~洛陽動乱~西園八校尉
かなり長い間更新出来なかったので急ピッチで仕上げました。
自分で見直してても駄文にしか見えないという無様な様相です。
申し訳ないですがお付き合い下さい。
孫呉の血脈で孫堅さんが思ってた以上に豪快な方でした。
久しぶりに会ったねねのおかげで完全に目が覚めました。
どうやら歴史の流れに気を取られ、初心を見失ってしまうくらいに迷走してたみたいですね。
朱霊です。
ねねに手を引かれ遣って来た何進の執務室。
今回は部屋の中から銭を数える音は聞こえて来ませんね。
肉屋から大将軍になっちゃった何進さん。
蹇碩と争ったら死亡フラグが立ちそうな気がするんだけど、既に月と協力関係になってる今どうなる事やら…。
「傾!ねねなのです!入りますぞ~!」
中へ声を掛けると同時に返事を待つ事無くスパーンと扉を開け、遠慮なく入って行くねね。
遠慮ないな。返事くらい待とうぜ妹よ…。
執務室の中には何進だけではなく月と詠もいた。
政務室の中央に置かれた卓上に広げられた木簡の数を見るに何かの打ち合わせをしていた様だ。
「ああ、ねねか。丁度良いと…む?朱霊ではないか。また何とも良い時に顔を出してくれたものだ」
俺がいる事に気付いた何進の口元が僅かに歪む。
嫌な予感しかしないのはなんでだろうね。
「平原に行く前に顔を出しておこうかと思ってな。ねねに案内して貰った所さ。で、良い時に来たってのはどういう事だ?」
「ああ、実は先の乱を教訓に都の軍を再編…と言うか、新たに陛下を大将に据えた軍を新設する事になってな」
烈火君が手に入れた情報通り西園八校尉が新設中だった。
「ああ、それは噂程度には知っている。八校尉の一人に淳于瓊が選ばれた事もな」
「ほう。耳が早いな。今その人選をしていた所だ。これを見ろ」
卓上にある書簡の山は八校尉を選出する為の資料の様だ。
何進がその資料の山からひとつを俺に手渡してくる。
それを開くと、
【西園三軍】
『無上将軍・霊帝劉宏』
『上軍校尉・蹇碩」
『中軍校尉・袁紹』
『下軍校尉・孫堅』
『典軍校尉・曹操』
『助軍左校尉・徐栄』
『助軍右校尉・』
『左校尉・』
『右校尉・淳于瓊』
と書かれている。
名前が書かれていない箇所はまだ決まっていないという事だろうか。
麗羽と華琳は歴史通りなので良いとして、炎蓮さんと土門のおっちゃんまで名を連ねている。
八校尉が設立されたら蹇碩と何進の対立は避けられないだろう。
何進と月が協力関係にある今、ここから反董卓連合までどう流れるかは予測出来ない。
(…ふぅ。やれやれ。玉蘭にアレだけ言われたのにまだ歴史の流れを気にしてるのか俺は…)
自身の学習能力の低さに思わず顔が歪む。
これに関してはこの中華の歴史が完全に俺の知らない流れになるまでは変わらないかもしれないな。
まあ、状況に応じて動く事は躊躇わない様に心掛けておこう。
「もう粗方決まってるのか。後の二枠はどうなってるんだ?」
目を通した書簡を丸め何進に問う。
「傾!それなのですが、助軍右校尉に抜擢した鮑信殿に打診した結果、了承を得たのですぞ!」
なるほど鮑信か。
歴史では曹操が深く信頼していた友人の一人だ。
こっちでの関係はわからないけどね。
まぁ、これで残りは後一枠。
「ほう?よくやってくれたな。ご苦労だった」
「これで後は左校尉だけですね」
「ねねのおかげで此処までは順調ね」
誇らしげに胸を張るねねに皆が賞賛と労いの言葉を掛ける。
俺を兄と慕う少女が胸を張る姿に頬が緩む。
「さて、残りの一枠なんだがな。打診しようとしていた本人が目の前にいる訳だが…」
何進がニヤリと悪い笑みを浮かべる。
良い時に顔を出してくれたと言っていた意味を理解した。
どうやらロックオンされていたらしい。
「…俺が八校尉の一人にねぇ」
考えてみれば悪い話ではない。
宮中の情報が多少なりとも得易くなるだろう。
情報は戦時、平時に関わらず貴重な物だ。
それが手に入り易くなるのであれば断る理由はない。
宦官共からの警戒は強くなるだろうが、既に張譲とやり合った訳だし今更。
いつ事が起こっても良い様に何進の傍に俺の仲間を常駐させておくのも良いかもしれない。
それにしても、龍を殺そうとしてる俺がその皇帝の指揮下の軍に置かれるとは皮肉にも程があるとは思うけど、利用出来る状況だし有効にこの立場を使わせて貰おう。
「クク…。朱儁の倅なら誰も文句など言わんだろうしな。まぁ、お前を八校尉に据えようとしたのは余では無く月達なのだが…」
