第12話 危機一髪!
[第12話]危機一髪!
オッパイとアオイは、事務所に戻った。レミに連絡を入れていなかったので、オッパイとアオイはこっぴどく怒られた。
「電話の一本位掛けられないの!心配するでしょ、まったく!ちょっと聞いてんの?」
「あ、あぁ。ちょっと手が離せなくってなぁ。わりぃ。」
オッパイは、申し訳なさそうに言った。
そこにボッサンからの連絡が入った。
アオイはボッサンに、明日のRed-Foxの計画を説明した。
ボッサンとユオの無実の罪を晴らす為、それと東京都庁爆破計画を阻止する為には、Red-Foxのメンバーを警察に捕まえさせなければならない。
明日は、ボッサンが警察を都庁に呼び寄せる。そこでRed-Foxと鉢合わせさせて 一網打尽にさせる計画だ!
ー翌日、Red-Foxのアジト裏ー
Red-Foxの倉庫裏に、ディーノ246GTは静かに止まった。
「アオイ、上手くやれよ。ダイナマイトを爆発させるなよ。」
オッパイはアオイに向かって言った。
すると、オッパイの後頭部に硬い物が当たった。
「そうはさせないッスよ。」
オッパイの頭には、拳銃が突き付けられていた。
「正体はバレバレッスよ、探偵さん。2人とも車を降りんしゃい!」
オッパイとアオイは、Mに拳銃を突き付けられ、.倉庫に連れて来られた。
倉庫に入ると、ローさんとBが待っていた。
ローさんが近づいて来て2人に言った。
「 危なく騙されるところだったよ~。 邪魔はさせないからね、ンフッ♪ 君たちには死んでもらうよ。M、2人を縛っちゃって~。」
そう言うと、ローさんとBはダイナマイトの入ったスポーツバッグを、黒のワンボックスに積み込み始めた。
Mは、オッパイとアオイを、倉庫の柱に背中合わせにしてロープで縛り上げた。
ローさんがオッパイとアオイの所に来ると、タイマー付きの起爆装置とダイナマイト3本をセットして、2人の足元に置いた。
「じゃあ5分だけ時間をあげるから、その間に人生を振り替えってみたらいいかもね、な~んて振り替えってもしょうがないか、ンフッ♪」
ローさんはタイマーを5分にセットして、スイッチを押した!
デジタルの数字がカウントダウンを始めた!
ローさんとBは、黒のワンボックスに乗り込んで倉庫から出て行く。
最後にMが走って行って、鉄の扉を閉めた。
扉の閉まる音が倉庫内に響き渡って、静かになった。
「おいアオイ!なんとかしろや!」
「ズボンのお尻のポケットにナイフがあるッスよ。」
「尻のどっちや!右か左か!」
「右ッスよ。」
「お前から見て右か?」
「いや、オッパイさんから見て右ッス。」
「俺から見て右?じゃあ、お前から見て左やな!」
「そうっスね。」
「ややこしいな!ちょっと待っとけ!」
タイマーは後4分!
オッパイが右手をアオイの左ポケットに伸ばす。
「イテテテッ!手が動かねー!」
体をよじりながら手を伸ばしてく!
指がポケットの中に入る!ナイフに触った!
「あった!」
指先でナイフを挟んでポケットから出した!
と思ったら滑ってナイフが落ちた!
「あ~!」
後3分!
「アオイ、お前の足届かんか?」
アオイは縛られてるロープから足を抜いた!そして、片方の靴で靴下を踏んで靴下を脱いだ!
足の親指と人差し指で、ナイフを拾って足を上げる。
オッパイの右手にもうちょっとで届く!
「アオイ!もうちょっと上!頑張れ!」
後2分!
アオイは、力を振り絞って足を上げた!
オッパイの手に届いた!ナイフを掴んだ!
「アイテテテッ!足つった!」
オッパイは、ジャックナイフの刃を出すとロープを切り始める。
手が思うように動かせないので、なかなか切れない!
「オッパイさん!まだッスか!」
「うるせ~!黙っとけ!」
少しずつ切れ目が入っていき、やっとロープは切れた!
残り1分!
ロープを解く!
