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フランクフルトはりんご酒で乾杯

ミュンヘンに戻る。車を真っ赤なワーゲン

ポストカーに買い換えた。床を二段にして

下にびっしりと在庫を入れるようにした。


サイドと後ろの窓を塞いだので外からは全く

中が見えない。簡易トイレもつけて優雅な広

い製作と寝室兼用のキャンピングカーになった。


オオツキさんは小銭がたまったので一度コペン

に戻りたいという。11月にデュッセルで再会

することを約して彼は北へと旅立った。


オサムとマメタンはひとまずフランクフルトに

材料を仕入れに向かった。フランクのユースは

マイン川沿いにある。繁華街にも近い。


川床が駐車場になっていてユースにはいつも

日本人が一杯。次の晩明け方に、といっても

午前3時ごろ。バンで熟睡していたら、


外で歌声が聞こえた。数十人で歌っている。

よく耳を澄ますとどうも日本語のようだ。

我々ものそのそと起きだした。


『戦争を知らずに僕らは生まれた 〜♪』

間違いない日本人だ。

「どうしたんですか?」


「到着が遅れてダブルブッキングになって、

ユースに泊まれなくなったんですよ」


誰かが味噌汁を持ってきてくれた。温かくて美味しい。


「今はやってるんですかその歌?」

「ええ、こういうのもありますよ。

「ゆかたの君はススキのかんざし〜♪」


「なんですかそれ?」

「よしだたくろう」

「知りません。ほんとにほんとです」


2年もたてばだいぶ変わってるだろうな。

二人は皆と一緒に朝まで歌を歌った。


ドイツは今選挙戦の真っ最中だ。キリスト教民主同盟

(CDU)と社会民主党(SPD)との二大政党に近い。

アメリカ並みに派手なコマーシャル選挙だ。


いたるところにCDUとSPDの大ポスターが貼ってある。

CDUの政治集会にユースのドイツ人と一緒に行ってみた。

バラエティあり歌あり踊りあり。アメリカの大統領選の


ミニミニ版だ。最後にフランクフルト名物アプフェルザフト

(りんご酒)が振舞われた。エレキバンドが登場してきて

ディスコに早代わり。若者狙いの大演出なのだろうが、


日本ではこれは選挙違反だろうな。政策論争皆無の

ドンちゃん騒ぎになった。バンドのボーカルが帰りがけに

ヤパーナー!と呼びかけてきて、楽屋まで来いという。


日本同様狭く汚い楽屋部屋でしつこくマメタンばかり気に

している。


「僕たちとこれから朝まで付き合わないか?」

と口はこっちへ向けて目はじろじろとマメタンを見ている。

オサムは頭にきてべらんめー調のドイツ語で叫んだ。


「ナインダンケ。ヴィアハーベンカイネツァイト。チュース」

(悪いな若えの。俺たちにはそんな時間はないんでね。あばよ)


ーーーーーーーーーーーーーーーーーつづく

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