かろうじてセーフ? それとも、アウト??
墓地送りシリーズ第三弾、17歳のときの作品です。
「しおれた花」
主人公優子はごく普通の専業主婦だったが、夫淳が仕事中機械に右手を挟まれて動かなくなることによって人生が一変する。
労災がおりたものの、動かない手では今までの仕事ができずに仕事を辞めて酒浸りの淳。
駆け落ち同然で淳と結婚した優子は実家に頼ることもできず、自分から働き出す。
で、雇ってくれた会社の社長、明彦が今まで仕事一筋堅物だったんだけど、何を間違ったのかこの健気な人妻に恋をする。で、よしゃ良いのに優子に迫っちゃうんだな。
優子も駆け落ち同然で結婚した位だし、普通ならブレないんだろうけど、自暴自棄でぐちゃぐちゃの淳にだんだん疲れてきて、つい明彦の誘いに乗っちゃう。
そして、ついに明彦との関係が淳にばれてしまった。淳は暴力をふるい罵りながら優子を抱く。そんな昔と全く変わってしまった夫にほとほと疲れて、優子は翌日荷物をまとめて明彦の許に走ったのだが……
しばらくして優子は妊娠していると分かる。時期的にどちらの子か分からない。淳は離婚を承諾してはくれたが、それでも法律上は淳の子になる。
産むかどうかを悩む優子に、明彦は
「どっちにせよ、その子は君の子に間違いないんだ。僕に君の子を育てさせてほしい」
と言い、優子は男の子を産む。
しかし、生まれたその子は日に日に淳に似てくる。優子は自分の罪の意識に耐えきれなくなり、次第に壊れていく……
2人が普通に幸せだった頃、部屋に飾った思い出の花。淳の方はすでにドライフラワー化したその花を、優子は異様に執着するので明彦が定期的に入れ替えるその花を、別々によどんだ眼で見つめるところで終わります。
とまぁ、今の私がこのプロットをこうして書いたとしても何ら違和感も不思議もない訳なんですが……
私、最初に書きましたよね、この話を書き上げたのは私が17歳の時……高校三年生になる春休みのことだって。
この頃そんな区切りはなかったですけど、R-18? もちろん直接描写なんてしませんでしたから、ギリギリR-15にカテゴライズしてもらえるでしょうか。
どのみち、高校生が書く話ではないです。
その墓地送りメモには、
「家庭科で習った300日法だとかを駆使して書いた」
とありました。ただ単に、法律って血が通ってないよなぁくらいの気持ちだったみたいです。
後日、拙作の「切り取られた青空」をあんな結末にしたのは、書いていてこの話をふと思い出したのもありました。
きっと、優子と同じように、加奈子もその重圧に耐えることはできないって。加奈子の場合は、心を閉ざさずに逃げるでしょうが……それでもみんなが不幸になるだけだと思ったんです。
ま、「見てきたようにウソをつき」というのか、若いってすごいよね、無謀だねと思った作品でした。
未だつづきます