なかなか解けない!
「オッパイさん!早く~!」
オッパイのロープは解けた!
アオイのロープを切る!
30秒!
ロープが切れた!
ロープを解く!
焦って上手く解けない!
やっと解けた!
2人はダッシュで出口に走った!
ドアを開けて外に出た!
次の瞬間、ダイナマイトが爆発した!
と同時に、オッパイとアオイの間をドアがふっ飛んでいった!
「ふぅ~!死ぬかと思ったわ!」
「間一髪ッスね!」
2人は煙のたちのぼる倉庫を見ながらその場に座り込んだ。
ー神倉邸ー
オッパイとアオイが生きるか死ぬかの瀬戸際だった頃、ボッサンとユオは、と言うかボッサンだけであるが、神倉邸のガレージの中で、どの車に乗ろうか迷っていた。
「ランボルギーニか~!一生買えね~な。」
ボッサンは、ムルシエラゴのハンドルを握りながらため息をついた。
「ボッサン、どれでも変わんないよ。早く決めて。」
ユオは、庭の日本庭園を眺めながら言った。
ユオは、ボッサンの所まで歩いていき覗き込んで、
「大体左ハンドルで運転大丈夫なの?」
するとボッサンは窓から顔を出して、
「若い頃は、車のディーラーやってたんよ。だから左ハンドルなんてお手の門さ!」
ボッサンが昔の自慢話をしようとした時、オッパイから電話が掛かって来た。
「おぅ、オッパイか。そっちはどうだ?…… なにゅ~ん!分かった!ハナクソデカに電話入れてから都庁に向かう!」
携帯を切るボッサンに、ユオが、
「何だって?」
「オッパイとアオイ、正体バレて殺されかけたとさ。都庁爆破は12時前かも知れんから、ユオ、乗れ!」
ユオが助手席のドアを開ける。
「うは~!上に開くんだ!」
ボッサンは、6.5L V12 DOHCエンジンに火を入れる!
「おっと!ハナクソデカに電話、電話。」
ー西新宿警察署ー
北川警部補と喜多村刑事、いわゆるホヘトとオヴェであるが、ボッサンとユオの足取りが掴めず、イラついていた。
「オベ、ゴゥラ~!ゴミ探偵どもの行方はどうなっとんじゃ!」
ポケットに手を突っ込んで肩で風を切るその姿は、街のチンピラ。あ、いや、失礼!ホヘトであった。
ホヘトは、オヴェのデスクに詰め寄った。
「新宿一帯に非常線を張ってるんですが、未だに発見の報告は入って来ません。」
「あいつら~!どこ行きやがった!」
「電話でもしてくれればいいんですけどね。」
オヴェは冗談混じりで言った。
「電話してくるわけないだろ!」
ホヘトは鼻で笑った。
「もしかかって来たらどうします?」
「もしかかってきたら?そうだな。オベの好きな物買ってやるよ!」
ホヘトは腕を組んで自信満々に言った。
「マジすか!」
「あぁ!かかってきたらな!」
その時、離れたデスクから声が、
「北川警部補、1番に電話です!荻野目勇次からです!スピーカーで流すなよ、とも言ってます。」
「な、なにゅ~ん!」
ホヘトは、期待にキラキラ目を輝かせているオヴェを手で制してから、オヴェのデスクの電話で出た。
「北川だ。…… あ~?ゴミ野郎に言われたくないね!…… あぁ、…… 真犯人?…… あぁ黒の…… 都庁?... 爆破?ま~さか!…… おい!テメ...
くそ!切りやがった!」
ホヘトは受話器を戻すと、捜査1全員に言った。
「容疑者、荻野目勇次が、東京都庁に現れると予告して来た。苦し紛れのデタラメだと思うが、テロリストが都庁を爆破しようとしているらしい。しかも鉄也殺しの真犯人は、そのテロリストの一味だと言ってる!取り敢えず全員出動だ!行くぞ!オベ!」
そう言うと、ホヘトは部屋を飛び出して行った!
「約束は守ってもらいますよ。ホヘトさん。」
独り言を言いながら、ホヘトの後を追うオヴェであった……




