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真・恋姫†夢想~朱霊伝~「六人目の大将軍」  作者: 羅貫厨
3章・董卓+何進=動乱
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~洛陽動乱~医学の都

駄文ですがお付き合い下さい。

 廖化と周倉の二人と合流する事に成功した審配は益州へ続く道を進み、上庸を抜け益州の玄関口と言われる漢中へ入った。


 ―漢中―


 反秦連合に参加した後に秦の都咸陽を陥落させ、一時は関中を支配下に入れた漢の高祖劉邦が項羽により封じられ(実質左遷)漢王となった地。


 現代に於いての『漢民族』や『漢字』などの名称の由来となる地名でもある。


 漢中は盆地になっていて、北は秦嶺山脈で長安があり、南には成都がある。


 長江支流の漢水が東西に流れていて、東に下ると長江流域へ出る事が可能で、西へ上ると天水付近へ出る。


 漢水やその支流の褒水・胥水などが流れる肥沃な盆地であり、漢水の中程にあるので『漢中』と名付けられたと伝えられている。


 孤立した盆地である事から経済的には豊かな土地ではないものの、北は関中、南は巴蜀、東は漢水を下って長江流域に出られることから交通の要所であり、関中や巴蜀を支配する勢力にとっては漢中を押える事は軍事的に無視出来ない場所でもある。


 そしてこの漢中の地に在って諸侯が無視出来ない存在がある。



 それは『五斗米道』である。



 五斗米道の名は、信者に五斗(500合=当時で20リットル相当)の米を寄進させた事に由来する。


 教祖である張魯は祖先を漢の功臣である張良とされているのだが詳細は不明。


 本来であれば五斗米道は道教集団であるはずなのだが、この世界では医療に通じた医学者の集団である。


 中華の各地に医学者達を送り込み、患者の治療と医学の発展に尽力しており、諸侯達からの覚えも目出度い。


 彼らはこの漢中の地に在って未熟な医療知識を広め、少しでも人の命を繋ごうとしていた。



「ここが漢中か…。噂には聞いていたが、医学者の街だというのは本当だな」


「せっかく街に来たんだしガッツリと飯でもとか思ってたのによぉ…。なんで並んでる飯屋のほとんどが薬膳ばっかなんだよ…?腹の足しになるのか?」


「なんでも大陸にいる医学者のほとんどは漢中出身らしいな。それからな、周倉は肉ばかり食べているから頭に血がのぼりやすいんだ。薬膳を主体にしたらその短気も案外治るんじゃないか?」


