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『彼』(仮題)  作者: ちくわ
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夏休み特別編。『夏休みだけど、これは恋じゃない』

夏休みに入って1週間。


『彼』をチラ見しながら手に入れた僅かな情報を頼りに、服や水着を選ぶ。

名前も知らない『彼』に影響されっぱなしの『私』。


『彼』の姿を求めて、駅へ向かう。

ついに、行動まで支配されてきた『私』。

恋じゃないけれど、『私』の暴走は止まらない。

もはや理性に暴走を止める術はない。


怒涛? の『彼』(仮題)第一部最終話。


 ――――7月下旬



 夏休みが始まって1週間。



 この間の買い物でミニを買った。



 水着も買った。



 結局買ったんだ。



 お金無くなった。



 お金返してって『彼』に言いたい。



 自分が欲しくて買ったんでしょ。



 『彼』は無実でしょ。



 『彼』が水着用意しておけって言ったんだよ。



 そうだっけ。



 あの顔は言ってたよ。



 絶対。



 たぶん。



 わかんないけど。



 お年玉貯金使わなきゃ。



 来月のお小遣いまでもたない。



 ていうか暑い。



 なんでこんなところいるんだっけ。



 私が自分で来たんでしょ。



 そうだよ。



 『彼』を見に来たんだよ。



 どういうこと。



 もう1週間『彼』を見てないんだよ。



 そろそろ私が干からびるから。



 駅に『彼』を探しに来たんだよ。



 なんかもうそれって恋じゃないの?



 恋じゃないって言ったよね。



 恋じゃないよ。



 癒しだよ。



 『彼』を見て癒される。



 そして。



 明日への活力に変える。



 迷走してない?



 大丈夫?



 このあいだ、帰りの電車一緒になった日。



 この噴水広場の方向に歩いて行ったのはわかってるから。



 もし電車使うならきっとここを通るはず。



 ただ、めっちゃ炎天下。



 暑すぎでしょ。



 でも、日焼け対策はバッチリ。



 麦わら帽子。



 UVカットマキシ丈ワンピース



 UVカットサングラス。



 日焼け止め。



 完璧。



 『彼』がもし現れても、私だと気づかないはず。



 つまり。



 隠し撮り。



 しかも連写。



 即保存。



 やめて。



 あ。



 虫取り網忘れた。



 なんで。



 何に使うの。



 捕獲する。



 何を。



 いや、言わなくていい。



 『彼』を何だと思ってるの。



 そして、この時間。



 午前10時半。



 どう?



 どうって。



 もし『彼』が電車乗って遊びに行くとしたら。



 お昼くらいからと読んだ。



 根拠は?



 仮に私が『彼』と夏休みにデートするとしたら。



 お昼からを提案するから。



 朝は寝たいし。



 根拠になってないよね。



 噴水広場に来て30分。



 現れる気配無し。



 こうなったら持久戦ね。



 『彼』が来るのが先か。



 私が暑さで死ぬのが先か。



 命かけるんだ。



 どう見ても私、不利じゃん?



 『彼』が1人で現れる保証はないよね。



 もし『彼』が彼女付きで現れたらどうする?



 中学からの彼女と。



 地元で待ち合わせしてとか。



 意外にありえるんじゃない?



 ありえるわね。



 その時は。



 勝負する。



 なにを言っているの。



 スペック勝負。



 どっちが『彼』に相応しいか。



 いや、『彼』が選んで付き合ってる彼女なんだから。



 相応しいも何もないのでわ。



 そうかもしれないけど。



 『彼』だって男よ。



 目の前に、彼女より可愛い子いたら。



 目移りするでしょ。



 結果、私に乗り換えるかもよ。



 いや、待って。



 そんなホイホイ彼女乗り換える男イヤでしょ。



 それもそうね。



 じゃあ、『彼』に彼女いたら終わりってことじゃん。



 それはイヤだ。



 恋じゃないんだからいいじゃん。



 そうだけど。



 可能性は残しておきたい。



 どうしたいの。



 とりあえず。



 明後日の花火。



 一緒に見たい。



 一緒じゃなくてもいいから見たい。



 1人で見なよ。



 ていうか、友達と見に行くんだからいいじゃん。



 それにしても来ないわね。



 寝坊かな。



 準備に手間取ってるとか。



 なんで来る前提。



 というか、何その彼氏を待つ彼女発想。



 もしかして。



 待ち伏せがバレてる?



 『彼』はエスパーなの?



