ヒロインは悪役令嬢
私の目の前で、私に頭を下げてはいけない人が謝罪の言葉と共に頭を下げている。
「陛下…大丈夫ですわ、殿下が決めた事ですもの…」
私の婚約者である、この国の王子は隣国へ留学中に隣国の王子が男爵令嬢と結婚したいが為に学院の卒業パーティーで婚約破棄された伯爵令嬢を庇い…そして我が国の未来の王妃となって欲しいと公開プロポーズをしたと言うのだ…。
「伯爵令嬢はとても美しく素晴らしき頭脳を持ち商才もあり、領民達にも慕われて、孤児達の保護活動もなさる女神のような方とお聞きしております、私のような平々凡々な者より王妃に相応しい方です。」
私の言葉に陛下はうつむき「すまない」と繰り返し謝罪され、怒りで顔が赤くなっていた父も…。
「我が国の公爵令嬢である娘を殿下はどうしたいと?」
伯爵令嬢と殿下は、隣国にてトップクラスの商会の会長をしていた令嬢の為に国中の店を閉めて全ての店の従業員共々、移住の準備で我が国にはまだいない。
「側室として、商会の仕事をする為に時間のない彼女の代わりに表向きの王妃の仕事を全てこなして欲しいと手紙に書いていた。」
「他国の伯爵令嬢が王妃で、我が国の公爵令嬢である娘が側室ですと!王妃の仕事が出来ないのなら側室か妾にすればよいでしょう!」
「お父様…ご令嬢はこの国に、働き口と若き働き手をもたらして下さるのですもの…仕方ありません。ですが側室の件はお断りいたします。婚約は白紙にしてください。」
「わかった、王子には儂が伝えよう。」
彼の隣に居られないのなら…私は。
「陛下、最後にお願いを聴いていただけますでしょうか?」
この国で、私ではない女と結婚するのなら…。
「よかろう、慰謝料と新しい婚約者は速めに準備を進めるが?他に何かあるのか?儂に叶えれる事があるなら言ってみなさい。」
「ありがとうございます、陛下。私はこの国から姿を消したいのです…。お見苦しい話ですが、殿下とご令嬢が仲良くしている姿など見たくないのです。それに、ご令嬢も元婚約者の私が居ると心休まらないでしょう、この国を豊かにしてくださる方…未来の王妃様に心労をかけれません、ですから私は祖母の故郷である国で暮らしたいのです。」
「陛下、私達公爵家全てで!母の国に移ります!」
「お父様!?」
婚約を白紙にした私は、一人でこの国から出ていくつもりでしたのに…
家族と使用人とで、おばあ様の故郷に移って参りました。
祖国での公爵家は叔父様が引き継いでくださり、祖国一番の都市となっています。
殿下が隣国のご令嬢を連れてきたことにより、祖国の商人達は
王室御用達の看板は全てご令嬢の商会となり、王室に見切りをつけ第二の都市であった公爵領へ移り住み、公爵領は大陸一の商業都市へと姿を変えました。
殿下と伯爵令嬢は貴族達には歓迎されたが、民衆には受け入れられず評価は低いうえに…ご令嬢は気心が知れているからと、祖国から連れてきた侍従を常に側に置いて居るため…既に不貞を疑われ、子流しの薬を数十回使用されたなどの噂が遠いこの地まで流れています。
私…婚約者を愛してはいた為、祖国での新しい婚約を断り、祖母の故郷に家族と移り住み、身分は低いが幸せにしてくれる恋人を見つけた。
殿下…留学先で悪役令嬢に興味を持ち、後先考えずに公開プロポーズをかました。
大きな商会を自国に引き込めたが、自国の商人の立場が無くなり民衆の怒りを買った。
一人っ子の為即位はできたが、生涯を通し歴史書に名が載るのは即位期間の短さ。
ご令嬢…現在から、悪役令嬢に転生し色々な知識で婚約破棄後の事を考えていた、モブ殿下に狙いを定めてGET!がヒロインと同じ事をしたと気づかない(人の婚約者を…)隣国に輿入れしたが、商人達に嫌われ、お気に入りの侍従(元孤児)を朝から晩まで部屋に招き入れていたので、不貞を疑われ殿下の子を何度か流産した。