日常:始まり:3.1
「魔術科の生徒2人相手か…」
2人きりの生徒会室、半開きの窓から差し込む風は未だ冷たい。
難しい顔をし壁にもたれ掛かり、腕を組むのはこの学園の生徒会副会長、『ジェスター=ステイシア』と、もう一人その書記役を務めるリアであった。
「はい、しかも相手は、あの一派です」
淡々と報告しながら風に揺れる髪をかきあげるミア。
「厄介な」
「技術科の実習棟付近に居たようです。」
「ふっかけたのは、奴らか…、平和の価値を理解できない、馬鹿どもが」
静かだがその怒りは本物だった。
「この件会長には?」
「いえ、まだ副会長だけです。」
「そうか、神出鬼没だからなあの人は」
何かを思い出したのか辟易した表情を見せるジェスター。
「…たしかに」
それに対しリアは他では見せることのない笑みを見せた。
見る人が見れば、目を奪われるそのリアの表情も、見慣れているのか、ジェスターは驚きもしない。
「定例会の時にでも伝えるか」
「定例会は来月ですが?」
「知っている。まあ、耳の早いあの人の事だ、すぐに聞きつけるだろう」
「何か、変な事を思いつかなければ良いのですが…」
リアの心底困った顔に、ジェスターはため息をつくことしかできない。
「…それは無理だろうな」
かけたメガネに太陽光を反射させ、ジェスターは風の入り込んでくる窓を静かに閉める。
「そうなる前に我々で何とかしよう」
決意を胸に、2人は生徒会室を後にする。
ジェスターを先頭に生徒会室を出て行く2人、あとにつくリアは何事も言わず、部屋の扉を施錠し少し、先を行くジェスターの後を早歩きでついて行った。
けして追いつかないが離れないようについて行くリア、この立ち位置が2人の関係性を物語っていた。




