春ださあ旅立とう、ところが
外国に来て日本人村にどっぷりとはまっていると
語学も上達しないし、日本にいるのとちっとも変わらない。
何のための一人旅だったのかと非常に心が空虚になる。
春になったら旅に出よう。とにかくコペンを出よう。
一人旅でまた再出発だ。辛抱辛抱・・・・・。
少しずつ日が長くなり、とうとう春がやってきた。
ところが、マメタンの顔が最近とみに元気がない。
オサムは心を見透かされたのかなと思いつつ、
「なにかあるの?」
と聞いてみた。そしたらやはり何かあった。
前の彼氏が彼女に会いに来るという。
『なんじゃそれは?すごい奴だなそいつは、
俺なんか負けそう。何とかしなけりゃ、そいつ
無理心中でもやりかねないかも?』
そこでオサムは神の如く厳かに啓示をたれた。
「会ってあげなさい。思い切り諭してあげなさい。
私は一足先にドイツへと下って、デュッセルドルフ
あたりで職を探しておきます。連絡を密にしましょう。
態勢が整えば是非ドイツで一緒に暮らしましょう。
東京からの元彼には絶対に会っておあげなさい。時間
はいくらかかってもいい。我々二人はしばらく離れ離
れになりますが、お互いに努力しましょう。愛があれば、
二人に宿命的な愛があれば、また必ず結ばれるはずです。
誰人も不幸にしてはいけません。是非、ストックホルム
まで行って、昔の彼に会っておあげなさい。正直に素直
に自分の気持ちを伝えなさい。彼も成長しているはずです。
ひょっとしたら、今のあなた以上に成長しているかもしれ
ません。その時はその時です。ともにまだまだ若いのです。
悔いを残すなこの人生!!・・・・・アーメン」




