~洛陽動乱~益州への道
先日、日本語ペラペラのイタリア人の友人に「お前の日本語はおかしい所がある」と指摘されました。
外国人に日本語の拙さを指摘される日本人とか…。
誰か日本語教えて~~~
羅貫厨です。
毎度の事ながら駄文ですがお付き合い下さい。
洛陽には玉蘭が残る事になり、当初の予定通り星がその補佐と護衛をする事になりました。
――洛陽にも旨いメンマを売っている店があれば良いのだが――
玉蘭に伴われ洛陽へ消えて行った星の呟きが印象的でした。
どんだけメンマが好きやねん…。
朱霊です。
玉蘭と星を見送った後、俺達は陣を引き払い平原へ向かう道を進む事に。
平原に行くのは全然良いのだけれど、また船に乗らなきゃいけないのかと思うと気が重い。
涼州に行く時に分かった事。
この世界に来るまで俺は船に乗った事が無かったから分からなかったんだけど、船酔いする体質だったみたいで船上だとずっとグロッキーなのよね。
水上で船戦なんてしたら指揮を採るなんて先ず無理。
間違いなく何も出来ずに死ぬだろうね。
今回は洛陽の新豊港から平原の高唐港への船旅。
つまり暫くの間、大地とおさらばして嬉しくもない水上生活を無理強いされる訳です。
「やれやれ。相変わらず船に乗る前から死にそうな顔をしているな」
「…船だけはダメだ…。ホント無理。あんなぐわんぐわん揺れるのになんで平気な奴がいるのか謎過ぎるわ」
「風はそこまで苦手という訳ではありませんが好き好んで乗りたいとも思えませんねー。まぁ、お船の上だとへなちょこになったお兄さんが可愛いので目の保養にはなりますがー」
「しっかし、志牙にも苦手な物ってあったんだなぁ。割かし何でも器用にこなしってっからよ、不得手なもんとか無いんじゃないかと思ってたんだぜ?」
「んな訳あるか。白蓮じゃあるまいし俺にだって苦手な物くらいあるっての」
「それは私を上げてるのか?下げてるのか?どっちだ?」
戦が終わった事、本拠地を得た事が皆のテンションを上げてる様だ。
皆元気だねぇ。はぁ…。
そんな事を思ってる俺のテンションは港に近付くにつれ下がる一方。
ああ、高唐港に着くまでの船旅が穏やかであります様に―――
そう願わずにはいられなかった…。
朱霊が情けない願いを零していた頃、主君の命を受けた審配は韓忠の配下だった周倉と廖化を追って宛から上庸へ続く道の途上に在った。
向かう先は益州。
天然の大要害であり、『攻めるに難く、守るに易い』という防衛に適した地。
春秋戦国時代、秦の宰相を務めた呂不韋が流刑に処されその生涯を終えた地でもある。
「まだ追いつけぬか…。急がねばな」
馬を急かし、益州へ向かう道程を駆け抜けていく。
しばらく馬を走らせていた審配の目に黄色い布を巻いた二人組が見えた。
「(アレか…。ようやく追い付いたか)そこなお二方、待たれよ!」
「む…!何者だ?」
「…周倉、油断するなよ」
「わかっている」
突然後方から声を掛けられた為か、足を止め審配へ向き直るものの、腰に履いた剣に手を掛けいつでも抜ける様にしている。
「我らに何用か?」
周倉と呼ばれた男が僅かに進み出た。
「某れがしは朱儁様の配下で名を審配。主より貴殿らと益州にいる韓忠殿のご家族を保護する様に仰せつかっている」
「―っ!!!朱儁だと!!」
審配の口から発せられた名に反応し、周倉が剣を抜いた。
「待て周倉!落ち着け!」
廖化が周倉の肩を掴み斬り掛かるのを制する。
肩を掴まれた為に動きを止めたものの、敵意を剥き出しにした周倉の目は審配を睨み殺さんとばかりに鋭い。
「見た所、審配は一人だ。追っ手ではないだろう。気持ちはわかるがここは抑えろ」
「……ちっ!くそったれが…」
遣る瀬無さ故か、悪態を吐きながら周倉が剣を鞘に収めた。
