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吸血姫と女王  作者: をた
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幼き女王

王位継承者のみ伝えられる『赫の宝玉』この石に呪文を唱えると願いが叶うという伝承がある。

即位僅かの幼き女王が打開の為、石を握りしめ呪文を唱える。


「ローシュっ!」


赫く眩しい光と共に1人の女性が現れた。

その女性は腰まである艶やかな黒髪、切れ長な赫い瞳、魅惑的な躰に真っ赤でスリムなドレスを着た美女が現れた。


「あら?貴女はシキ君の血族かしら?」


鈴の音色のような声に一瞬息を呑み幼女は応える。そして直感する。


「赫の宝玉は願いを聞いてくれると聞いたのじゃが其方は妾の願いを聞いてくれるか?」


「じゃが?ふふふ、あなた面白い喋り方するのね?」


目を細め笑う妖艶な美女にカチンとくるも深呼吸し、再度尋ねる。


「妾は祖母に育てられ矯正間もなく王位に就いたのじゃ。それで願いは叶えてくれのか?」


なにか切迫詰まったように感じた女性は態度を改め、幼女に応えた。


「ええ、そうよ。なにか困った事があればシキ君との約束により助けてあげるわ。私はローシュよろしくね」


その返答に幼女は瞳いっぱいに涙を溜め堰を切ったように嗚咽し泣く。その姿にローシュは優しい抱きしめた。


「何が今貴女をそうさせているのか分からないけれども幼き女王よ。なにに困っていのか教えてくださるかしら?」


「ゔうん...ぅん。っひっく。妾はルルン、ルルン=キーニアじゃ。父上が戦争で亡くなりッヒック...妾しか王位を継ぐ者がおらずで今や国は不安定な状況なのじゃそんでなッヒック...」


「うんうん。ゆっくりでいいわよ」


優しく背中を摩るローシュ。


「大切な...大切な民や兵士たちがボロボロ傷つきながら戦ってあるのじゃがなッヒック...平和で穏やかなキーニア王国だったのじゃがな、ある日前触れもなく帝国が攻めてきておるのじゃ、なんの罪のない民たちが蹂躙されておるのじゃ...助けてくれぬか?妾ができることならなんでもする!平和な国にする為になら命も捧げる!じゃがら頼むのじゃ」


ルルンの悲痛な叫びにローシュの切れ長な赫の瞳に力が入る。


「任せない。」


少し落ち着きを取り戻したルルンは作戦本部にてローシュを紹介したい旨を伝えてローシュは優しく頷いた。



王城作戦本部


軍の最高機関達が揃った会議室にて


「遅れてすまん。皆に紹介したい。ローシュじゃ。王家の『赫の宝玉』賢王の初代様から続く伝承にて召喚した。」


(あれ赫の宝玉って呼ばれいるの?それほど大したものでもないのに...)


冷や汗の流すローシュに先程の泣きじゃくっていた幼子ではなく王たる凛々とした態度でローシュを紹介する。


「ローシュの力を借り国を取り戻す!そして2度とこの様な惨劇を起こさぬように帝国に鉄槌をくだすっ!よいか?ローシュ?」


身長的に上目遣いでローシュを見るルルン。その瞳には決意の目だ。


「ローシュよ。シキ君とは初代王とは大切な友だったわ。そして彼には恩があってね、その約束を果たすためにこの幼く凛々しい女王と彼女の大切な臣下、兵士、民の為に死力を尽くすことを誓うわ!」


どよめきが波のように電波する。

なにせ剣すら持てそうのない細い腕だ。

そして1人の精悍そうな初老の男性が発言する。


「私はロクゼン=マイヤー。元帥をしております。失礼を承知で伺いますが本当に戦力としてローシュ様を加えても宜しいのでしょうか?」


ロクゼンの発言に同意的なルルン以外皆が頷く。


「マイヤー?あなたイチゼン=マイヤーの子孫かしら?」


大きく目を見開くロクゼン。


「シキ君とイチゼン君あとほかにも数人が先人となりこの国を一緒に建国したわ。国の防衛は私とイチゼン君が指揮をとったわ!あと私は吸血鬼よ」


「「えぇーーーーーーっ!」」



こともなげの発言に20人近くいる全員が口を揃えた。もちろんルルンもその1人。


「其方吸血鬼じゃったのか?それとあの防衛も?」


「恐ろしい?」


「いいや」


(真っ直ぐな黄金色の綺麗な瞳ねシキ君と同じだわ)


吸血鬼とは伝説の存在であり全ての生物が道を開けるという規格外の生命体である。

曰く、吸血鬼は不可侵である

曰く、吸血鬼は天災である

曰く、吸血鬼はなににも縛られない、縛れない


中には震え膝がケタケタし出した次第である。


「イチゼン君と同じ緑の瞳ね?なら分かるでしょ?」


そう、人間の瞳には稀に力がある。マイヤー家の緑の瞳は真偽を見抜く。なので嘘はつけない。

皆ロクゼンの力の秘密を知っている。そして兆しが見えた笑みをした。


「失礼致しました。何卒処分はいかように。」


頭を下げるロクゼン。


「結構よ。イチゼン君も同じ様に疑ったわ。まずは作戦を練りましょ。地図を見せてちょうだい」


「はっ」


素早くロクゼンが地図をローシュの前に広げ説明する。


「ご存知かも知れませんが説明を。我らキーニア王国は大陸南西です。ここ100年で合併、属国し大きく版図を広げたガロン帝国が北に位置しており南下し国境を去年破られ。現在では北の都市は占拠されました」


「ここで父上が指揮をとっていたが戦死したのじゃ」


下唇を噛み締めながらルルンは地図を睨め付けた。


「ええ誠に残念ながら...」


ロクゼンや軍上層部が拳に力が入る。


「そして現在奪還作戦を練っている途中でした。占拠された土地には約2万の兵です。対して我が軍は7千。奇襲作戦の案がありましたがローシュ様は何か案はありますでしょうか?」


皆ローシュの一挙一動を見る。


「概要説明ありがとうロクゼン。まず奇襲作戦はやらないわ」


どよめく一同。ローシュだけが笑みを浮かべて


「この作戦は勝つわ。その為に私とルルン、ロクゼン、あと1人ルルンの侍女を連れて北の都市に向かうわ今すぐに!」


先程よりも更にどよめく。


「妾はいいのじゃが」


食い気味にルルンを遮る


「いけません陛下!ローシュ様何故に!」


「フフフ、ロクゼンや皆の気持ちが分かるが聞いてちょうだい。まず第一にこれは自分の口から言うのは恥ずかしいのだけれども私は最強なのよ。第二にルルンとロクゼンと侍女は擦り傷一つつけさせない。第三に2万程度魔王軍に比べたら赤子同然。負けること自体がおかしいわ」


フンすっ!とその豊満な胸を張る吸血姫。その視線に皆釘付けになる中ルルンは咳払いをする。


「ゴッホン!!して、侍女を連れて行くのはなぜじゃ?」


「お茶汲みよ」


「「はい?」」


(軍上層部じゃなくて劇団かなんなのかしら?この一体感)


「フフフ、さて行きましょうかルルン」


「あ、あぁ」





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