危篤
二人は店の中に入り席へ座った
「俺はこのサバの定食で、姉ちゃんはどうする?」
「じゃああたしも同じので」
椿樹たちは注文を済ますと本題に入った
「んで、話ってなんだよ、わざわざ東京から広島まで来て」
「それはね、お母さんのことで」
「お袋の?」
「うん、お母さんの体調があまり良くなくてお医者さんに見てもらったんだけど、結核かもしれないって」
春樹はとても驚いた表情で
「け、結核、そ、その事周りには話してないよな」
当時、結核は不治の病であり空気感染するという噂が強く結核患者やその家族は周囲から差別され、感染を防ぐ為患者を山奥の小屋などに隔離したりしていた
「うん、大丈夫、この事はおばあちゃんと見てもらったお医者さんしか知らないから」
「ならいいが、その事を伝えに広島まで来たのか、別に電報や手紙でも良かったんじゃあないか?」
「ねぇハル、本題に入るんだけど」
「え、今のが本題じゃなかったの」
「軍隊を辞めて東京に戻ってきて欲しいの」
春樹の表情が重くなった
「悪いけど、それは無理だ」
「どうして!、お母さんだってハルに会えば少しは元気になると思うし家を飛び出した事だって許してくれるはず」
春樹は椿樹の言葉を遮る様に
「俺は陸軍を抜ける気はないしそれに日本は今戦争中だぞ抜けれる訳がない、それにずっと黙ってたが明日を俺が居る部隊が朝鮮へ出兵するんだ」
日本は数日前の八月一日に清に対し宣戦布告していた
椿樹は驚愕した
「え、そんな、、」
「今会えてるのも小隊長のはからいで特別に外出さしてもらってる」
「ハルが戦地に、」
そうしていると注文した定食がきた
「とりあえず飯食おうぜ、それに後で連れて行きたい場所もあるし」
「連れて行きたい場所?」




