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涙あふれるマルメの別れ−2

後日、東京館に送られてきた新聞に、写真入で

この言語のことがそのまま紹介されていた。


さて、白樺に囲まれた広い邸宅。かなり歴史

のありそうな伝統的な造りだ。一部屋づつ時間

をかけて家具から小物まで詳しく説明を受ける。


お返しにヒデとロザンナの歌や、赤とんぼを歌い、

夕食をご馳走になり、マッサージをしてあげて、

すっかりと夜も更けてきた。


別宅の2階の寝室に案内された。子どもたちが

昔使っていた部屋だそうだ。本格的な山小屋風

ログハウスだ。その2階は屋根の傾斜に沿って


大きな出窓がある。星がとても美しい。ベッド

は引き出しのようにフロアに直接スライドして

くる。出窓をはさんでベッドが二つ。


とても星のきれいな初めての夜だった。

彼女は思い切り泣いた。悔しくて泣いたのか?


悲しくて泣いたのか?それはまさに、

訳の分からない青春の涙だったと思う。


翌日のマルメの港。小型のフェリーに汽笛がなる。

二度としたくはなかった船での別れだ。こんどは


送る側だ。船が見えなくなるまでずっと突っ立っていた。

何故だかとても悔しい。負け戦だ。今のところ負け戦だ。


「仕事が決まるまで毎日はがきを出すからね。

君もしっかりがんばれよ」


「私は大丈夫よ。コペンにいれば何とかなるから。

オサムも頑張ってね」


青タオルがいつのまにかオサムになっていた。

昨晩のヒデとロザンナの歌が、

あのほしぞらと共によみがえる。


『♪自由にあなたを愛して愛して二人は傷ついた♪』



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