「うっせぇな!ほっとけ!あー、肉が食いてぇ!」


「宿で部屋を取ったら行動は別にして構わん。廖化殿も周倉殿も好きに骨休めをすると良い」



 審配ら三人はこの地で一度休憩を挟み旅の疲れを癒す事に決めていた。


 理由としては漢中が宛から韓忠の妻が居る江州の中間地点とも言える位置にあった為だ。



「へっ。ジジイに言われねーでもこっちは鼻っからそのつもりだってーの」


「行動を別にするのは構わないが、審配殿はどうするつもりなのだ?」


「せっかく漢中にいるのだ。私は多少でも医療の知識を学ぶつもりだ。我ら将にそういった知識があれば戦場で失われる兵の犠牲を少しでも減らせるやも知れぬしな」


「…確かに最もな話だ。私も審配殿の様に医療を学んでおくべきか…」


「ふん。廖化はともかく、ジジイは学んだ事が無駄にならなきゃ良いけどな」



 相も変わらず周倉が審配を皮肉る。


 多少の程度の差異はあれど、周倉は未だ審配を敵視している様である。



「―周倉。お前はいつまで審配殿に対してそうしているつもりだ?」


「いつまでだって?そいつは奥方様の判断次第だっての!それまでコイツは俺の敵だ!」



 そう吐き捨て、審配をひと睨みすると周倉はそのまま街へ消えていった。



「すまないな審配殿。どうやらアイツは私が思っていた以上に頭が堅い様だ」



 廖化が申し訳なさそうに頭を振る。


 周倉の気持ちも理解しているのだろう。


 なんとか双方の間を取り持とうとしていた廖化。



「いや、主君筋に対する忠誠がそうさせているのだろう。同じく私も主君を頂く身だ。分からん訳ではない」



 救われるのは審配が周倉の心を汲み取り、それを是と受け入れている事だった。



「そう言って貰えると助かる。私は周倉を探すとしよう。アレを一人にしておくと何をやらかすか分からんからな」



 そう言って苦笑すると廖化は周倉を追って街の中へ消えていった。



「――この世は何故、我らを敵対させたのか。国を想う根幹は変わらぬというのに…。戦乱の世というのは御し難い物よな」



 審配は周倉と廖化が消えて行った方向に目を向けひとりごちた後、街の中心へ向けてその足を進めた。


 彼は近場にあった飯店で食事を済ませると、街の中でも一際目を引く大きな建物へ足を運んだ。



「すまぬ。少しばかり聞きたい事があるのだが」


「へい。何で御座いやしょう?」


「あの大きな建物は一体なんなのか教えて貰えないだろうか?」



 通行人を捕まえ尋ねてみる。



「ああ、あの建物は最近出来た『病院』とか言う怪我や病気を見てくれる施設でごぜぇやす。あの病院が出来るまではお医者様を呼んで見て貰うのが当たり前だったんでやすけどねぇ。中々お医者様が捕まらない事も多かったんでやすが、アレが出来てからお医者様はそこにいるとわかるもんで皆喜んでやす」


「ほう?そんな施設が…」


「へぃ。なんでも涼州で初めて出来た施設らしいでやす。それを涼州から帰って来たお医者様が張魯様に伝えた事でこの街でも建てられたとか…」


「なるほど。見て行く価値がありそうだ。時間を取らせて済まなかったな。――これは其れがしの気持ちだ。受け取ってくれ」


「へぃ。どうもでやす。それではこの辺で…」



 審配が礼として幾ばかの金銭を渡すと、通行人は軽く頭を下げ街の中へ消えて行った。



「さて、この病院とやらで何かが得られると良いのだが…」



 施設の中へ足を運ぶとそこには怪我をした者や咳をしている者、年寄り、妊婦など様々な人間が詰め掛けていた。



「これは…。医者が常駐しているというだけでこれだけの人数が集まるものなのか…」



 集まっている人数に圧倒されながらも観察を続ける審配。


 そこへ、



「失礼します。今日はどういった理由で当院へお出ででしょうか?」



 白い衣服に身を包んだ男が声を掛けてくる。


 医者のひとりであろうか。



「む?あ、いや…其れがしはどこかが悪いとか怪我をしている訳ではなくてな。ただ医学と言う物を知る為に見に来ただけなのだ」



 自身に難がある訳では無い審配はどことなく跋が悪そうに答えるしかなかった。



「はぁ…。どこも悪くないというのでしたらそれはそれで素晴らしい事で御座いますが、ここは病人や怪我人を観る為の施設で御座います。徒らにお出でになられますと病を移される可能性も御座います故…」


「あ、ああ。すまぬな。以後は無闇に来る事は控えるとさせて貰おう」


「ええ。そうして頂けると助かります。して、見学なされたいと言うのでしたらこちらで御身分を記入して頂く必要が御座います」



 医者と思われる男が奥まった場所に設置された卓へ手を向ける。



「む?見て行っても良いのか?」


「はっは!医を知ろうとなされる方を無碍にする様な真似は致しませんよ。我らは医学を広めんとしているのですから」


「…そうであったな。では遠慮なく」



 審配は男に勧められるままに設置された卓に着く。



「それではお名前と御身分を。これを記入した後に見学者用の札をお渡し致しますので」


「うむ、相分かった。其れがしは漢の都亭侯、右中郎将である朱儁様の配下で名を審配。字を正南と申す者だ。この札に記入すれば良いのか?」


「……へ?」



 思ってもみなかった名前が出たからだろうか、医者が呆気に取られた様な顔になる。



「…?どうかしたか?」


「―――はっ!?あ、えっと申し訳御座いません。よもや朱儁将軍の家臣の方だとは思いも寄りませんで…はは…」



 訝しんだ審配の声に正気を取り戻したのか、男は頬を掻きながら苦い顔を浮かべた。



「私は当院の医者で楊白と申します。知ら無かった事とは言え、無礼をお許し下さい」


「いや、お気になされるな。それより見学の方は大丈夫であろうか?」


「あ、はい。問題はないかと…。先ずは当院の院長で漢中を纏めていらっしゃられる張魯様の所へご案内させて頂きます。見学はその後という事で」


「相分かった」



 審配は楊白に案内され、医学者の代表である張魯と会う事となった。


次回は11/1に投稿予定です。

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