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 ネコ様とニンゲン様

作者: 珀武真由

ちょこちょことこの方面にはお邪魔してます。

主にファンタジーに身をおいてます宜しければ覗いて下さい。

今回はある所で出品し損ねた作品です。

 お願いします。


 

 

  

 あたいは猫様だ! 文句があるのか。こにょにゃろう!

 

「何だよ。もう!」


 こいつはそう言って眠い眼を擦り起きて……にゃい。おい、起きろ!ご飯だ。ご飯。情けない。ご飯も食べるのに、人間の手を借りるとは。とほほ。

 仕方ないので、あたいは袋をガサガサし出した。


 ムクリ。ガサガサッ、ジャゲッがががガガガが、ザラザラぁ……。


 白い耳の形器に茶色の粒が入った。

 おお、わかってるぅ。これだよ。と食べ始め、ついでにトイレの掃除を頼もうとしたんだ。そしたら人間は。


「ふぁぁあああ」


 ああ、何布団に戻るんだよ。起きろ!


 あたいは布団にいる人間の頭を軽く小突いてやった。

 ふふん、どうだ、起きる気になったかい? 

 人間の肩に乗り爪を立て見下ろしてやったさ。人間は爪が当たったっ部分をこそばそうに摩っていた。んっと睨んだ瞬間、


「ぎゃにゃぁっあああああ」


 いきなり捕まり、布団の中にinされてしまった。そんなつもりはなかったのだが、人間の気持ち良さげな顔を見ているとこちらもなんだかうとうと。気がつくと寝てしまった。ふふ、温かいにゃ、こんな人間は何を隠そうあたいのご主人様です。


 ふぎゃ、ざっくり。


 布団の心地よさに浸っていると、いきなり(つんざ)かれた声と突き刺さる痛さで眼を飛び上がらせた。原因はそう! 猫だよ。

 黒と白の二色の牛柄の猫が布団に入り込んでいた。布団の中を覗くとキランと光る丸いものがこちらを見ていた。突き刺さるのは爪で、声はどうやら太ももに挟んだらしく。布団を開けると鋭い目つきで、のそのそと這い出てきた。猫が横をすれ違うとき、瞳が合ったのだが文句を言われている気分なった。


 なぜだ? おまえが入ってきたのではないのか。


 会話ができるなら交わしたいものである。猫に非があるのか、それとも俺が悪いのか聞けるのにな。

 まあ、そんな簡単に話せたら苦労はせんわなと思い、すれ違う尻尾を眺めた。


 なぜ猫と暮らし始めたのか、それはコイツが店の棚下に落ちていたからだ。


 店が開店してから小一時間が過ぎた頃、突然ミャーキャーと仔猫の声がする。辺りを覗ってもどこにも姿はなく、声だけが響き、他の店員と不安になり始め探したら「いた」のだ。棚下に小さく丸まり、震える姿は「なんだよ、この生き物」と思わせるほど可愛かった。最初は飼い主を募っていたが、店が閉まる時間になっても良い返事は得られず連れて帰ることに。そこからが共同生活の始まりだった。

 寒いときは温め合い、時には突かれ、叩かれ、咬まれ? なんか最初の文以外が可笑しなことになっているが、まあいいか。いいのかと疑問符が生まれるもいい関係を過ごしているはずだ。「うん」と納得して今に至るこの生活が結構気に入っている。

 種族間は違っても、互いに気持ちを通わせ共同生活を送っているものと思いつつ……。こいつはどうなんだろうな?

 毛を繕う猫を見遣り、そんなことを考えた。


 もう、失礼しちゃう。

 あたいを股に挟むなんて! 

 同じマタでもマタタビなら許せたのに〜〜〜。


 布団から歩くあたいを見届ける人間の瞳の生意気なこと。

 どうしてあたいがこんな目に遭うのかしら? と流し目で見てやった。長い尻尾を揺らし歩くと、人間に渋々と見送られた。

 人間に拾われ、ここに来てもう何年になるだろうか。あたいはある床で丸こまり縮んでいたことは覚えているけど、なぜそこにいたのか覚えてはいない。気がつくと人間の掌に丸くなって乗せられていた。


 今となっては懐かしい記憶にゃのだ。人間は日々、あたいのためにご飯とおやつと玩具を貢ぎ、良い主従関係があるのにゃから。


 日々の暮らしを楽しく過ごせれば良いかと、手を取り合う人間様と猫様。

 互いに協力、補完し合う仲睦まじき主従がいるのだが、はてさてどちらが上なのか?


 あたいの手は何時でみょ、ここにあるにゃ。


 一緒に暮らす人間にそう言い聞かすかのように、毛繕いをする牛柄の猫がいた。


お疲れ様でした。読んでいただきうれしいです。

「真紅夜綺譚」をファンタジーにて連載してます。お待ちしております。

 こちらの作品おもしろければポイントの方よろしくお願いします。

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