短編
長編のつもりで書きましたが、展開が何も思いつかないので終了。
どんな世界でも、実力で全てが決まる。それは当然の事で、そしてこれからも変わらない事実だ。
今も、オレは経験を積んで実力を上げていく。
つい先程倒した獰猛な狼から、緑色のもや・経験値を吸い取っていく。それで腹が膨れ、そして全身に力が漲っていく。簡単な事である。
四足獣型の狼に良く似た獣が消滅していくのを見届け、人間型のオレはまた暗い通路を進み始める。
魔物は自分以外の生物を倒し、自分の実力を高めていき、そして魔物の頂点に立って魔王となる。魔王が現れれば、その魔王を打倒して自分が魔王になろうと魔物全体が興奮し、人間を襲い始める。人間は襲われ始めると、その中から実力の高い者を選び出し、『勇者』と勝手に名付けて魔王退治へと赴かせる。
当然、実力を高めたければ実力の高い奴を倒せばいい。そうして選ばれてしまった勇者は、魔物の尽く襲われてしまう。それでも死ななければ魔王と対峙する。勇者が死ねば世界は荒れ、魔王が死ねば魔物はダンジョンへと引っ込む。誰も魔王を倒して最強となった勇者に楯突こうとは思わないからだ。
ダンジョンの奥には強い奴が居る。強い奴と戦えば強くなれるから、誰もが奥深くへと行こうとする。自分の実力が分からない愚者は、闇雲に進んであっと言う間に死んでいくだけだ。だから弱い奴は浅い所にいる。その内に同程度の実力の奴と戦っていく内に実力をつけ、奥深くへと入りだす。この世界は上手く出来ている。
この世界は非常に理不尽だと思う。完全に実力で全てが決まるからだ。
だけども俺は逆に合理的だと思う。明瞭に実力で全てが決まるからだ。
……こんな事を考える自分、魔物はそう居ないであろう。そしてそういう風に考えている者も人間にはそう居ないであろう。
通路の奥に誰かが居る。恐らくあの形はゴーストだろう。足がなくて浮遊していて、薄く光っている。物理攻撃が通じない、厄介な魔物だ。その癖に引掻きとかをしてくる。理不尽な。
しかも自分達がいる場所は通路だ。隠れる場所も逃げこむ場所もない、真っ直ぐ続く道だ。確かゴーストの向こうには曲がり角と部屋があった筈だが……まぁ、今のオレには使えないだろう。ゴーストは使えるだろうが。
どうやらゴーストの方もオレを見付けたらしい。発光していた色が白から警戒色の青緑に変わる。暗い上に不気味過ぎる。そして腕を振るい、炎弾を放ってきた。あの弾を避けたり防御したりするのは然程難しくない、寧ろ簡単だが、そんな事をしている内に近寄ってドレインしてくる方が脅威だ。
ほら、そうこうしている間にも。
「チッ!」
「ボォォォー……」
炎弾をやり過ごし、いきなり近付かれて振るわれる爪を腕でガードする。当たり判定が爪そのものにしかないから、多少は引掻かれるが、思い切り胴をやられるよりかはマシだ。
「オラァ!」
ガードしたままの姿勢で、反対側の手刀に溜めておいた力で、思い切りゴーストの胴を斬り払う。青白い軌跡を描いて一閃するとそのままゴーストは緑のもやを出し、鳴き声を上げて消えていった。耐久値だけは低い癖に、他が厄介だから困る。
経験値を吸い取り、また腹が膨れて力が沸き上がってくる。この快感は中々他では得られない物だ。心地良いとさえ思う。
さて、前に進もうか。
ダンジョンというのは日々変化しているものだ。こうしてこのダンジョンに何年も住んでいるオレですらも迷う。いや、別に住処も寝床も縄張りもないから迷うもクソもそもそも無いのだがな。
部屋に辿り着いた。その隅には誰かの血に染まった衣服が落ちている。大方、ここにやってきた人間のその末路と遺品だろう。肉体は全て緑のもやに変換されるが、装備品は残ってしまう。貴重な金属品やら武具防具は落ちてないので、既に誰かに回収されたのだろう。
