47 傍から見たら姉妹を連れた兄ですよね?
前のエピソードを予約更新し忘れるというミスを犯してすみませんでした。
今回より前に1話更新してますので、まだご覧になられていない方は先にソチラをどうぞ。
あまなちゃんと黒音を乗せて車を走らせること1時間で、目的地である『明見ショッピングモール』に到着した。
道中、後部座席に座る2人の会話をBGMにして運転をしたが、事故もなく辿り着けて良かったと思う。
今日は土曜日なので多くの人が訪れているため、駐車場の空きを探すのに少し掛かってしまったが、予め予想していたことなので問題ない。
車を降りて駐車場からモール内に入ると、多くの人だかりとテナント店の品ぞろえに、あまなちゃんは高揚を隠すことなく瞳を輝かせて辺りを見渡す。
「ふあ~! ひろいね~!」
「この辺りで1番近いモールだけど、あまなちゃんは来るの初めてなんだっけ?」
「うん。だからすっごくたのしみだよ!」
心から浮かべる笑みが眩しい。
遠慮するあまなちゃんを説得して良かったと思える。
そして何より可愛い、可愛いは正義だ。
思考が思いきり逸れたが、気を取り直して俺はあまなちゃんに右手を差し出す。
「ほら、はぐれないように手を繋ごうか」
「うん!」
俺の手にあまなちゃんの小さな左手が重ねられる。
重ねると言っても大きさが異なるため、俺の手が彼女の手を包むような感じになった。
「じゃあもう片方の手はアタシが握ってあげる。じゃないとアニキが大変だしね~」
「えへへ、おにーさんとおねーちゃんにおててにぎられちゃった」
あまなちゃんの空いている右手を黒音の左手が包む。
前半は良いとしても後半の内容に物申したいところだが、嬉しそうなあまなちゃんの様子に言葉として紡がれることはなかった。
まぁあまなちゃんを挟んで黒音と手を繋いだことで『幼女を連れた成人男性』から、『美少女姉妹を連れた兄』くらいには見えるかもしれないか。
そうポジティブに考えることにして、まずはアパレルショップのテナント店へと向かうことにした。
俺やあまなちゃんというより、黒音が率先して選んだ結果だ。
花の女子高生として、オシャレに人生を賭けていると言っても過言ではない妹の張り切りように、青春しているなぁと感心する。
だが今日見に行くのは服じゃなくて……。
「もう夏になるから、新しい水着が欲しかったんだぁ!」
嬉々として黒音が言った通り、水着を買うためだ。
実際、訪れたアパレルショップでは水着セールが開催されていて、様々な水着が売り出されている。
正直どれがトレンドだとか分からんが……自分の分を買うわけではないし気にしなくてもいいだろう。
「おねーちゃん、あたらしーみずぎがほしーの?」
「そうだよ~。ほら、こことか大きくなったから前のだとサイズが合わないからね」
あまなちゃんの純粋な問いに、黒音は自分の胸元を指しながら微笑む。
目線を合わせて屈んだため、双丘の主張がさらに激しいことになってるがツッコむだけ野暮だろう。
というか、指摘したら兄妹とはいえセクハラとして咎められそうだ。
一方で、あまなちゃんは自分の胸元に手を当てて何度も黒音の胸と見比べる。
その眼差しは真剣というか……自分との明確な違いに茫然としているようだった。
「おねーちゃん! どーしたらおむねっておおきくなるの?」
「え?」
いつかの勉強会であまなちゃんの友達が同じ質問をしていたのを思い出して、俺は思わず吹き出してしまう。
嫉妬ではなく羨望から来る純粋でストレートな尋ね方は、何とも困惑を感じてしまうなぁ……男の俺がいるのにも関わらずだし、よっぽど気になるんだろうか。
下心から出た反応出ないことが分かってるのか、黒音は嫌な顔をすることなく笑みを浮かべて答える。
「好き嫌いせずにたくさん食べて、たくさん運動して、たくさん寝たら大きくなれるよ~」
「わかったー」
返答の仕方が手慣れてるなぁ。
個人差があるとはいえ健康が一番の成長の要素なのは確かだし、そういう意味では黒音は嘘を言っていない。
まぁ、あまなちゃんの母親である天梨を見れば、黒音程は無理にせよ良い線は行くと思うけどな。
出来れば、そうやって健やかに成長していく様を見届けて行きたいものだ。
「よし! それじゃせっかくだしあまなちゃんの水着も買っちゃおうか!」
「え? でも──」
「いいんじゃないか? 黒音からの厚意だし、あまなちゃんだっていずれそういうことは覚えておいた方が得だよ」
「そうそう! 同じ女の子なんだし、目一杯オシャレして可愛くいようよ!」
「かわいく……うん!」
ノリノリな黒音の提案に一瞬遠慮しそうになるが、将来のためと後押しする俺達の言葉に納得したようで、あまなちゃんも乗り気な表情を浮かべた。
天梨からは欲しい物を強請った場合1つだけなら買ってあげてもいいと許可を得てはいるが、これは俺達の好意で買うものだし、揚げ足を取るようでちょっと小狡いがノーカンでいいだろう。
そうして妹のアドバイスの元、あまなちゃんが自分に合うと思う水着を選んでいく。
俺?
店の外でスマホをいじって2人を待ってるよ。
だって、自分のを見ない限りこういうところってすることないし。
そうやって待つこと10分程して、黒音から『試着室の前に来い』というメッセが飛んで来た。
あーお決まりのアレかと察しつつ、特に逆らうことなく指示された通りに向かう。
試着室の前には、黒音とあまなちゃんの履いていた靴が置かれていた。
解り易い目印ありがとうと心の中で感謝を述べつつ、俺は中にいるであろう2人に声を掛ける。
「黒音、来たぞー」
『お、キタキタ~。それじゃあまなちゃん、開けるよ!」
『うん!』
あ、同じ試着室に入ってたのね。
なんて感想を浮かべたと同時にカーテンが開かれる。
「「じゃ~ん!」」
「──おぉ」
中にいた2人の姿を目にした瞬間、俺は感心から声を漏らす。
黒音が選んだ水着は白に青い花柄があしらわれたフリル付きのビキニだ。
色っぽさと可愛さをこれでもかと見せるが、自分の体形に自信が無いと中々手が出せないタイプの水着を妹は見事に着こなしていた。
特に大きな胸が大胆に露わになっている様は、すれ違う女性が解り易い二度見する程である。
自分のサイズと比較して項垂れている人もいるが……コイツが特殊なだけですよ。
そしてあまなちゃんはというと、ピンクのホルターネックタイプのトップ、同色のパンツはスカートのような形状になっていた。
体形に関しては小学1年生ということで女性らしいとは言えないが、ただひたすらに可愛いので問題ない。
むしろスタンディングオベーションで拍手を送りたいレベルだ。
「どう? 似合う?」
感心する俺に対し黒音が挑発するかのように、わざとらしく前屈みになって煽って来る。
普通なら動揺するだろうが、生憎と言えばいいのか俺は妹に欲情するような趣味はない。
「あまなちゃんの天使っぷりにさらに磨きが掛かってるな」
「ホント? うれしー!」
「うわぁ……」
なので、べた褒めしてもなんらおかしくはないあまなちゃんに称賛を送る。
褒められたあまなちゃんは満面の笑みで喜びを露わにしたが、スルーされた黒音はどうしてか犯罪者を見るような冷たい眼差しを向けて来たのだった。
ここまで読んで下さってありがとうございます。
次回も明日のお昼の12時に更新します。
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