~黄巾の乱~龍を殺す者と癒す者
オリキャラで龐徳さんを出そうかと思ってるのですが、真名をどうしようかなと悩んでおります。
原作で龐徳さんがいないのにはビックリしました。
まだキャラ的に男にするか女にするかも決まってません。
まだ日も昇らぬ中、各軍が出陣の準備を進めていく。
朱霊は高覧の隣で静かに出陣の合図を待っていた。
「なぁ、志牙。この戦が終わったらよ、オレッチ達はどうするんだ?」
「論功賞次第だな。基盤を得られるのであれば良し。得られ無かった場合は一時的に冀州袁家の傘下に入るくらいしか考えてないぞ」
高覧にはそう言ったものの、朱霊には高い確率で平原のどこかで役職に着く事になるだろうという考えがあった。
これは自身の立ち位置を踏まえた物であるが、正史の劉備は色々やらかしているので正直どこの配属になるか予測出来ずにいた。
候補としては安熹県の尉、高唐県の尉若しくは県令、徐州にある下密県の丞。
これは正史で劉備が辿った道筋を元にしている。
だが、不確定要素が多く朱霊はこの先に関して自身の道筋を見い出せていない。
一つは彼が朱霊であるという事。
一つは劉備が既に東海王という地位にいる事。
一つは公孫賛が無位無冠という事。
一つは人物の登場年数があべこべになっている事。
歴史の大まかな流れは変わらないのかもしれないが、細かな所で彼が知る歴史とは大きく掛け離れている事がその判断を鈍らせていた。
「まぁ、この戦が終わったらしばらくは落ち着きそうなんだろ?」
「たぶんな」
「オレッチさ、この戦が終わったら白蓮にけっふごぉ!!??」
慌てた様に朱霊の手が高覧の口を思いっきり塞いだ。
「…あっぶねぇ」
「な、何すんだよ志牙!?」
朱霊の突然の行動に驚き、目を白黒させている高覧。
「なぁ、烈火。その話は戦が終わってからゆーっくり聞かせて貰うから今は戦の事だけに集中しろ」
「お、おうよ…?」
これに関しては朱霊を責められる者はいるまい。
決戦前に死亡フラグを立てようとした高覧が悪い。
まぁ、この時代に死亡フラグなんて物を知っている人間が居るわけないのだが。
各軍の出陣の準備が終わった頃、周辺が白み始め日の出が近い事が分かる。
日の出に合わせるように敵味方共に陣中に熱が篭っていく。
「そろそろだな。志牙、道は作ってやるから思いっきり暴れてこいよ!」
「ああ、道作りは任せた!」
互いの拳を合わせニヤリと笑う。
本陣から出陣の合図である銅鑼の音が響き、各軍が一斉に動き出した。
「行けぇ!!!突撃だァ!!!」
「「おおおおおおお!!!」」
高覧が叫び、それを合図に先鋒を務める公孫賛と趙雲率いる騎兵部隊が弾かれた様に突撃を開始、各歩兵部隊がそれに続く。
黄巾軍も兵を繰り出し戦闘が始まる。
ここに黄巾の乱を締め括る最後の決戦の火蓋が切って落とされた。
先ず仕掛けたのは盧稙軍と孫堅軍。
左右の黄巾軍はこの二軍の対処する為に展開。
黄巾軍が接敵する直前、盧稙軍と孫堅軍は後退。
左右の軍を引き剥がしに掛かる。
次に動いたのは皇甫嵩軍、曹操軍、義勇軍の左右翼。
盧稙軍と孫堅軍が引き剥がした黄巾軍の左陣と右陣に対し黄巾本隊と隔離する様に斜陣を構築していく。
しかし黄巾軍はこちらの動きに対し軍を動かしているものの、黄巾本隊は全く動く気配を見せていない。
「なぁ、志牙。なんで黄巾の本隊は動かないんだ?あのままだと黄巾の左軍と右軍は挟み撃ちの状態ですり潰されるだけだと思うんだがよ…」
味方を見捨てる様に全く動く気配の無い黄巾本隊に対し、高覧の眉間に皺が寄っている。
「こちらの狙いが読まれていると見て間違いないとは思うが、むしろ誘われている気がするな」
「ん?誘われてるってどういう事だ?黄巾側にそんな余力があるとは思えねーんだけどよ」
「『余力が無いからこそ』誘ってるのかもしれないな。奴らにとって河北からの援軍は予想外、若しくはもっと時間的に余裕を持っていたはずだ」
「ふーん。まぁ、平原じゃ二日で終わっちまったもんな。黄巾の連中からしちゃ驚くのも無理ないかぁ」
公孫賛や趙雲が率いる騎兵に追従させる様に歩兵を走らせながら前方の様子を伺う。
