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序章 俺
少年の語り。
「彼女」の瞳はきらきら輝いていた。澄んだ瞳のその輝きはとても美しく、俺はすっかり「彼女」の瞳の虜になってしまった。
「彼女」はとても明るく、気さくだった。「彼女」の周りには、いつも同姓の友達がいて、そしてみんな笑っていた。しかし「彼女」は何処か孤独を好んでいるようにも見えて、時に友達の前から姿を消し、一人屋上で景色を眺めていた。
でも、その姿が「彼女」の本当の姿ではないことに、俺はしばらく気が付かなかった。まさか「彼女」が、独りで闘っているなど、想像もつかなかった。
理由は簡単だ。
「彼女」の中には「彼女」と「彼女の闇」が存在していて、俺には「彼女」しか見えていなかったからだ。そして「彼女」が、誰にも助けを求めようとしなかったからである。
たとえ、闇がどんな姿になろうとも。
次は本章です。