「失礼しました。審配殿。…ただ、我々は敵対していた間柄…、気を悪くされるな」
「いや、そちらの言い分は最もだ。殺し合っていた相手に礼を尽くせ等とは言えぬ」
「分かって貰えたのであれば何よりだ。して、審配殿。我らと韓忠様のご家族を保護すると言うのはどういう事だ?」
「うむ。我が主、朱儁様と貴殿等の将であった韓忠殿の間で遣り取りされた事よ。某れがしは朱儁様の命と韓忠殿の願いを受けてここにいる」
「審配殿の主である朱儁殿の命はわかるが、韓忠様の願い…か」
「嘘を吐くんじゃねぇ!!韓忠様がなんでテメエらに…!!」
審配と廖化の話を聞いていた周倉が審配の胸倉を掴み捻り上げた。
「なんで敵だったテメエらに家族や俺らを保護させるなんて言うんだよ!?ありえねぇだろうが!!」
「っ!やめろ周倉!!審配殿がその気であれば我らの首は既に地に落ちているはずだ!」
「廖化!テメエはコイツの言ってる事を信じるってのか!?」
「全てを信じた訳ではない!だが話を聞かぬ事には判断出来ないだろう?」
廖化が止めに入るものの感情の昂ぶりを抑えられない周倉と言い争いになってしまう。
「―ぐっ…う、嘘ではない…。韓忠殿から、や…大和の真名も預かっている」
「「――――!!!」」
胸倉を掴まれ舌足らずな言葉であったが、審配の口から出た『大和』と言う真名を廖化と周倉は聞き逃さなかった。
「――韓忠様が真名を預けたってのか…」
「…その様だな。周倉いい加減その手を放せ。審配殿を絞め殺すつもりか?」
「…ちっ。わーったよ。放せば良いんだろ。放せば…」
「ごほごほっ!…どうやら分かって貰えた様だな。しかし、大した膂力だ。意識が飛ぶ所であったぞ」
周倉の手から開放された審配が咳込みながら赤くなった首周りを摩る。
時折、頭を振っているのは血が巡っていないせいだろうか。
「すまぬな審配殿。周倉はかなり直情的な奴でな」
「いやいや、若者はこれくらい感情豊かな方が好ましい。あまりに手が掛からぬとそれはそれで寂しく感じる物だ…」
「…それは体験談なのか?」
「うむ。主の御子息は幼少期から随分と大人びていたからな…。周倉殿くらいの利かん坊であれば其れがしも後見としてお仕え甲斐があっただろうに」
「おい、ジジイ。それはつまり俺がガキっぽいって事か!?」
朱霊を思い出したのか、遠くの空を見つめ感慨に耽る審配に周倉が食って掛かる。
先程まで敵意を剥き出しにしていたにも関わらず、既にコントの様なやり取りになっていた。
「審配殿。益州へ向かう前にひとつ良いだろうか?」
そこに廖化が声を投げた。
「――うむ。構わぬぞ」
「……韓忠様はどうなされた?」
「すまぬが其れがしは韓忠殿がどうなったかは知らぬ。だが、朱儁様との遣り取りから推測するに生きてはおるまい…」
「…そうか。奥方様になんと説明すれば良いのだろうか…?」
廖化の眉間に皺が寄る。
「韓忠殿の奥方への説明は其れがしがさせて貰おう。主君の代名として責を取らねばならぬのでな」
廖化の心情を察してか審配は自分が責任を負うと言い放つ。
「はっ!そんな事言って良いのかジジイ?もし奥方様がテメエを斬れって言ったらどうするつもりだ?」
「その時はこの首を差し出そう」
「はっは!そうかよ。そうなったらジジイの首は俺がぶった斬ってやるよ」
「二人共そこまでだ。奥方様がどうされるかは益州へ行けばわかるだろう。そろそろ先を急ぐぞ」
周倉が審配を挑発するが廖化が二人の遣り取りを諌め、益州への道を再び進み出す。
向かう先で待つ韓忠の伴侶は彼らが齎らす悲報に一体なにを思うのか…。
それは誰にも知る由はない。
羅貫厨も船は苦手ですね。
次回は10/30に投稿予定です。