もう少しで黄巾本隊と接敵するという所で公孫賛と趙雲が左右に展開。
そのまま敵軍へ突撃を掛ける。
「おっしゃ、志牙!オレッチは前に出る!敵将までの道は開いてやっから任せときな!!」
「ああ、頼んだ!」
高覧が前線に出る為、兵の中へ消えていく。
「よっしゃぁ!!!お前らこのまま敵軍へ突っ込めぇぇぇぇ!!!」
「「おおおおおお!!!」」
高覧の雄叫びの様な合図に兵達が呼応し敵陣へ雪崩込んだ。
ここを突破すれば敵総大将の波才は直ぐそこだ。
朱霊は馬上で歩兵達の流れを細かく観察。
そこかしこで殺意の叫びと剣撃が交わる金属音が鳴り響いている。
元は并州袁家に在って異民族と死闘を繰り広げてきた高覧兵。
弓騎兵としての能力も凄まじい物があったが、乱戦でも恐ろしい程に強い。
黄巾本隊の兵は精兵なのだろうが、実戦経験の差は歴然で高覧兵の勢いを止めるに敵わず。
朱霊を護衛する為に周囲を固めている冀州袁家の精兵達も高覧兵の勢いに驚いている様で、
「つ、強い…!高覧兵一人一人の練度が違いすぎる…」
「どうやったらあんな風になるんだよ…」
と、半ば顔が引き痙っている。
高覧は許褚と一騎打ちで互角に渡りあえる武力に加え、張郃と比肩される程の指揮力を持っていたとされる。
そんな彼が手塩に掛けて育てた高覧兵が弱いはずがない。
かなりの練度を誇るであろう黄巾本隊の精兵を上回る強さで朱霊の為に敵総大将への道を切り開いていく。
「やれやれ…。ここまでお膳立てして貰って俺が下手放く訳には行かないな」
朱霊が肩を竦め苦笑する。
「我々も高覧兵に負けてはいられません。敵総大将周辺の黄巾兵共は我々冀州袁家の者が責任を以て排除させて頂きます!」
高覧兵の齎す勢いに触発されたのか、気合を漲らせている冀州袁家の精兵達。
「ああ、頼んだぞ!(袁逢様には感謝しないとな。随分と良い兵達を貸してくれたもんだ)」
「「はっ!!」」
前方で歓声が上がる。
高覧兵が敵軍を突破し道が開けたのが見えた。
「行くぞ!俺に続け!!!」
「「応!!」」
朱霊が動き出しその道を作る為、高覧兵達が左右に割れる様に黄巾兵達を押し込めて行く。
「クソッ!抜かせるなぁ!!」
「敵兵を波才様に近づけてはならん!全員奮起せよ!!」
「「おおおおおおおお!!」」
後がない波才の親衛隊が主を守らんと攻撃に出る。
「朱霊様を遮る敵共を一掃する!続けぇぇぇぇ!!!」
「「応!!」」
冀州袁家の兵達が突撃。
波才を守らんとする親衛隊兵とぶつかり激しい交戦状態へ突入した。
朱霊の視線に交戦する兵達の先で馬上で剣を抜き放ち天を仰いでいる一人の男が映る。
(アレが波才か…)
腰に穿いていた剣を抜き放ち僅かに馬を進める。
天を仰いでいた波才が顔を下げ、朱霊と視線が重なった。
それが引き金となったのか、朱霊と波才が申し合わせた様に手綱を操り馬を走らせる。
剣を振りかぶり、すれ違い様に互いに一閃。
剣と剣がぶつかり合い、鉄が擦れ合う甲高い金属音が鼓膜を刺激する。
咄嗟に互いが馬首を返し再び馬を走らせ肉薄していく。
初撃と違い十分な加速が乗らず、振り抜く事が出来ずに鍔競り状態になった。
「お前が波才か!」
「っ!如何にも!貴様は!?」
「殺す相手に名乗る意味は無いな!」
「なにっ!?」
「俺はお前が波才かどうかを確認しただけだ!人違いじゃ洒落にならないからっな!!!」
「舐めた真似っを!!」
腕に力を込め距離を取る様に互いが弾き合い、馬がよろける様に蹈鞴を踏む。
ついに出会った朱霊と波才。
『龍を殺す為に乱を鎮める者』
『龍を癒す為に乱を起こした者』
相容れる事のない理想を掲げた二人の男。
「はああああ!!」
「うおおおお!!」
天下の行く末を左右するであろう戦い。
それが剣撃の響きと火花を狼煙として幕を開けた。
やっと朱霊と波才をぶつける事が出来ました。
ここまで来るのが長かった…。
文才の無さで結構色々と端折っちゃった所もあります。
ごめんなさい。
高覧さんは正史だと曹操軍に降ってから全く活躍しないまま消えた謎の人です。
一説には姓名を変えたんじゃないか?という話もありますが、詳細は不明です。
次回は9/7に投稿予定です。




