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ベストドレッサーのオサムくん

こうして紛失届けが出来上がって再び駅前の警察署へ出頭した。

写しにバーンとドイチェラントポリツァイアムトの赤丸スタンプを

もらう。これを持って領事館へ行けばOKだ。写真はもう撮ってある。


1時間もかからず真新しい再発行パスポートが出来上がった。


「ありがとう弁護士さん。5日後にコペンで結婚式を挙げて日本へ

帰ります。明日彼氏達がロンドンからデュッセルドルフに戻ります

ので、それから皆でコペンへ上ります。あれが私達が使っている


フォルクスワーゲンのポストワゴンです。赤い表面を磨き落とすと

黄色時に黒のポストマーク(ラッパのマーク)が現れるはずです」


「すごいですね!これで西ドイツ全都市をめぐられたんですね。

すばらしいご主人さんです」


それほどでもないわよ、と口には出さずマメタンは、

背のすらりと高くハンサムな若き弁護士の卵とラインの

夕暮れ河畔をふたりしずかに歩むのであった。


そして翌日、カルマンギアが到着して一人のきざな

革ジャン男と、3人のちんどん屋が登場した。デュッセル手前で

皆着替えなおして、それからおもむろに到着したのだ。


「あの真ん中の松田優作風なのが彼氏」

「なるほど・・・?」


弁護士はつぶやいた。3人とも歩きにくそう。


「ただいま、マメタン」

オサムは自信たっぷりに声をかけた。


「だれ?こちら?」

「ああ、こちら弁護士さん。今回お骨折りいただいて、

すごくスムーズに再発行パスポート取れたわよ。これがそれ、ハイ」


「どれどれ。おーっ、かっこいい。真っ白じゃん!」

「どうも」

弁護士君が会釈する。オサムはおもむろにサングラスをはずして

胸に手をやり彼に頭を下げた。


「サンキュー、弁護士君」

その顔にはロンドンの名残りのキスマークがばれないように、

ちらりとマメタンのほうに流し目をして、ニッと笑った。


『どうだ似合ってるか?この3ぞろいのスーツ。

結婚式はこれでいく』


ベストドレッサーのオサム君だった。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーつづく

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