1話 何故恋愛対象にならないかというと、もやしだから
とりあえず毎日投稿二日目! 頑張って一ヶ月は続けたいですね……
「わしはこの金槌に宿る精、ウゥルカーヌスじゃ」
変わった景色に頭の処理が追いつく前に髭モジャのおっさんが話しかけてくる。
景色が火の入った炉、鉄が赤くなって溶けていて、その横にはかなバサミ(あの焼けた鉄とかを挟む金属製のガッチンガッチンするやつ)を持った髭モジャのおっさん。
「……は?」
このおっさん大丈夫?
「おぬしはわしを目覚めさせた、貴族の血を引き才あるもの」
「……はい?」
電柱に頭でも打ったの?
「おぬしの力でこの傾いた国を戻してはくれんか」
「……おっさん、人が聞き返してんのに勝手に話を進めるんじゃない。ここ何処? 金槌の精? 最初から説明してくれる?」
「ちょ、茜、初対面の人にそれは……」
星拓が言ってきたけど、関係ない。それを言ったら向こうも初対面だ、失礼なのは同じこと。
「……それもそうだな、ここはわしが創った世界だ。わしはさっきも言った通り金槌の精、ウゥルカーヌスと言って、わしを目覚めさせてくれるある国の貴族の血を引き、才のあるものを待っていた。それがおぬしだ。おぬしにはあの傾いた国、いや、世界を直して欲しい。それができるのはおぬしだけなのじゃ」
まー、小説でありそうな話! 一応乗って話してみるか。
「……なるほど、その世界を直す、って言うのをどうやるかは後ででいいとして、じゃあ何で星拓も連れてきたの? 別に関係ないっぽいけど? 今の話じゃさ」
「それはこやつがおぬしに必要だからじゃ」
「必要? 星拓が? 私に?」
おっさんは大きくうなずいて、
「そうじゃ。おぬしにできること、それはわしを使って魔装具を作ることじゃ。それをこやつには使ってもらう」
「え、僕がですか?」
「そうじゃ。こやつが使った魔装具はおぬしにしか使えん」
「え、何で?」
私が作る魔装具とやらを星拓以外の他の人が使えない、なんて何で?
「何故かというとだな、魔装具とは、使い手が限られる。その条件とは、製作者が心から信じていること。異世界に心から信じているものを作るのは時間がかかる。と、いうわけで一緒に呼び出したのだ」
……まあ、理屈が通ってないわけじゃない、かな? でも、
「あたしが星拓のことを心から信じてる? そりゃさ、いい奴だし、そういう面では心から信じてるかもしれないけど……こんなもやしに戦闘させるなんて、心配で仕方ないよ? 戦闘って面だと全然信じてないと思う」
「ちょ、茜……さすがにボロクソ言い過ぎじゃない? もやして……」
涙目で星拓が言う。ほら、メンタルも弱っちい。
明日も更新します!