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真・恋姫†夢想~朱霊伝~「六人目の大将軍」  作者: 羅貫厨
3章・董卓+何進=動乱
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~洛陽動乱~幼聖女とゴットヴェイドー

駄文ですがお付き合い下さい。

 審配は楊白に案内され病院の最奥にある部屋へと足を運んだ。


 部屋の扉には『院長室』と書かれた札が掲げられている。


 楊白は院長室の扉の前まで来ると、



「張魯様。楊白に御座います。少々宜しいでしょうか?」



 と声を掛ける。



「え?楊白さん?どうぞ入って下さい」



 楊白の声掛けに反応し、中から年若そうな少女の声が聞こえて来た。



「失礼致します」


「はーい」



 扉の前で一礼し、静かに扉を開けた楊白。


 張魯本人は見えていないであろうに頭を垂れる楊白に審配は少々面食らった。


 自らは主君である朱儁にさえここまでの礼を尽くせていただろうか?


 そんな思いが胸中を掠める。



「ささ、審配殿。中へどうぞ」



 そんな審配の胸中を他所に、楊白に室内へ誘われる。



「――失礼致す」


「どうぞどうぞ~。…あら?楊白さん、こちらの方は…」



 室内へ入ると部屋の奥の中央の卓で筆を採っていたと思われる少女と一人の老人、赤い髪の長身の青年がいた。



「張魯様。お客様に御座います。ささ、審配殿。前へどうぞ」


「かたじけない。では…」



 楊白に促された審配は前に進み出て膝を着き包拳礼をした。



「お目に掛かれまして光栄に御座います。

 其れがしは漢の都亭侯、右中郎将である朱儁様の配下で名を審配。字を正南と申します。

 本日は当院を見学させて頂きたく参上いたしました」


「漢の…とていこー…?うちゅ?…朱儁様…?」


「ひぇっひぇっひぇっ。漢の漢の都亭侯、右中郎将、朱儁様で御座いますぞ。張魯様」



 一度で理解出来なかったのか張魯が目を白黒させていると傍に控えていた老人が区切りながらゆっくりと説明。



「ほぇ~。お偉い方なんですねぇ。春華は都の事とかは全然わかんないのです!えっへん!」


「それは自慢にならないと思うんだが…」


「…張魯様。それは胸を張って堂々と宣言する様な事ではありませんよ?むしろ恥ずかしい事ですからね?」


「ええっ!?でも、分からない事は分からないですもん」


「ひょっひょっ!胸を張れる様な事では無いのは確かですぞ」



 張魯は三人からツッコミを受けわたわたしている。



「…………」



 のほほんとした緩い空気が室内を満たしていき、審配は呆気に取られてしまった。


 どうやら目の前の少女は中華の情勢にかなり疎い様だ。


 この中華で医学者達の評価というのは随分と軽い。


 それは歴代の五斗米道の指導者達が目の前の少女の様に政治や中華の情勢に興味を持たず、権力という物に疎遠だったからではないのだろうか?



(命を救う事に念頭を置く医者達が権力に固執しないというのは正しいのかもしれない。

 だが医療を広め普及させるには医者の立場を向上させる事が最も効果的なのも事実。

 しかし権力欲を持った場合、その医者が命の貴賎なく人々を平等に扱うだろうか…?)