何進がチラリと月達に視線を投げる。
「まぁ、志牙は実力もあるし血筋的にも適任だと思ったからね」
「ふふっ。志牙さんならこの大任も問題なく務められると思います」
…月達から向けられる信頼が痛い。
彼女達が俺の目的を知ったらどれだけ失望させてしまう事だろうか。
「…ああ、期待に答えられるかは分からないけど、その話は受けさせて貰うよ」
俺は自分がただのペテン師であると自覚した。
いつか彼女達に土下座して謝らなきゃいけない案件が出来上がっちゃったな。
「これで八校尉の枠は埋まったな。後はこれを上奏するだけだ」
何進が空欄となっていた八校尉の枠に鮑信と俺の名を書き連ねる。
『助軍右校尉・鮑信』
『左校尉・朱霊』
これで八校尉が出揃った訳だ。
俺が八校尉の一人になるとは思ってもいなかったけどね。
「枠が埋まったのは良いが、八校尉の筆頭は蹇碩だろう?軍内部で問題が起きるんじゃないのか?」
西園八校尉の設立を契機に何進と蹇碩の対立は表面化するはず。
何進は宦官の排除を考えていると見て間違いないだろう。
これはある意味、何進から宦官共に対する宣戦布告とも言えるのかもしれない。
「ああ、八校尉の筆頭は確かに宦官だ。だが案ずるな。余と蹇碩は協力関係にあるのでな」
「(は?嘘だろ!?)…そうか。なら問題は無さそうだな。しかし、意外だな宮中を腐らせている元凶の一人が味方内にいるとは…」
「いや?蹇碩は権力や財に執着する様な愚物ではないぞ?アレは自身の肉体を鍛える事にしか興味の無い男だ。今は対立しているフリをして貰ってはいるがな。アレの筋肉は中々に素晴らしい物だぞ」
あー、蹇碩って宦官にも関わらず身体壮健の偉丈夫だったらしいけど、こっちだと筋肉野郎なのか…。
筋ちゃんとキャラ被ってなきゃ良いんだが…。
朱家の筋肉と宦官の筋肉に挟まれる自分を想像してしまって若干顔が引きつる。
しかしまぁ、何進と蹇碩が協力関係にあるとはねぇ…?
ん?いや、待てよ?そういや、霊帝には妹の劉協がいたな。
じゃあ、劉辯はどこだ?もしかして存在してないのか?
歴史だと蹇碩は、霊帝が劉辯の軽はずみな性格を忌んで、劉協を立てようと考えていた為、その補佐を遺嘱されていた。
それが何進と蹇碩が本格的に敵対する要因だったはず。
後に何進の暗殺と宦官排除の為の虐殺に繋がるんだが、劉辯がいないのなら敵対する要因が無い。
いないと決め付ける事は出来ないが、俺の仮説が正しければ何進と蹇碩を含めた宦官達との政争はそれ程激しい物にはならない可能性が出て来た。
つまり、既にこの中華の歴史は俺の知っている歴史とは別の道筋を辿っている事になる。
この先の流れはもう俺では読みきれないな。
後は森羅や玉蘭が言った通り、俺のやりたい様にやるだけか。
「蹇碩の筋肉には興味無いが、軍内部で内輪揉めする様な事にはならなそうで良かったよ」
「陛下直属の軍だぞ?揉める事などありはせんよ」
「そうかい。ま、任官式の日取りが決まったら遣いを寄越してくれ。俺はこれからオヤジ達の所に顔を出しておきたいからもう行くよ」
「兄上…。もう行ってしまうのでありますか?」
寂しそうにねねが俺を見上げてくる。
「忙しないわね。久しぶりに顔を合わせたんだからもう少しゆっくりしていけば良いのに」
呆れ顔の詠がねねの後押しをするかの様に言葉を投げて来たのが意外だった。
「悪いな。陣で仲間を待たせたままだからあんまし時間が取れないんだよ」
ねねの頭を撫でながら謝罪。
俺的にももう少し時間を割いて付き合いたい所なんだけど、冀州袁家から借り受けた兵の皆さんを待ち惚けにさせたままでいる訳にもいかないのよね。
「はは…。この穴埋めはそのうちするから今日の所は見逃してくれ」
苦笑しながら逃げの一手を打つ。
ここは場の雰囲気に呑まれる前に脱出しておかないとズルズルと長引くのが目に見える。
だって俺なんだもの!
「仕方ないわねぇ」
「ふふっ。志牙さんもお忙しいみたいですし仕方ありませんね」
「うぅ…。仕方ないのです。ねねは良い子だからワガママは言わないのですぞ」
「ごめんよ、ねね。みんなも済まないな」
俺の言い分を飲んでくれたねねに手を引かれ何進の執務室を出ようとした所…
『ドバンッ!!』
と、勢い良く執務室の扉が開かれ、
「俺の筋肉がここに若がいると囁いているぅぅぅぅ!!!」
なんの前触れも無く朱家の筋肉が現れた…。
次回は10/19に投稿予定です。




