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真・恋姫†夢想~朱霊伝~「六人目の大将軍」  作者: 羅貫厨
3章・董卓+何進=動乱
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~洛陽動乱~中華を覆う暗雲の根・2

仕事が忙しくて投稿が遅れました。すいません。


駄文ですがお付き合い下さい。

 華佗から一筆頼まれた審配が朱霊への文を書き上げてからそれを華佗に渡すと、



「すまない、恩に着る!」



 と言い残し彼は洛陽へ旅立って行った。



「華陀殿と洛陽へ向かわず宜しかったのですか?」



 文を書いていた時の審配を見ていたからだろうか楊白がそんな事を聞いた。


 楊白の言葉に審配は想いを馳せる様に洛陽がある北東の方角へ姿勢を向けた。



「其れがしは君命があって益州に来た。その命を果たさずして戻れる訳があるまいて」


「そうですか。要らぬ事を聞いた様ですな。申し訳ございません」


「はっは!いやいや、お気になされるな。それよりこの後はこの病院の見学をさせて貰っても?」



 若干跋が悪そうに顔を顰めた楊白に審配が笑って返した。



「そうでしたな。審配殿は見学の為に来院されたのを失念しておりました」


「あ、もう院内の見学に行っちゃうんですかぁ?ん~…楊白さん、春華も一緒に行っても良いですかねぇ?」


「はは…、良いも何も当院の院長は張魯様です」


「それもそっか!うん!じゃあ審配さん、春華が案内してあげますよぉ~」


「それは有り難く。よろしくお願い致します」


「は~い!」


(私はまだ見学者用の札を貰っておらぬのだが良いのだろうか?まぁ、院長である張魯殿が案内してくれるというのだから問題ないのか?)



