佐藤紗理奈の初恋
警察では、二人は別の部屋で事情聴取を受けることになった。
「友人の佐藤紗理奈さんが男の三人組に襲われた。しかも一人は金属バットを持っていた。君は助けに入り、友人の金子花梨さんが警察に通報した」
「はい。その通りです」
「状況から相手に非があること明白なんだけど、相手の方が怪我がひどいんでね。腕と肋骨を骨折しているそうだ」
「いや、骨折は俺じゃなくて紗理奈が…」と言いかかったが、「手加減する余裕などなかった」とだけ言っておいた。
警察が家に電話を入れると、深夜にも関わらず父が迎えに来てくれた。
帰りの車の中で、父は怒らなかった。
「それで、大事な人は守れたのか」
と聞かれたので、「うん」とだけ答えた。
裕也さんに「やりマン」って、聞かれてしまった。
にもかかわらず、パトカーの中で、彼は「好きな女がそういうんだったら、俺は何度でも必ず助けに来るよ」と言った。
えっ!? 好きな女って、もしかして、私のこと?
びっくりして、すごく嬉しくって、涙が溢れて来た。
今までの自分が解けて流れるみたいに、涙は、次から次へと沸き上がり、警察に着くまで止まることはなかった。
警察が娘さんを預かっているので引き取りに来るようにと電話を架けると、ママが大慌てで駆けつけてくれた。
帰宅後、私はママにことの顛末をすべて正直に話し、ごめんなさいと頭を下げた。話を聞き終わったママは大きなため息をついた。
「それで、その、助けてくれた男の人はどういう人なの?」
もしかしたら裕也さんのことが好きなんじゃないかなと意識はしていたが、ピンチに駆けつけてくれた彼に対し、私はまぎれもなく彼が好きとはっきりと自覚した。彼のことを思うと心が濡れるようで、こんな気持ちは初めてだった。
うぁ、これがもしかして世間一般で言うところの初恋というものなのか。
あんなに好き勝手をしてきた私は、ようやく高校三年生にもなって、遅ればせながら、初恋をしているのだった。
助けてくれた裕也さんのことも、自分は裕也さんのことが好きだということも、私は隠さずにママに話した。今までとは百八十度違う私の告白を、ママは目を白黒させながら聞いていた。
裕也さんが、大学二年生、しかもT大生だと聞いて、ママはさらにびっくりしていた。この子の妄想なんじゃないかと、疑いの眼差しで見られた。
そんな時、私のスマホにメッセージが入った。
無事に家に着いたという報告と、そっちは大丈夫かという確認と、そして、こんなことになってしまったので、事の経緯を、私の親にも会って、はっきり説明したいとの事だった。
その週末、スーツにネクタイ姿の裕也さんが、私のマンションを訪れてくれた、




