プロローグ
「アーガイン!!下がれ!!もうそれ以上は辞めるんだ!!」
「うるせぇ!俺は戦士だ!お前と違って欠けたとしても問題にはならん。が、お前はここで死ぬようなやつじゃない。俺が行く!!」
その場には誰もが想像するような恐ろしい姿、魔王。
対峙するは勇者一行。
勇者、魔術師、戦士、ヒーラー、拳闘士。
勇者一行は魔王のディザイアブラストを受け、ボロボロになり動くことすらままならないはずだが、戦士は痛みを堪えては武器を握る。
「じゃあな!!楽しかったぜ!お前らとの冒険!!」
アーガインは己の最大限の力を振り絞って魔王へと突撃を仕掛ける。
「ふはは!!貴様ひとりで勝てると思うなよ!!」
「秘技、アンリミテッドバーサーカー。」
それを聞いた勇者は物凄い形相で叫んだ。
「アーガイン!!辞めてくれ!!それをやったらお前は」
「ありがとな、勇者ユークリッド。また来世で会おうぜ。」
そう言ってアーガインの突撃速度は目にも止まらぬ速度で魔王へと加速して突撃を仕掛ける。
「なっ!?速すぎるぞ!?だが防いでやるぞ!!ダークネスウォール!!」
魔王を闇のバリアを包んだ。
しかし、バリアはガラスのように破壊され、彼が持つ剣が魔王の腹へと刺さる。
「うぉぉぉぉぉぉ!!!」
「グォォォォッ!!やりおるな!!だが、タダでは死なんぞ!!ライフブラストォォォッ!!」
次の瞬間、辺りは凄まじい爆発に包まれた。
勇者一行は幸い、魔術師が放ったディバインウォールにより致命傷に至らなかった。
アーガインを除いて。
爆発終わったあとは、魔王と戦士の姿が消え世界は魔王の支配から解放された。
しかし、勇者一行は悲しみに暮れた。
彼が無理にでもやらなければやられていたのは勇者一行であることは誰の目にも明白であったと。
そして、世界を救うために彼は犠牲になったと。
その後、世界は徐々に平和を取り戻し始めた。
魔王を失ったとわかった魔物達は森へと追いやられ、各国の軍の騎士達が大討伐を開始。
頭を失った魔物達は本能ままに戦うが、統率の取れた人間の軍には知力と数と技術には勝てず、徐々に数を減らしていく。
そうして、世界の秩序が新たに築かれていく頃には勇者一行の偉業は讃えられ、各国でも式典行われるのであった。
「目を覚ましなさい、アーガインよ。」
ここは?周りを見回してみると白い世界が広がっていた。
「本当によくがんばりましたね。」
「貴女は…?」
「私は女神クレイン。この世界を管理する者です。」
「女神様か…俺にどんな用があるんでしょうか?」
驚きは隠せなかったが、言うてめっちゃ美人なお姉さんぐらいでしかない。
「ふふ、ありがとうございます。」
どうやら、俺の思考は読まれてしまうみたいだ。
別にいいけど。
「話が逸れてしまいましたが、貴方には転生をして貰います。」
「はぁ、なるほど。」
「今の世界は魔王の脅威はなくなったものの、他の脅威まだ残っております。ですので、魔王が倒されから6ヶ月後の世界となります。」
「結構、早いんですね。それだと勇者一行はまだ生きてるのか。あいつらにまた会えるのかー」
「そうなりますね。それに貴方は死んだとはいえあの魔王と刺し違えて倒したのです。そんな貴方はこの世界には必要なのです。
」
「かしこまりました。では、転生をお願いします。」
「次はもっと良き人生を。まだ若くして死なせてしまった貴方に私からの償いでもあります。」
すると、アーガインこう言った。
「女神様、それは違います。確かに勇者一行というのは貴女の導きで結成されていると神官から聞きました。ですが、俺が死んだのは俺がそうしたいからそうやった結果なのです。他にも賢い選択はあったのかもしれない。けど、あの時は俺にはあの方法しか思いつかなかった。その俺の覚悟を貴方の責任にしないで頂きたい。俺の覚悟は俺の物です。」
女神は驚いたように話す。
「それは失礼致しました。では、今度は若くして死なずに頑張ってください。もう、導きであなた達を集めません。ただ、世界より良くして頂ければ大丈夫です。ではまたお会いしましょう。」
そう言うと俺の意識は落ちていった。