逆襲
王城庭園
ローシュ、ルルン、ロクゼン、侍女マリーが広大な庭園に集まる。
「揃ったわね。あなたがルルンの侍女ね?ローシュよ吸血鬼よよろしく。出でよ『馬車』っ!」
マリーはあわあわしながら返答を待たず、
ローシュは指で地面に向かって大きな円を描くと魔法陣が現れ半透明な白馬が四頭とそれに繋がれた馬車が現れた。
「こ、これは」
ロクゼンが呆然と見つめる中ルルンは驚きながらローシュに問うた。
「召喚魔法よこれで行くわよ」
当然ながら召喚魔法には触媒やら詠唱やら諸々の準備と魔力が必要となる。それを朝飯前かの様に発現させるローシュに言葉が出てこない一同が馬車に乗る。そこには側から見れば4人乗り用だが中は広々とした部屋のような作りであった。
「これはまたすごいのじゃ」
「凄いですね」
「アワアワ」
「本当は転移で行きたいんだけどルルン達吐いちゃうから」
「「転移?!」」
(フフフ、侍女も劇団員なのかしら)
「大丈夫よ馬車は安全よ念のため二層結界で守られているから!出発!」
ゴトンと音がした後ヒュンっと浮遊感があった。
「ななななんじゃ?」
「なんじゃって飛んでるのよ。北の都市まで30分我慢してね」
「「飛んでるー???」」
(フフフ、ありがとうございまーす笑)
通常地上より馬車で王都から北の都市までは2日かかる。それさえ失念する空飛ぶ馬車である。
「ローシュ様椅子とテーブルを動かしてもよろしいでしょう?」
「ええいいわよ」
椅子を引っ張ってきたマリーは小窓を眺めているルルンに
「陛下、テーブルも持ってきますのでこちらに」
窓際につま先立ちで外を眺めているルルンに椅子に座らせテーブルを移動し自前の次元袋からティーセットを出し机に並べるマリーにローシュは
「マリーその次元袋...貴女トラバス家なのかしら?」
「よくご存知で!トラバス家のみが使用できるロック式次元袋でございます。陛下の専属共に父トラバス伯爵に譲り受けました。」
「それ私と魔法好きの子が共同でトラバスに作ってあげたのよ」
「アワアワ...作用でございますか!あ、ありがとうございます!」
「いいのよ、大切に使ってくれて私も嬉しいわ。」
窓からローシュとマリーに視線を向けたルルンが
「ローシュは召喚魔法だけじゃなく魔具の作成もできるのじゃな」
年相応の笑顔のルルンに微笑む一同。
「魔具だけじゃないわよ?一段落すんだらもっと凄いもの見せてあげるわ」
「ああ、まずは一つずつ解決していくのじゃ」
30分後 北の都市上空
「この馬車にカモフラージュしてあるからバレないわ、終わったら戻ってくるから待っててちょうだいね」
「其方が強力な力があるのはこの短時間で分かったが気をつけるのじゃよ?」
「ご武運をローシュ様」
「いってらっしゃいローシュ様」
同刻 北の都市
高い壁に囲まれた都市の南、領主館にて帝国カルーセル将軍は軍議を部下達としていた。
「更に援軍を2万呼び王都を制圧するか、このまま都市に5千を置き残りで少数時間差分散撹乱をし徐々に集結後に女王、各大臣、を捕虜にするか悩ましい」
参謀は
「敵の攻勢には耐えれると思いますが念には念を入れた方がっ」
そこで熱い論議をしていた帝国軍が固まった。思考は動くが手足が石になり動かせない。そして耳ではなく頭に声が聞こえてくる。
「貴様らが帝国軍か。我が友との約束の為、拘束する。そして捕虜とする。」
ローシュは2万の帝国軍のみを石化魔法と念話魔法を使用。わすが数分で制圧が完了した。
北の都市上空
3人は戦慄していた。
「まさかこれほどの広域で魔法陣を発動させるとは...」
空中馬車やや低空でローシュが巨大魔法陣を展開させ領民以外を選別し石化を一部始終見ていたロクゼンは額から一筋の汗を流しなら呟いた。
「吸血鬼が伝説の存在であることが改めて思い知らされたのじゃ」
「アワアワアワ!!!!」
ガチャリと馬車の扉が開きローシュが胸を張る
「フンす!帝都に行き条約締結させに行くわよ」
いつもより大きく胸を張るローシュであった。
「お、おうなのじゃ」
やや苦笑いのルルンとロクゼンとマリー
「条約は何にするのじゃ?」
「不可侵が1番いいのだけれども今代で守られても次の代またその次の代で破られる可能性があるわよね?だから絶対に破られない方法をとることにするわ」
3人は首を傾げた。
2時間 帝都城壁
その日城壁の物見櫓で辺りを2人の兵士が城外を監視していた。
「あぁー今日も異常なし交代まであと少し終わったら酒場で一杯やりにいくかー」
「だなっ!給金も入った事だしパーって飲んだあと娼館でも行こうぜ!」
「いいねーキャサリンちゃん...に、ひさしぶ.......」
「ん?どした?は?なんだあれは??!」
その上空には石化2万人が城壁に向かってきていた。それは大きな積乱雲が迫り来る恐怖でしかない体験だったとのちの事情聴取にて記録されている。