 ニコニコと笑みを零す張魯に手を引かれ病院の見学に繰り出す審配だった。





 ――――一方その頃――――


 平原へ向かう船上の朱霊はというと、



「あ、ちょ…!鈴々揺さぶらないで…!出ちゃう!出ちゃうから!!」


「にゃはは~!お兄ちゃんはお船に乗るとだらしないのだ!」


「あ…も、もうダメ…オロロロロロロロロロ…」


「ぎにゃあああああああ!!お兄ちゃんばっちいのだぁ!!」



 船に揺られグロッキー状態の所を張飛に襲撃され、虹色に輝く謎の吐瀉物を船上に撒き散らしていた…。





 場所は変わり~某所~



 論考賞が行われている頃、この場では玉座に座る男とその配下である翁が戦の終わりを喜ぶ声どころか、早期に終結してしまった乱を苦々しく論じていた。


 先程、戦場に物見に出していた斥候が戻り、男等に黄巾が敗退したとの知らせを持ち帰った為だ。



「――そうか。黄巾共は大した事も出来ず制圧されたか」


「はい。これは由々しき事態で御座います。此度の乱は長引かせ霊帝の即位は天の意にそぐわぬ物であったと裏から広める予定だったのですが…」


「ふん。左豊は官軍を混乱させる事も出来んとはな…役立たずめ―」



 玉座に据わっていた男は片手で弄んでいた酒の入った盃を苛立ちと共に飲み干す。


 男は黄巾の起こした乱が一年は中華を混乱させると踏んでいた。


 乱を長引かせる為の策として抱き込んだ督郵である左豊を送り込み、内側から討伐軍を瓦解させる様に手を回したのだ。


 だが蓋を開けてみれば乱は二月と持たず鎮圧され、左豊も名も知れぬ義勇軍の将に罪を咎められ処刑されたと報告を受けていた。



「左豊が処断されたのは誤算でした。よもや表向きは十常侍の筆頭である張譲の手の者を手に掛ける者がいるとは思いもしませんで…」



 苛立ちを隠そうともしない男に翁は冷や汗を拭いつつ弁解の言葉を紡ぐ。



「構わぬ。左豊が無能だっただけの事だ。して、師父よ。今後はどうするつもりだ?」



 盃を弄び酒を回しながら翁を睨むように男は目を細める。



「黄巾がこうも役に立たぬとは思っておりませんでしたが、既に次の手は打っております。ご安心くだされ。アレを使います」



 次の打った策に余程自信があるのか口の端を釣り上げ翁が笑みを零した。



「やはりアレを使う事になるか…。まぁ良い。霊帝を堕とせるのであれば多少の不都合には目を瞑ってやる。上手くやれ」


「ははっ…!」



 翁の笑みに安堵したのか、男は玉座に背を預けゆっくりと盃を煽る。



「――もう少しだ。もう少しで天を我が手に…。我が天を掴めば世は正しい姿に戻る。

 高祖が建国されたこの漢…。王莽に簒奪され、呂母の乱が起こりそれを光武帝が平定した…。

 そこまでは常に正しい世だったのだ。それがいつの間にかおかしくなり、今では女が天子の座にいる―――何故こうなった…」



 天井に視線を彷徨わせ、過去に想いを馳せる様に男は目を閉じた。



「そうですなぁ…。原因は歴代の皇帝に幼帝が多かった事が一因である事は間違いないでしょう。

 歴史を紐解けば、幼帝を仰ぐことによって皇太后が力を持ち、外戚も盛んになり外戚による専断が幾度も見られました。

 宦官が増えたのは、皇后府が力を持ったのが原因でありましょう。

 皇帝が幾人も30代で崩御しており、若くして崩御することから後嗣を残さずに亡くなる皇帝も少なくありませんでした。

 このため幼少の皇帝が続出し、即位時に20歳を越えていた皇帝は初代光武帝と第2代明帝の2人だけです。

 即位時に15歳を越えていたも章帝だけでした。

 6代目である安帝の頃には力を持つ女傑が台頭を始め、9代目である沖帝も霊帝と同じく女でした。

 この頃には既に女が政に強い発言権を持つ様になっていたと思われます」


「…うむ。やはり外戚と宦官の権力争いが皇帝の力を削ぎ、私利私欲に走った事が今の有様を生んだと言えような」



 実は霊帝は先帝である桓帝の子ではない。


 霊帝は桓帝と同じ河間王劉開の曾孫であり章帝の玄孫に当たる。


 父は解瀆亭侯劉萇で解瀆亭侯劉淑の孫。


 先帝の桓帝(劉志)の子には男子が無いとされており、同じ河間王家出身であったことから、建寧元年に桓帝の皇后の竇妙、大将軍竇武、太尉陳蕃らにより擁立された。


 これは桓帝の皇后の竇妙、大将軍竇武、太尉陳蕃らの謀である。


 当時、河間王家出身とは言え、繁栄して分家が増えた河間王家にあって解瀆亭侯は傍流でしかなかった。


 その上、父であった劉萇は早くにして死んでしまった。


 霊帝として迎え入れられるまで劉宏は妹である劉協と母と三人で世間の同情や哀れみ、侮蔑の視線を受け、それを耐えながら貧しい暮らしを送っていただけの少女に過ぎなかったのである。


 その後ろ盾が無い彼女を竇妙、竇武、陳蕃らが皇帝として迎えたのは権力争いの敵を作りたくなかった彼らにとって実に都合の良い存在であったからだ。


 恐らく竇妙、竇武は竇武の子である竇機と劉宏を婚姻させ、更なる権力の独占を目論んでいたとも思われる。


 だが、それらの目論見は宦官の擁護に走った皇后の竇妙の存在で水泡に帰したのであるが…。


 王室の血を引いていたとは言え、貧しい暮らしをしていただけの少女だった劉宏が天子の座にいるのはこういった背景があったのである。



「はい。この流れを断ち正常な世に戻す為には何としても主上には天子の座に上がって頂かねばなりませぬ」



 翁の言葉に男はゆっくりと目を開け、その視線を翁へと向けた。



「我は前漢6代目景帝の末孫である。

 光武帝から数え同じく6代目である安帝の頃からより歪になった漢を正さんとするのは我が天命だ。必ずや成し遂げて見せようぞ。

 師父よ、次なる策を打て。それを我が悲願成就の為の第一歩とするのだ」


「ははっ!我が君の御心の侭に…」



 男の思惑が根を張り、天を頂かんとする巨木になろうと胎動を始めた…。

次回は11/12~13に投稿予定です。

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