 尾行を警戒して、今日は別の入り口使ったとか。



 ほら、この駅。



 大きいから、入り口いっぱいあるじゃん。



 『彼』は何を恐れてるの。



 『彼』は何者なの。



 遊びに行くとしても。



 電車使うとは限らないよね。



 バイクとか。



 自転車とか。



 セグウェイとか。



 セグウェイはさすがに使わないんじゃない。



 もしくはルンバ。



 ルンバ。



 お掃除ロボットだよ。



 乗れそうだけど。



 歩いたほうが早くない?



 ていうか、ウロウロするから目的地着かないのでは。



 もうさ。



 待ち伏せとか無駄なこと止めない?



 やっと気付いたんだ。



 それがいいよ。



 もっと確実に。



 自宅特定して。



 自宅前で張り込んだほうが早いよ。



 ごめん。



 よく聞こえなかった。



 自宅特定して。



 うん。



 もういいよ、わかったから。



 私にいったい何の権利があって張り込むの。



 だってさ。



 人のことこんなに干からびさせて。



 現れないってどういうこと。



 ちょっとくらい顔見せてくれてもいいじゃん。



 それなのに、こんな可愛い子を炎天下で待たせるなんて。



 非常識でしょ。



 最低の男じゃん。



 そうだね。



 『彼』が不憫(ふびん)だわ。



 だから、その仕返しに張り込むの。



 その権利が私にはある。



 ねーよ。



 もうさ。



 場所変えちゃう?



 待ち伏せは止めないんだね。



 『彼』が遊びに行きそうな所に変更する。



 例えばどこ?



 『彼』が行きそうな所。



 どこよ。



 こういうのは発想が大事よ。



 『彼』はイケメン。



 つまり。



 リア充の可能性が高い。



 リア充の行きそうな所。



 カラオケ。



 まあ、可能性はある。



 カラオケの受付でずっと待つの?



 部屋で待つ。



 部屋で待つんだ。



 たぶん来ないよ。



 絶対来ないよ。



 そもそもこの辺、カラオケなんていっぱいあるし。



 そう簡単に見つけられないでしょ。



 もう少し待ち伏せ候補が少ない施設がいいのでわ。



 プール。



 どっち?



 市民プールか。



 ちょっと遠い大きいほうか。



 『彼』は市民プール顔じゃないから。



 大きいほうのプール。



 悪くない推理。



 市民プール顔ってどんな。



 庶民的な顔。



 イケメンじゃない人。



 オタク。



 全国民に謝りなさい。



 『彼』だって市民プールくらい行くでしょ。



 いつプール行くかもわからないし。



 あ。



 やばい。



 そうだよ。



 見つけた。



 待ち伏せの候補が少なくて。



 『彼』がいつ行くかもわかる場所が。



 え。



 いつ行くかわかる?



 なんでわかるの。



 夏祭り。



 すごいじゃん。



 日程決まってるもんね。



 数もカラオケに比べたら全然少ないね。



 よし。



 調べよう。



 とりあえず、私の地元の夏祭りは除外でいいよね。



 『彼』と中学違うから。



 候補を挙げるとすれば。



 他の中学周辺でやってる夏祭り。



 そこを徹底マークすれば。



 『彼』に会える可能性が高い。



 しかも。



 夏祭りなんだから。



 普通は彼女を誘うはず。



 つまり。



 1人 OR 男友達と来ていれば。



 『彼』に彼女がいないと見て間違いない。



 これだわ。



 ついに私は世界の真理に手をかけた。



 世界の真理って。



 私すごい発想力だ。



 このパワーを勉強に向けたら20位とか余裕で取れるんじゃないの。



 そうと決まれば、こんな暑いとこ用ないよ。



 家帰ろう。



 あ。



 じゃあ夏祭りで『彼』に会うのか。



 可愛い浴衣買わなきゃ。



 そこまでしなくていいのでわ。



 ダメだよ。



 『彼』には可愛い印象を与え続けるんだから。



 どんな浴衣にしようかな。



 どんな浴衣が好きなんだろ。



 ……。



 またそれやるの……。



 これは恋じゃないけれど。



 誰かを想う日常が。



 ちょっと楽しい。



『彼』(仮題) 第一部 ―完―




通学の電車だけが接点の『私』と『彼』。

残念ながら、今回2人が出会うことはありませんでした。

所詮、恋なんてこんなものです。

失礼、これは恋じゃないですね。

今後2人が、どのような道を歩んで行くのか。

次作 『彼』(仮題)~恋心~ で書きたいと思っています。

フィクションの小説とはいえ、登場する2人を羨ましく思いつつ、

自分にも似たような経験があったなぁっと、青春の思い出を振り返っています。

もし読者の皆様が、今現在少しでも気になる人がいるならば、

その気持ちは是非大切にして下さい。

きっと、あなたの身も心も磨いてくれることでしょう。


稚拙な文章、最後まで読んだ下さり本当にありがとうございました。


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