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ついに取ったり一番角

ある晩、気が付いたら十字路にパトカー、

いつものワーゲンパトがさりげなく止ま

っているではないか。大急ぎでたたんだ


が間に合わなかった。近くに止まっていた

車の下に放り込んだかばん、よせばいいの

に誰かがポリスに指差している。石畳の


向こうでじっと見つめていると、とうとう

しゃがみ込んでかばんを持って行かれてし

まった。さあどうしよう?よれよれの話では


罰金を払わなかったら刑務所行きだそうだ。

初めてならそうきつくはない、せいぜい100

マルクくらいだろうとのこと。


オサムはポリスを追いかけて警察署まで行く

ことにした。現行犯で何人かが捕まっている。

駐車場から取調室に行くまでの間にあのワー


ゲンパトを見つけた。助手席に我がかばんを

見つけた。作品と布がはみ出したままポンと

置かれている。脇にいた若いポリスマンに、


「これはわたしのだ。返してくれ」

とまじめな顔をしていったら。

「あいよ」

という感じですぐに返してくれた。


両手でかばんを受け取ると、すぐさま、

オサムは足早にその場を去った。


今晩何故そうなったのかよく考えてみよう。

今日の一番角はあのマリファナドイツ人で、

その彼が見張りを怠ったのが原因なのだ。


それだけ一番かどの見張りの責任は重い。

なんということだ!次の日、石松や縁日と

相談してオサムは一番角を取る決心をした。


夕方かなり早めに一番かどの上にかばんを

置いて、常連が来るのを待った。


「いつも向こうの角を見ている。パッと

パトカーの青いランプが見えたら、ただちに

たたんですぐ逃げる。一番かどの使命は最


重要だ。君の昨夜のミスは許されない。私の

目はカメレオン、いつも片方の目は向こうの

角を見張っている」


とまくし立てるオサムの剣幕に常連のドイツ

人たちは皆納得してくれた。そしてついに、

オサムはアルトの一番角を取った。


オサムは深呼吸をして一番角に大きく布を広げた。

向こう角が奥までよく見える。販売しながらいつも

向かい角の奥を見張っている。なかなか大変だ。


責任重大。そしてその日もついに来たーっ!

青ランプが奥の暗がりに見える。まちがいない

パトカーだ。右隣のドイツ人にまず合図をして


「ポリツァイ!」

と叫んで1秒でたたむ。パタパタパタと最後の

一人がたたみ終えた頃、ワーゲンパトが現れた。


絶妙のタイミングだ。パトカーが去ってもすぐ

には広げない。オサムが広げるのを待って皆、


パタパタパタと再び広げだした。これはなかなか

骨が折れる、大変だぞ一番角は。


それから毎晩一番角を取った。


ある晩再び広げてすぐまたパトカーが現れた。

オサムは直ちに合図してすぐにしまった。すば

らしいタイミングでのダブルパフォーマンス。


観衆からは大喝采だった。無遅刻無欠勤、一番角

の金都の夫婦はまたまたカリスマになってきた。

スタイルも全く去年のジーザスクライストだ。


稼ぐぞ今年は!マメタンに一大旅行をプレゼントだ。

さらに製作に拍車がかかってきた。

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