そんなものに気を取られている内に、ダンジョンの構造がまた変化した。具体的には今オレが入ってきた入り口が消え、代わりに目の前に3つの通路が続いている。さっきまでこの部屋は行き止まりだったのだがな。
さて、どちらへ行くか……右に行くか。単に勘だが。
そうして進んでいくと、運が良かったのか階段を見付けた。奥へと進む階段である。迷う事なく進む。そろそろこの階層の魔物では実力をつけるのも難しく感じていた所だった。
だが、準備は過分にし過ぎるという事はない。実力をつけ過ぎて困るという事は何も無いのだから。そういった意味では、オレは別に階段を見付けるつもりはなかった。まぁ、見付けたものは仕方が無い。奥へと進むことにしよう。
階段を降りれば、今までとは明らかに違う雰囲気が辺りには拡がっている。具体的には壁の模様が違うし、床も上の階層とは違って石畳ではなく赤い絨毯のような模様が描かれている。一瞬本気で絨毯が敷かれているのかと思う程に精緻な色合いをしている。
恐らく、冒険者共が見れば、到底魔物やダンジョンマスターに出来えるものではない。何処かから魔物が職人を拉致して描かせたのだろうと考えるだろう。残念だがダンジョンというのは人間が考えている程単純な建築物ではない。もしかするとダンジョンマスターすらももしかすると掌かもしれない。それほどの訳の分からない物だ。魔物よりも、もしかすると魔王よりも。
通路を進み、部屋へと辿り着く。本棚が所狭しに積み上げられている。どうやら人間の建築物で言う『図書館』という奴みたいだ。通路は狭く、オレの図体では進めないほどの狭さの道すらある。そういう所は本棚を壊して進む。
そうして埃が舞う中、進んでいくとリッチに出遭ってしまった。
茶色のローブを着て、フードを被って顔を完全に隠している。あの位置ではこちらの姿は認識出来ていないと思うが、何か魔術でも使って認識しているのだろう。魔術はオレの専門外。よってどうでもいい事なのだが。
リッチが掴んだ棒のような物を上に掲げ、呪文を放とうとする。オレはそれをさせまいと床に落ちている本を掴んでリッチにぶん投げる。だがリッチに命中する前に、障壁に阻まれて奴に届く事はなかった。フードから微妙に見える青白い肌と唇がニヤリと笑みを浮かべる。
魔術が完成したのか、リッチの後ろに魔法陣が浮かび上がる。その陣から次々と眩い光の矢がオレへと飛んでくる。それを横に飛んで回避する。本の山に着弾し、辺りへ本が吹き飛んでくる。地味にこちらにも飛んできて邪魔だ。
魔法陣がある以上、迂闊には近付けない。あの光る矢は至近距離で回避するには中々速過ぎる。しかしこのまま逃げていてもジリ貧だ。何か方法はないかと矢を避けながら辺りを見回す。無論警戒も充分にしながらだ。
しかし、何も打開するような物は見付からない。どれだけ行っても本ばかりである。寧ろ多過ぎである。
本棚を回り込み、あのレーザーのようなものをやり過ごす。どうやらここを根城としていたリッチは本を傷付けたくないらしく、本を攻撃するのを躊躇ったりする。たまに、だが。
このままやり過ごして生きる為に逃げてもいいが、それもそれで気に喰わない。さて、どうやってあのリッチを倒してやろうか。
まだ本棚が生存している辺りに逃げ込む。運が良い事に、この辺りは比較通路が広い。オレでも何かとぶつかったりせずに通り抜けられる程だ。
リッチを誘い込み、奴の視界に入らないように本棚の影からそっとリッチの様子を見る。しかしすぐさま発見されてレーザーが飛んでくる。考えてみればフード越しにでもオレが見えるのだから、たかが本棚くらいが壁となっていても透視できるのだろう。厄介だ。厄介過ぎる。
