変化
私の目の前にある現実は、絶え間なく変わり続けている。ヒトや動物、モノは忙しく動いていて、目に見えるものだけでも一つの場所に留まっているのとは少ない。
科学的な細かい観点から見たら、原子や分子レベルでその瞬間が同じということはないだろう。
目に見えるものだけでこれなのだから、自分には認知できない数々ことも、さぞや目まぐるしく変わっていっているに違いない。
では、私たちが認知してるようでしてないような、感情や心などはどうなんだろう。よく、感情はすごく動いていていろんな感情があるとか言うけれど、本当にそうなのかな。
永遠に友達だよ、とか言ったりするけど、そこにある感情は動かないのかな。
私はよく、もっと変わったほうがいいよと言われる。自分的にはそこそこ変わっていると思う。身長とか体重とか見た目変わってるしね。まあ、違うほうに変わってほしいのもあるけど。とにかく、他人が言う以上に自分は変わっていってると思ってる。でも、そんな自分とは裏腹に、周りの人は変わりなよと言う。
これ以上、何を変えればいいのだろうか。内面か? つまり、私の性格がディスられてるってことなのか。
そうだとしたらちょっとショックだ。そんなに性格悪くないと思っていたから、もうちょっと自分を見つめなおしたほうがいいかもしれない。
ただ、そんなふうに言われたってすぐには変われないのが人情で、簡単に割り切れたら苦労しない。
でも、いい加減みんなに言われて疲れるし、少し考えてみようとしよう。
性格は、少し内向的かな。あんまりいろんな人と騒ぐのは苦手なんだよね。他の人の顔色を伺いながら話すのってすごく大変な気がするんだけど、私だけなのかな。たしかにみんなは普通にやってる感じで大変じゃなさそうだし、やっぱりここは変えたほうがいいのか。でも、どう変えればいいんだろう。とりあえず保留でいいか。問題点その一、社交性。
見た目は、普通かな。自分ではそう思ってる。さすがに自分がかわいいとかきれいとか思わないし、だからと言ってブスだとは思えない。というか思いたくない。まあでも、派手ではないし、地味子だよね。私にはちょうどいいくらいの容姿だね、うん。見た目に問題はなさそうだ。
後はなんだろう。うーん、思いつかないなぁ。あ、声とか?
いやいや、まさか私の声が聞くのもツライほどひどいとかないよね。……ないよね?
とりあえず思いついたのは結局、社交的になったほうがいいってことか。
で、これをどう変えるか。周りの人の顔色を伺ってると疲れるんだから、伺わなければいいのか。でも、それだと周りに迷惑かけないのかな。
よくよく考えてみると、周りの人はこれで疲れないんだから、私も疲れないようにしていけばいいってことだよね。やっぱり、周りを気にせず過ごそう。それが一番だよね。みんなが変わったほうがいいって言うから変わるんだし、これがいいことなんだね。変わるってなかなか難しいな。
明日も学校だし、頑張ってやってみよう。
私の親友が変わってしまった。
彼女は内気な性格で、周りからよくもっと変わりなよと言われていた。私としては、それでも一緒にいて面白かったし、そんなに変わらなきゃいけないこともないんじゃないのかなとは思っていたけど、本人も特に気にしてない感じだったし、何かを私から言うことはなかった。
でも、それは私の勝手な思い込みで、間違いだったんだと気づかされてしまった。
みんなからあれだけ言われていて、それを全く考えない人なんてよっぽどの人かもしれない。
とにかく、彼女は変わってしまったし、きっともう前のように戻ってくれることはないんだろう。私としては前のほうがよかったと思うし、前みたいになってほしいと思うけど、それは私だけのエゴだし、彼女に押し付けてはいけないと思う。
変わってしまった彼女と前のように接するのは難しいし、私にはそんな器用なことは出来ない。
みんなは彼女に、変わったね! いい感じだね。などと言っている。
たしかに、彼女は変わった。変化を遂げたと思う。言うなれば、さなぎが蝶に変化したようなものだろう。
でも、私にはどうしてもそんな風に思えない。「へんか」というより「へんげ」のように思えてしまう。
同じ「変化」という字を書くのに、意味としてはとても違うように感じられてしまう。不思議だけど、私の目の前で実際に起こった。
私としてはとても悲しい。だって、私の親友がなくなってしまったように感じてしまうのだから。
こうなってしまったのは、彼女を止められなかった私の責任があるかもしれない。また同じことを繰り返さない為にも、私は成長しないと。
もっとよくなって、今度は止められるように。
変化しなきゃ……。