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八木沢紗理奈の体験

 それは私が中学一年生の時の出来事だった。


 その日、私は風邪と発熱で学校を休んでいた。

「パパが早く帰ってきてくれることになっているから、おとなしく寝ているのよ」と言い残して、母は夜勤に出かけて行った。


 夕方には風邪はかなり良くなり、熱も下がっていた。

 

 私は風邪でしばらくご無沙汰していた行為をするために、いつものようにパジャマを下着ごと膝までおろした。


さすがに中学生ともなると、夜ベッドの上で繰り広げられる両親の例の行為が、狐憑きの調伏や悪魔召喚のいけにえの儀式などではなく、結婚した男女であれば誰もがする、子供を作るためのものだということは知っていた。


 ママに代わってパパとその行為をしている自分を想像しながら、熱くなった部分に指を這わせ、目をつぶって甘美な快感を味わっていたその時、バタンとドアが開く音がした。


「紗理奈、風邪、大丈夫か」

 目線の先に、私の妄想のお相手がいた。

 行為に夢中になってパパが帰ってきたことに気づかなかった私は、着衣を直す余裕もなく、呆然と彼を見上げることしかできなかった。 

 

 思いがけずに、血のつながらない娘のあられもない姿を見てしまったパパは、それでも普通に話しかけてきた。

「そんな恰好をしていると風邪がひどくなっちゃうぞ。ちゃんとパジャマを着なさい」


 自分はこんなにも動揺して、どうしていいのかわからないのに、平然と大人の余裕を見せるパパに、私はなんだか腹が立ってしまった。開き直った私は、パジャマを整えるかわりに、行為を継続することを選択した。


「レディの部屋をノックもせずに開けてごめんな」

 私の予想外の行動に慌ててパパは謝った。そしてこう続けた。

「でも、紗理奈だって、時々俺たちの寝室を覗いているだろ」

 

 ばれていた。

 あまりの気まずさに、わずかに残っていた私の理性はどこかに吹き飛んだ。もうどうとでもなれと私はさらにその行為を続けた。押し寄せる快感に、思わず口から熱いため息が漏れた。


「おいおい、悪い子だな。どれ熱はどうかな」

 パパは平静を装って私の額に手を触れたが、動揺は隠しきれない。


「うん、すっかり下がったみたいだ」

 私を気遣うしぐさとは裏腹に、パパの視線は、私の指の動くその先をうかがっていた。


 私は、かねてからの思いを果たすべく、とうとう思い切った行動に出た。


「でも、ここ、まだお熱があるみたいなの」

 私はパパの手首を握ると自分の股間に誘った。


「こらこら、やめなさい」

 とうとう余裕を無くした様子のパパの声を無視して、私は彼の下半身に手を伸ばし、おねだりをした。

「パパ、ママにしてたように、ここにお注射して、紗理奈を治して」



 その日、大好きなパパは、私の初めての男性となった。

 

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