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初めてのデート-1

 こうして次の日私はオズワルドとデートをすることになった。

 機嫌が悪かったのも含めて、私はどうしてこんなことを言ってしまったのかについてその夜はしばらく眠れなかった。

 婚約破棄の事も含めて、頭が痛くてたまらなかった。

 

 けれど婚約破棄関係の疲れがあったのかどうにか眠れたのは……よかったのか悪かったのか。

 そして朝目を覚ました私は、今日はオズワルドとのデートの日だと思いだす。

 なんでこんなことになったのかと自問自答してから、昨日の夜のうちに両親に今日のデートの事を告げていたのもあって、朝食を食べてすぐに支度をすることに。


 両親は何か言いたげではあったけれど私には特に何も言わない。

 だから黙って私は支度をして外に出る。

 朝の光は眩しくて、空はというと、


「嫌になるくらい晴れているわ」


 そう思いながら時間を確認する。そこで、


「お~い、アニスー」


 オズワルドの声がした。

 もう来ていたらしい。

 とりあえずは近づいていくとオズワルドが今まで見たことのないくらいうれしそうに、


「本当に来てくれたのですね」

「だって貴方、来ないと五月蠅そうですもの」


 そう皮肉交じりに告げるとオズワルドは苦笑する。

 でも、念は押しておくことにした。つまり、


「私が好きでもないのに付き合っても、貴方が傷つくだけよ?」


 そう告げるとオズワルドはさらに困ったように微笑んで、


「……いいのです。それでも私は機会を失いたくないですから」

「……そう、そこからは自己責任よ?」

「ええ。それで構いません」

「未練がましい人」


 そうとしか私は言えなかった。

 だって、この人は自分から不幸に飛び込んでいるのにどうしてこんなに笑顔なのか、私には分からない。

 ……私はなんであんなことを言ってしまったのだろう。


 彼を巻き込んでしまっただろうか?

 私の矮小な怒りで彼に、希望を与えてしまった。

 かなう可能性がほとんどないのに、どうして私は頷いたのだろう?


 頭の中で今更ながら後悔が沸き上がる。

 そんな私にオズワルドが、


「それで今日はどこに行きますか?」


 楽しそうな彼に私はそれ以上言う気になれず、こう告げた。


「好きにして」

「ではそうさせていただきましょう」


 そうオズワルドは答えて、歩き出したのだった。







 こうして私はオズワルドに最近人気であるらしい“映画”を見に連れていかれた。

 黒白で描かれた絵が動いているように見えるそれに、最近では声をつけているらしい。

 以前屋敷のメイドが恋人に誘われたと言っていた。


 ただ、この映画に恋人に誘う理由がもう一つある。


「オズワルド」

「なんでしょう、アニス?」

「私が恐怖で抱きつくような、“可愛げ”のある女だと思っているの?」


 沈黙したオズワルドだが、すぐに首を振り、


「何でも試してみなければ分からないでしょう?」


 どうやら彼は私が怖がると思っているようだ。

 だから私は笑みを浮かべて、


「……そうね。オズワルドも怖かったなら手ぐらい握ってあげるわよ?」


 そう私は彼に告げたのだった。




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