かかい俺は? 」
だが悪い人じゃなさそうだ。仮面を被っている俺に対してもよろしくねと軽く微笑んでくれている。
「可愛らしいワンちゃんね。撫でてもよいかしら?」
<カゥ>
「ありがとう。ふふっ、賢くて可愛いわね」
ジュリエさんはジャママに怯えることなく撫でる。犬ってか狼なんだけど…。結構肝の据わった女性なのかもしれない。
ていうか、俺も撫でられてないのにこんなにジャママがあっさり撫でさせているのを見ると、なんというかちょっとショック。
「あの」
「ごめんなさいねロメオくん。それで頼んでいたお花の方見せてもらえるかしら? わたくし楽しみにしていましたの」
「は、はい! どうぞ」
「ありがとう。あら、もしかしてこの花…?」
「あ、はい! ジュリエさんの話を聞いて、ベゴニアの花を取り寄せたんです。それで、その、綺麗に咲く事が出来たので是非ともジュリエさんにと。め、迷惑だとは思ったけど」
「いいえ。ふふっ、ありがとうわたくしこの花好きなのよ。嬉しいわ」
ジュリエさんはやんわりと嬉しそうに微笑んだ。それをぽーとした顔でロメオが見ている。
「青春だね」
「甘酸っぱいです。わたしもあんな風に…」
それを微笑ましく見ていた俺たちだけど、ふとジュリエさんはロメオの顔のガーゼに気付いた。
「ロメオくん、その顔のガーゼはどうしたの?」
「え、あぁ。ここに来る前にちょっと襲われてね」
「えっ! だ、大丈夫なの? 」
「うん。ここにいるアヤメさんとアイリスさんに助けてもらったから」
「そう…なら良かった。ありがとう、アヤメさん。ロメオくんを助けてくれて。彼は、大切な友達だもの」
「と、友達…。友達かぁ、うん…」
ロメオは友達という部分に落ち込んでいるが、ジュリエはそんなロメオを見てこれまたクスクスと楽しそうに笑っていた。だけどその目は何処か強い想いが感じ取れた。
おや、これはもしかすると脈がありそうだな。
「もしよければ少しお茶しないかしら? 花を届けてくれたお礼がしたいわ。貴方達もぜひ来て欲しいの。ロメオくんを助けてくれたお礼もしたいの」
「へぁっ!? そ、そんな僕なんかが恐れ多いといいますか、なんといいますか」
「焦れったいです。女性の好意は素直に受け取るべきですよ」
「そうだよ。せっかく誘ってくれたんだからさ」
「あ、あぁ…。そ、そういうことなら…。その、不束者ですがよろしくお願い致します」
「ふふふっ、どうしたのそんな畏っちゃって。本当ロメオくんは面白いわ」
ジュリエさんは楽しそうに笑いながらも「遠慮しないで」と自身の庭園に案内する。
庭園は素人の俺でもわかるほど立派な所だった。
案内された俺たちが座った丸型のテーブル、その上にこの庭園には似つかわしくない、謂わば派手な赤いバラが花瓶に飾らせていた。
ジュリエさんの趣味だろうか。だがロメオには何か心当たりがあるようであった。
「あれ、この花…」
「えぇ、また男爵の人が持って来たの。今月で3度目ね」
「男爵…? それってあの鼻持ちならない自分は偉いぞオーラを丸出しにしている男みたいな奴のことですか?」
「ディアスだよアイリスちゃん」
「そうです、そのディアスって奴です」
「あら貴女、彼に会ったの?」
「妾になれと言われました」
「それは…大丈夫だったの?」
「はい! アヤメさんとジャママが守ってくれました」
「そうなの。良かったわ。彼には困っているのよ。今回この花を送った時にわたくしに婚約を迫りましたから」
「えっ!? そ、それをジュリエさんは受けたんですか!?」
ロメオが慌てる。
淡い片想いをしている彼にとっては聞き捨てならない事態だろう。
「なぁに、ロメオくんたら慌てて。ふふっ、大丈夫よ。わたくしはこの求婚受ける気はないわ」
「えっ、あ。そうですか…よかった。でも、それなら何故花を…?」
「どれだけ相手が嫌いでも、送られたものに罪はないの。粗末に扱えばそれこそわたくしも良くない人になってしまうわ。花に罪はありません。それに彼が求めているのはわたくしではありませんから」
「? あの、どういうことですか?」
アイリスちゃんはよく分からなそうな顔をする。俺も似たような顔をする。
「彼はわたくしに婚約を申し込んだ時にこう言ったのです。『貴様の持つ職業と知識を俺に渡せ。そうすればピュレット家も再興出来る』からって」
「失礼だけど、君の職業は…」
「わたくしの職業は『薬剤師』。といってもそれ自体は珍しくはありません。ピュレット家は『薬剤師』を排出する家系で色んな植物の薬の作り方にほんの少しだけ長けているだけなのに。わたくしは別に家の再興には興味ないわ。こうやって、日がな一日緩やかに過ごして行きたいの。でも、彼からすればそんなの貴族の生活ではないのでしょうね」
なるほど、確かに側から見れば没落した貴族の娘を救おうとしている吟遊詩人が好きそうな話だ。
でもなぁ、あの男はアイリスちゃんを妾にとか言い出した男だ。正直あまり立派な奴とは思えない。何かしら裏があるとしか考えられない俺は少しばかり考え方が捻くれているかもしれない。
別に貴族だから全員が腐敗している訳ではない。中には自ら前線に立って魔王軍に立ち向かう貴族がいることを俺は知っているしね。だけど貴族は強い職業や称号を受け取る事が多い。だから平民を見下してしまうのもまた事実なのだ。
そう、あのメアリーのように。
そして気になるのはディアスの言葉だ。職業もだが、ピュレット家の知識ってなんだ?
