寄ってらっしゃい。
一枚、二枚、三枚、四枚ーー
足りないのは分かりきっている。
それでも数えなければならない。
下半身は冷たさに浸かり、その感覚はもう尋常じゃあないほど。
ただ、恨めしや……、恨めしや。
「おや、お前さんもかい?」 「ええ……。まっことによ」
はじめから側にいたのを感じさせなかった。
ただ、か細く呟く。
同じような境遇だったのだろうか。
櫛でとぐ度に抜け落ちる夥しいまでの黒髪。
腫れ上がった瞼、顔面の半分は直視できないほど醜い。
「へぇ、お菊さんってんだね、わちきはお岩ってんだよ」
「一億飛んで百十、百十一……ちょいと、語りかけてくださんな」
いったい何枚皿を割ったのかは分からない。
ぽうっ……と灯りが点る。
「あんたがた、どこさ」
「はぁ、有難や」 「しめしめ、かごめやかごめ」
提灯がやってきた。
「あたい、おつゆってんだ、よろしく」
みっつの怪異ーー湿る胸元、艶やかな着物姿。
く
ふ
ふ
ふ
ふ ふ ふ ふ ふ ふ
あ は は は は は は は
ははッ
溢れるーーー 眼差しに宿る。
どうしようもない狂喜。
呪いの記念日。