とりあえず、無造作に本を投げてみる。中には貴重な本や魔力が籠った本が混じっているかもしれない。それで敵が慌ててこっちを思考の外に一瞬でも出してくれれば最高だ。まぁ、無いとは思うが。
奴がこの階層にいるという事は、つまりそれはそれだけの実力があるという事。先程のゴーストのように弱くはないという事である。それは奴が張っているバリアーや光の矢でも言える事である。
……レーザーの威力が、明らかに弱くなっている。
どうやら本を蔑ろにするオレの行動がリッチの怒りに火を点け、そこから無茶苦茶に撃っていた呪文のせいでもう精神力が残っていないようだ。まぁ、そんな事を考えているオレも結構避けるのに疲れている所なのだが。
これくらいならば、あのレーザーも耐えられるかもしれない。というかオレは避け続けていたせいであのレーザーの威力がどれくらいなのかも知らない事に気が付いた。まぁ、だからと言ってわざわざ当たってやる程オレは御人好しではないが。
本棚の背にまた隠れ、レーザーの脅威から少しばかりの安息の時間を得た所で行動を起こす。奴からの壁に使っている本棚とは反対側の本棚を掴んで持ち上げる。どうせ奴もこの行動が見えているに違いないだろうが、それは仕方無い。
壁にしている本棚から奴の姿を覗く。今ならあのリッチは魔力を無駄にしたくはないからあまりレーザーを撃って来ない筈だ。
オレの計算通り、奴は真っ直ぐこちらへと進んでいる。頬には汗が流れているのがチラリと見えた。どうやら体力も限界のようである。走り回ったりしてない癖にな。やはり魔術というのは疲れるようだ。
オレは考えた。奴にはオレの行動が見えている。物陰から何もしようとしても見抜かれてしまう。遠くからの攻撃がイマイチなオレでは、アイツの障壁を貫通出来る程の威力はない。ならどうすればいいのか。
簡単な話だ。奴の透視能力を持ってしても、避けられない攻撃をすればいい話だ。それも驚き、接近を許してしまうような、ある意味バカげているような攻撃を。
リッチの位置を確認し、思いっ切り本棚を蹴る。溜められた力と合わさり、爆発するかのように本棚がすっ飛んでいく。あわよくば障壁をそのままぶち破ろうと思ったが、罅を入れるだけで本棚は粉砕してしまった。
上へとばら撒かれる本と木片とページと埃。その中を突進して、朽ち果てた本棚を踏み台にして大きく飛び上がる。視界の下ではリッチがオレを見失っている。どうやら巧く目隠しになったようだ。ならこのまま垂直落下して、力を込めた本棚で押し潰す。
「お前の好きな本だ! 有り難く受け取りな!!」
「ッッ!?」
そのまま罅が入って脆くなっていた障壁ごと、オレはリッチを押し潰した。本と本に挟まれて奴も本望だろう。
そしてだんだんと下敷きとなった本が真紅に染まっていく。どうやらリッチかと思っていたが、実は人間の生きた魔術師だったらしい。リッチだったらそもそも血がないからな。奴等はどちらかと言うとミイラに近い。
緑のもやが人間から湧き上がり、オレの身体へ纏わり付いて吸収されていく。また力が湧いてくる。何だか魔術も使えそうな気がしてきた。
辺りを見回して、これまた勘で選んだ道を進んでいく。いつでもオレは適当である。この勘を信じているからだ。恐らくいつか倒した人間の経験の中にそういう技があったのだろう。いつ手に入ったのかは全く覚えていないが。
さて、また分かれ道か……こっちかな。
また暫くすると、この階層でも実力が上がりにくくなる。元々前の階層で実力をつけ過ぎたようだ。まぁ、いつもの事なので気にしないが。