そんな全員の気持ちが伝わったのだろう。ジュリエさんは口を開く。
「彼がわたくしを求める理由はわかっています。彼は我が家に伝わる秘薬を求めているのでしょう」
「秘薬?」
えぇ、と頷くジュリエさん。
「先に言っときますけどそれがどういうものなのかわたくしは知りません。彼は信じませんけれども。でもそれがどんな効果をもたらすのかは知っています。確かあらゆる病を治せる秘薬であると」
「あらゆる病を!?」
「まぁ、そんな事はなかったのですが」
「は、え?」
「理由はわかりません。ですが、それが何かいけないものだったのでしょう。国によってわたくしの家族は皆捕らえられました。わたくしのお祖父様は死罪。お父様とお母様も貴族位を剥奪の上国外追放となりました。当時まだ幼かったわたくしは無罪とはなりましたがピュレット家は没落。もはや名だけの存在です。栄光などありません」
その言葉に俺は納得した。
ジュリエさんの家は確かに大きいが、貴族というには些か小さ過ぎる。その理由がこれだったのだ。
「わたくしはもう栄光なんてどうでも良いわ。癒しの秘薬もどうでもいい、そのせいで家族を失ってしまいました。こうして、日がな一日植物に囲まれて穏やかに過ごしたいだけなの。貴族の生活は、わたくしには窮屈すぎるわ」
愛おしそうに、そして慈しむようにロメオからの花束を見るジュリエさん。
窮屈、か。俺もよく貴族との会話やパーティに参加していたからその言葉に少しだけ俺は共感を抱いた。
「ごめんなさい、愚痴みたくなっちゃって」
「い、いえっ。僕はそんなに気にしていません。それに、その。ジュリエさんのことをもっと良く知れて良かったと思っています」
「そう? それならよかった」
ロメオとジュリエさんはその後仲良く話す。
ふと俺はさっきから黙っているアイリスちゃんに目を向けた。彼女は何やら考えている様子だった。
「………」
「アイリスちゃん?」
「は、はい! なんでしょう?」
「どうしたんだい? 黙っちゃって」
「いえ…」
珍しく歯切れの悪い様子のアイリスちゃんに首をかしげる。
何か気になることがあったのだろうか。
するとアイリスちゃんは話しているロメオとジュリエを見た後、ちょいちょいと手を振る。
「ジュリエさんの話を聞くと、ちょっと気がかりなことがあったんです。男爵…つまりあの生意気貴族とクラマーさんが届けていた植物。そして病気を治す癒しの秘薬。それについて」
「何か知っているのかい?」
「はい。ただ、そのわたしの知る限り確かに一時的には効果はあるのですが、それは病気を治す秘薬ではなくて別の」
「二人ともどうしたのかしら?」
ジュリエさんがこっちを見る。
「な、なんでもないです!」
「そう? そうだ、聞いてみたい事があったんだわ。ねぇ、アイリスちゃん、貴方から見て彼の仕事はどう思うかしら?」
「凄く丁寧です。ロメオさんが作った花は全部輝いて見えて、正直わたしの里以外でこれほど花に対して愛情を注ぐ人も、仕事に対して真摯な人も初めて見ました」
「そうよね! わたくしもそう思うわ。そうだわ、ロメオくん。今度わたくし新しい花をこの庭園に植えようと思っているんだけども、良かったら色々教えてくれないかしら?」
「えっ、あ。ぼ、ぼぼぼ、僕で良ければ!」
「ふふっ、ありがとう。よろしくね」
ロメオは顔が真っ赤になりながらも頷いた。彼にとってこれほど嬉しいことはないだろう。
「アヤメさん、また後で話します」
「うん、わかった」
俺たちは純粋にこのお茶会を楽しむことにしたのだった。
夕方。
「では、僕たちは帰ります」
「えぇ。アヤメくん達もありがとう。今日は本当に楽しかったわ。またこの町から出る時は教えてくださいね」
「わかりました。本日はありがとうございました」
「わたしも楽しかったです。またお話しできたらと思います」
「えぇ、そうね。わたくしもそう願っていますわ。ワンちゃんも、またね」
<ガゥッ!>
最後に別荘から出て行く時、ジュリエさんとアイリスちゃんの二人すっかり仲良くなったのだった。
町を出るのはまだ先だけど、また此処に来よう。ロメオくんも一緒に四人で。俺はそう思った。
「…これはディアス様に報告する必要がありますな」
その様子を物陰から仕立ての良い服を着た1人の男がのぞいていた。
ロメオとジュリエ。
いうまでもなくモデルはロミオとジュリエットです。




