夢魔
「あらおばあさん、どうしたの、浮かない顔ね」
「おやお嬢ちゃん、そうねえ、悩みがあるのよ」
「是非聞かせてほしいわ」
「あの人が逝ってからもう随分と経つわ、でもずっと忘れられないの、未練がましいわね」
「とても愛していたのね」
「でもいつまでも縋ってられないわ」
「忘れたいの?」
「そんなこと出来ないわ、でもそうするべきかもしれないわね」
「ふぅん」
◇◇◇
「あらおばあさん、今日も浮かない顔ね」
「なにかとてもモヤモヤするの、大切な何か、わたしの半分を失ってしまったみたい」
「そうなのね」
「何かしらね、とても辛いのよ」
「でもそれは貴方が望んだことだったじゃない」