道をこれまた適当に進んでいくと、いつかの図書館に辿り着く。ダンジョンの構造が何十回も変わっているからか、あれほど荒れ果てた姿に変えた筈の本棚は全て元に戻っている。あの狭い通路も何故か修正されており、どんな魔物でも通れるような程の広さが、全ての本棚の間にはちゃんと用意されている。
これは単なる予想だが、部屋に誰かが居るとダンジョンは恐らくその部屋に干渉しないのだと思う。だからあの狭い通路も、恐らくあの魔術師が仕掛けたトラップのようなものなのだろう。罠にしてはあまりにもお粗末過ぎだが。
……そして、どうやらこのダンジョンを攻略しに来た人間達が、ちょうどこの部屋に入って来たようである。
「おお! スッゲー本棚!」
「ちょっと! 一人で突っ走りすぎですよ!?」
正直に言えば、非常にマズイ。
声と足音からして、恐らく四人。複数を相手にするのは非常に疲れるし、こちらが負ける可能性も非常に高い。加えてここのダンジョンに居る魔物は非常に協力しようとしない態勢だというのもある。
他のダンジョンならば、人間達が集団で来るならばこちらも集団で追い返すという暗黙の了解があったりするのだが、ここの奴等にはどうにもそういった意識がない。非常に困ったものである。
さて、どうするか。簡単な話、奴等がここの階層での戦闘で多少なりとも疲労していれば良かったのだが、あの声の調子を聴いてみるに全く疲弊していないようだ。しかも今のこの階層は結構深い方だ。それでもあの調子という事は、かなりの実力を持っているという事になる。
逃げる。今のオレに出来る事はそれだけだ。オレは実力を積む為に無謀な戦いを挑むあの馬鹿な魔物ではない。あんな馬鹿と同類ではない。
「うわっ!? なんか出た!」
「ほら言わんこっちゃない……『炎よ』!」
「キシャアアァァァ!」
「ふん! 喰らいなぁ!」
大型の虫のような魔物が派手に戦っている間に、オレは部屋から抜け出す。恐らくあの虫型魔物が居なければ、倒されていたのは恐らく自分であろう。それぐらいの実力差は分かる。分からない状態でここまで来る事が出来たあの虫には驚くがな。つまりはそれぐらいの実力だったという事である。
しばらく進んでいると部屋に辿り着いた。中に誰も居ない事を確認し、ホッと息を吐く。
人間がこのダンジョンに居る以上、構造の変化は到底望めない。何故かこの摩訶不思議なダンジョン共は人間が中に居ると構造を変化させないのだ。お陰で中に住む魔物はたまった物ではない。何故なら奴等人間達は一つの階層を隅から隅まで探し、魔物を根絶やしにするからだ。
ギミックとかがあり、隠れるような部屋も一応あるにはあるのだが、そういう部屋を見付ける技を持った人間が何処のパーティーにも大抵一人は居る為に、ほぼ確実に見付かる。見付かってしまう。
そうなるとどうなるか、当然倒されてしまう。そうならない為には必死にあいつらの視界に入らないようにするか、覚悟を決めて下の階層に行くか、ノコノコと上の階層に戻るか、である。
上の階層に行くのは魔物にとって最も恥ずかしい行動の一つである。何か他のダンジョンに行くという理由以外に、人間に倒されないように逃げるというのは一番恥じるべき行為で、それを行う奴は死んだ方がマシとすら言われる程である。
オレは別にそういう恥云々はどうでもいいが、他の魔物から『魔物の恥』と言われてリンチされて倒されるのは御免である。
仕方があるまい。下へ進むしかない。隠密系の技は持っていないし、あの四人の実力では仮に持っていたとしても見付けられてしまう気がする。願わくは、ここであいつらが一度帰還してくれるのを願おう。
部屋を出て、いつも適当に働かせていた勘を今後は全開で働かせて階段を探す。曲がり角を曲がる度に、その先に人間が居ないかも調べ、道を進んでいく。
