神からの贈り物”タイヨー”
手作りのペンダントチェーンをニッケルチェーン
に変えてみたが、売れ行きは全く変わらず。
12月にはいると毎日50本60本と売れてゆく。
土日はその倍だ。在庫がどんどん減りだした。ジャ
ラジャラもうろこもよく売れるけど、製作は大変だ。
あのキプロス作品のひとつぶどう形の下部を取り除き
じゃらじゃら涙形5本をつるす。これだとチョーカー
でもペンダントでもいける。しかも比較的簡単だ。
ニッケルチェーンがぴったりで、すぐさまベストセラー
になった。皆がのぞきに来る。石松が、
「すごいの作ったな、きみは」
「よう売れますよ」
「そやろな。まねさせてもらうわ」
「どうぞどうぞ」
「太陽みたいやから、”タイヨー”て名付けよう」
おーマイゴッドの贈り物。”タイヨー”日本語が
作品名になった。神からのめぐみ、”タイヨー”
はほんとによく売れた。マネをはじめた皆からも
大いに感謝された。信頼度ナンバーワンの一番角、
売り上げもナンバーワンであった。またぞろ、
カリスマが復活した。
ところが、誰かが脚光を浴びると必ずねたむ奴が
現れる。これもこの世の鉄則だ。古今東西、
有史以前の太古から、人種、性別、年齢を問わず、
このジェラシーとの戦いがまさに人類史そのもの
といってよいだろう。これをコントロールできな
ければ世界平和など絶対に実現できないと思う。
ヒントは身近な足元にも転がっている。人類を信
じるという事は自分を信じることとも同じだ。
投げ出したらもうおしまいだ。これはまちがいない。
クリスマスが近づくにつれて不穏な空気が漂ってきた。
地元ドイツ人がヤクザを使ってフランス人やイタリア人
さらに日本人とアラブ人のヒッピー達を襲うという
情報が流れた。そういえばここのところドイツ人
ヒッピーは一人も見かけない。まことしやかにこの
情報が駆け巡った。