表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
59/100

シンタクマの写真屋さん

ふと見るとショルダーバッグがない。

めったにバッグなんか使わないのに。

現金とパスポートは肌身離さずにが鉄則だったのに。


この日に限って新しいコットンパンツを買ったので、

まさかギリシャでと安心して気取ってみたのがミスだった。

パスポートと小銭の入ったバッグを盗まれた。


まいいか。旅慣れてくるとこのくらいの事には驚かない。

いろいろ書き込んでぼろぼろだったから領事館で真新

しいのに再発行してもらおう。うまくいくだろうか?


窓口の若き外務省の職員さんがとてもいい人で、すぐに

再発行してくれるとのこと。


「皆さんはいいですね、自由に旅ができて・・・・」


とめったに来ない我々みたいな旅行者にひとしきり

愚痴をこぼしていた。


「近くのシンタクマという広場に簡易写真屋さんが

ありますから、そこで写真を撮ってきてください」


二人でそのアテネ、シンタクマ広場へ向かった。

日本ではどこにでもあるような公園内の広場に、

あった、あった、簡易写真屋さん。


赤く塗った木製の脚立にジャバラ式の古い高級カメラ。

黒布にもぐりこんで、向かいの椅子にお客は座る。

ここまでは日本と一緒だ。


「はい、じっとして」


写真屋のおじさんはパッと天空を見上げると、

旧式写真機のレンズのふたをさっと取って一秒、

再びさっとふたをした。


「もういちど。ハイじっとして」


今度は二秒くらい。雲がかかったのだ。

どこにもフラッシュらしきものがないなと思ったら、

これだ。大丈夫かなと思いつつ出来上がりを見て一安心。


もし暗く曇っていたら、とおもうとぞっとする。

安くて楽しい写真屋さんだった。


ギリシャの太陽は真冬でも結構まぶしい感じ。

アランドロンの”太陽がいっぱい”の太陽と同じだった。


再びフライトでイスタンブールに戻り列車でウイーンへ。

すぐに乗り換えてスイスへと向かった。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー つづく

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