 権力に溺れ、更なる地位を求めるあまり民草を虐げる為政者や、金銭を求める余りに法外な事に手を染めている者達を審配はよく知っていた。


 もし五斗米道が権力や金という物に執着した場合、医療が中華に広まるのは早いだろうが、それは民草にとって喜ばしい物になるとは考えにくい。


 医療という物は権力と関わらずゆっくりと民草に浸透して行くのが最も好ましい結果を産むのかもしれない。


 頭の中でそんな結論に行き着いた審配。



「おや?審配殿どうした?なにか難しい顔をしているが、もしかして具合でも悪くなったか?」



 審配の様子がおかしい事に気付いたのか、赤い髪の青年が声を掛けてくる。



「あ、ああ。気にしないで貰って結構だ。少々考え事をしていただけなのでな」


「そうか?なら良いんだ。ただ、気分が悪くなったら言ってくれ。幸いにもここは病院だ。多少の事であればなんとかなるだろう」


「お気遣い痛み入る。だが本当に何ともない」


「そうか。わかった。…そう言えばまだ名乗っていなかったな。俺は華陀と言う。

『医療流派ゴットヴェイドー』の継承者で流れの医者をやっている」



 華陀と名乗った青年が爽やかな顔で握手を求めた。



「ふむ。五斗米道の継承者で華陀殿か。こちらこそ…」



 審配はその手を取ろうとしたのだが…、



「違う!ゴットヴェイドォーだっ!」



 何がいけなかったのだろうか、力を込めて訂正に奔る華陀。


 審配の手は虚しく空を切る事に。



「ご、ごと…べいどー?」


「ちがーう!発音はゴット・ヴェイ・ドォーだっ!」


「む、むむむ…?」



 残念ながら審配には違いが分からなかった。



「ひょっひょっひょ!初めて耳にした審配殿には違いなんぞわからんだろうて。華陀よ、ちと熱くなりすぎじゃのう」


「む、むぅ…」



 珍妙な笑い声を零しながら華陀の肩に手を置いた老人に諭された華陀は跋が悪そうに頬を掻いた。



「さて、次は儂の番かのぅ。儂は楊松という老いぼれじゃ。既に隠居の身じゃがのぉ。ひぇっひぇっひぇっ」



 進み出た老人が自らを楊松と名乗る。




「楊松さんは先代様…二代目の指導者だった張衡様と共に漢中で医療を広める活動をしていた方なのですよ!ついでに楊白さんのお父さんです!」



 いつの間にか近寄って来ていた張魯が楊松の人物を補足する。



「そしてぇ、春華が五斗米道の三代目・張魯なのです!えっへん!

 …ってこら!楊松さん春華のお尻を触ろうとしないのっ!もうっ!今日はコレで何回目かなぁ?」



 小さな体躯を大きく見せようとしているのか無駄に胸を張る張魯。


 その隣で楊松がこっそりと張魯の尻に手を伸ばすものの、不穏な気配を察した張魯にその手が阻まれる。



「ひょっひょっひょ!気付かれてしまったかの!」



 カラカラと笑いながらも未だ張魯の尻を触ろうとする楊松と頬を膨らませ触らせまいとする張魯との間で珍妙な攻防が繰り広げられていた。



「張魯様は一見おバカな子に見えますが、医療知識や技術に関しては先代様を上回る才能の持ち主でして‥。巷では幼聖女とも呼ばれているんですよ」



 楊白が張魯に付いて補足した。


 室内に入るまではあれ程の礼儀正しさを見せていたにも関わらず、張魯本人を目の前にしているというのに随分と砕けた言葉になっている。



「あー、楊白さん酷いんだー!おバカって言ったし!」


「いえいえ、おバカとは言っていませんよ。おバカに見えるとは言いましたがね」


「むー。春華っておバカに見えるんですかねぇ?楊松さん?」


「ひょっひょっひょ!さて、どうじゃろうのぅ」



 楊白のおバカという言葉が気に入らなかったのか、唇を尖らせた張魯が楊松に対し目線で何かを訴えるものの、当の楊松はのらりくらりとそれを躱して行く。


 尻を触ろうとする楊松と触らせまいとする張魯の攻防は続いているにも関わらず、随分と器用な遣り取りである。


 彼らの遣り取りを見ていた審配は何処か懐かしい気分になっていた。


 朱家で感じていた心地の良い雰囲気。


 彼らはそれと似た何かがあるのだと目を細めた。



「さて、審配殿が来てから話が随分と逸れてしまったが、そろそろ本題に戻っても良いだろうか?」



 脱線し迷走していたらしい流れを正す様に華陀が声を挙げた。


 どうやら審配が訪れるまで何かの話をしていた様だ。



「あ、はーい!涼州で広まっていた医療の事でしたよねぇ」


「ああ。主導していたのは天水の董卓殿だ」


「ほへぇ~、その董卓さんは素晴らしい医療知識をお持ちなんですねぇ!病院の事もそうだけど、着眼点が凄いというか発想が凄いです!」



 自分には無かった発想をした董卓に張魯が目を輝かせるも、



「いや、施行したのは董卓殿である事は間違いないんだが、その董卓殿に医療知識を教え、病院を建てる事を勧めた者がいたみたいなんだ」


「え、そうなの?でもそうすると誰が教えたんだろう?涼州で広まってる医療って五斗米道の流れとは全然違うみたいだしぃ…」


「俺も気になったから聞いてみて回ったんだが、どうやら朱霊という人物だそうだ。ただ…」


「!!なっ!?」



 華陀の口から出た思わぬ名前に審配は驚いた。


 冀州南皮から遠く離れたこの漢中の地で朱霊の名を聞く事になるとは思ってもいなかった。


 況してや涼州で医療を促進していたなど想像もしていなかったのである。

張魯さんですが、モデルは司馬懿の正妻だった張春華です。


因みに審配さんはタクティクスオウガのバールゼフォンをモデルにしています。


タクティクスオウガに出会ってから随分経ちますが、羅貫厨の中では未だにアレを超えるゲームに出会った事はないです。


プレイした事がある人にしか分からないネタですが、カチュアを殺さない様にするのが大変でした!


次回は11/3に投稿予定です。

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