時折壁の向こうから人間の声が聞こえたりする。物凄く焦る。もしかすると向こうもこちらの事に気が付いているのかもしれない。壁を壊して強行突破を刷るかもしれない。もしかしたら二手に別れていて、今聞こえている声が陽動組なのかもしれない。想像するだけで一気に最悪の展開が思い付く。
出来る限り急いで、そして向こうには気付かれぬように、邪魔をする魔物は即効で倒し、道を進んでいく。勘の赴くままに進んでいく。
そうして漸く見つける事が出来た階段。人間達の声はまだ聴こえているが大分遠くだ。内容から察するにちょっとした魔物に梃子摺っているらしい。ざまーみろと思うが今は自分の命が惜しい。
階段を降りて先へと進んでいく。あの赤い絨毯の模様にもお別れかと呑気な事を考えつつ進む。赤い模様のあった階段が進むに連れて変化していき、苔が生えた石畳の階段へと変貌していく。
階段が終わり、また目の前には迷宮が拡がっている。今度はそこら中に苔が生えている。もいかしたら珍しい苔なのかもしれないが興味ない。太陽かとも思うほど強烈な光を放つ苔もごくたまに生えているが、興味ない。
道を進んでいく。前の階層とは違い、やけに真っ直ぐな道が続いている。曲がり角もなく、途中で部屋に当たる事もなかった。これはもしかすると……と悪い予感が働き始めた頃に、やけに大きな扉が目の前に立ちはだかった。
やっぱりか。と思う反面、ここがこのダンジョンの最下層か。と嬉しく思っている自分がいる。漸く辿り着いたのだ。魔物にとっては嬉しい事である。
最下層に住むのは魔物一体である。それすなわちダンジョンマスターである。奴に勝てばダンジョンマスターになり、実力が何もしなくても少しずつ溜まっていく。マスターの特権である。だが戦闘狂の魔物はまた新たなダンジョンを目指してこのダンジョンを出て行こうとする。どういう魔物であろうと、この最下層は一つの終着駅なのである。
それは人間にとってもそうだろう。このダンジョンが貯めているお宝。実力試しのダンジョンで一番強い魔物。攻略出来たというネームバリュー。どれもが冒険をしている彼等にとっては喉から手が出る程欲しい物なのだろう。
まぁ、今はそんな考察などどうでもいい事だ。
今オレがやるべき事は、この扉の向こうに居るダンジョンマスターを倒し、迅速に実力をつけて、あの人間共に対抗出来うる術を身につける事だ。ついた実力があいつらに対向出来る程の実力でなければ、ダンジョンマスターを倒した事で手に入れたダンジョンの執行権とやらで他のダンジョンに挑戦、ワープすれば良いだけの事だ。
「オオオォォォォォ!!」
何はともあれ、この勝利の雄叫びを上げているダンジョンマスターを倒さなければどうしようもない事だ。捕らぬ狸の皮算用とはこの事か。なんて一人笑いながら扉を開き、部屋に入る。
誰かがこの部屋に入れば、中に居る者が一人にならなければ誰も入れなくなる。パーティーならばそれは適用されないが、魔物で徒党を組んでダンジョンマスターを倒そうとするバカは居ない。結局そのバカどもは同士討ちしなければ得られる経験が少なすぎてお話にならないからだ。
部屋のあちこちには、ちょうど緑のもやとなって消えていく所の魔物が随所に転がっている。部屋の中央で雄叫びを上げていた奴、ドラゴンはこちらを向いて溜め息を吐いた。
「やれやれ、今日は多過ぎだ……」
「人間が来たからな。それも結構な実力を持った奴がな」
「無礼者。ダンジョンマスターをなんだと思っておる。それぐらい知っとるわ」
「そりゃ失礼。だが残念ながらそのダンジョンマスターも今日で終いだ。オレが終わらす」
「ハッ! 今日だけでそのセリフは五回も聞いとるわ。掛かって来い」
「それじゃあ遠慮なく」