変わらぬ日々
東京
宮下椿樹は祖母の指導のもと毎日花嫁修行に励んでいたが
「あーも 全然上手くできない」
「はいはい 椿樹もっと集中して、料理は出来てもお裁縫が出来なくては立派なお嫁さんにはなれませんよ」
椿樹は料理はできたが裁縫などはダメダメだった
「はーい」
少し嫌々だったが、その後も修行は続いた
「今日はこれまでにしましょう」
「はーやっと終わった〜」
椿樹がくたびれていると玄関の戸を叩く音がした
「あら、誰かしら」
祖母が玄関に向かい戸を開けると椿樹の友達の賀屋三咲がいた
「あ、しまったー今日は三咲ちゃんと出かける約束したんだった」
椿樹は大声で叫んだ
「三咲ちゃんちょっと待っててすぐに支度していくから」
そう言うと椿樹は急いで着替えを済ませると三咲のもとへ向かう
「ごめんねー、三咲ちゃんまたせちゃって」
「全然大丈夫よ、さ、行きましょ」
二人は東京の街中を歩き始めた
二人が通りを歩いていると外国人の女性とすれ違った
「ねえ、今の異国の人見た」
「ええ、ブロンドの髪で肌が白くてとても綺麗な人だったね」
日本橋近辺を通ると三咲は
「明治座にでも行ってみないあそこら辺安いしさ」
当時、日本橋明治座は銀座歌舞伎座、新橋演舞場とともに東京を代表する劇場だった
「何見るとわいっても軍隊とか男物ばっかりねー」
「しょうがないよ戦争が終わったばっかりなんだから」
日清戦争終結当時から軍国美談を題材した作品が多々あった
「じゃあ、あれにしましょ、あれなら面白そうじゃない」
「確かに面白そうね、じゃあこれに決定!」
二人は楽しそうに明治座に入っていった