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真・恋姫†夢想~朱霊伝~「六人目の大将軍」  作者: 羅貫厨
プロローグ・覇王様+朱霊=降格
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~続・猫耳フードの少女~

まだ慣れない作業につき2話の後半が消えた状態に気付かないで投稿してしまいました。消えた部分は今回の3話で補完しました。


この物語の桂花さんはかなりマイルドでこんなの桂花さんじゃないと思う方も多いかと思いますがよろしければお付き合い下さい。

~前回のあらすじ~


   桂花がコケた。



 そのまま置いて行こうかと思ったんだが、コケた拍子に打ち付けたのか赤くなった鼻を両手で押さえながら涙目であぅあぅグズってる桂花をほっとける訳もなく、手を貸して立たせてやる。


 何故か睨まれたが。


 ムッとした表情ではあるが涙目で上目遣いをする少女はなんでこんなにも保護欲を唆るのだろうか…?



「…ったく、なんで何も無い所でコケるんだか…」


「あ、あんたが悪いんでしょ!?グスッ…」



 俺何もしてなーい。理不尽だ。



「んで、まだ何か聞きたい事でもあんのか?」



 逃走を諦め話の続きを促す。


 てかまだグズってる。


 そんなに痛かったか。



「グスッ…。あんた華琳様に罰を与えられてるんでしょ?私に被害が及ばないか気になってるだけよ」


「あ~、なるほどな。諦めろ。」

   


 ニヤリと笑いそう告げた。


 いつも馬鹿馬鹿言われてるから軽い仕返しだ。



「!?それどういうことよ…!?」


 痛みが引いてきたのかグズりも収まった様だが、その代わりに苛立ちがスタンドアップされた御様子。



「一兵卒に格下げされて沙和んトコに入隊確定。俺が抱えてた政務は桂花に科せられる。以上」


「なっ…!?」



 俺の罰を聞いた桂花が石化した。


 まぁ、当たり前だな。


 ただでさえ膨大な量の仕事を抱えてる桂花だ。


 これ以上仕事が増えるのは遺憾だろう。



「ハハ…冗談だ。一兵卒に降されたから政務をやらなくて良いなんてあの覇王が許すわけないだろうしな。

 …問題は再昇格するまで俺が沙和んトコの『アレ』に耐えられるかどうかだが…。

 まぁ、調練を施す側から施される側に変わるだけだし、今までと何かが劇的に変わるわけでもないはず。

 お前さんに皺寄せが行くことはないと思うよ。」


「…なら良いけど。それにしても一兵卒として沙和の所にって大丈夫な訳?あんたのムカつく性格が少しでも改善されるなら願ってもない事だけど。」



 石化が解けたのか人の性格にいちゃもんを付けだした。



「ムカつくって言われてもなぁ…。常日頃から俺を馬鹿にしまくってる桂花の性格も大概だと思うが」


「あんたが馬鹿なのは周知の事実よ。それより沙和の所に行くんでしょ?さっさと行くわよ!」



 なんて宣わりつつさっさと歩き出した猫耳。


 良い性格してやがる。


 てかコイツ沙和んトコに着いて来るつもりか。


 …暇なんだな多分。



「下っ端としてこき使われてひぃひぃ言ってるあんたを見てたら良い気分転換になりそうだもの。今から楽しみだわ」



 と随分楽しそうに歩を進める猫耳様。


 良い性格してるよホント。



 ~荀彧視点~


 政務を片付け自室に戻る途中で華琳様が馬鹿を引きずる様に執務室へ入られるのが見えた。


 随分と御怒りに成られている様だけど、実はあまり怒ってはいないと思う。


 きっとあの馬鹿が何かやらかしたんだろうけど、華琳様は恐らく二人に成りたかったから怒ってる振りをしているだけの筈。


 あいつは馬鹿だけど有能だ。仕事で失態があったとは思えないし、多分痴話的な何かだと推測出来る。


 てか、二人きりとか羨まし…こほん。


 あー、うん。羨ましい。


 正直な話、私はあの馬鹿に懸想している。


 あの馬鹿にって所が癪に障るけれど自覚はある。


 華琳様が羨ましい。


 華琳様。その名は曹操 。字を孟徳。


 広い見識を持ち、その身に収まりきれない程の才溢れる稀代の天才。


 まるで此の大陸を統べる為に生まれ出でたのではないかという程の存在感は他を圧倒する。


 恐らく私が知る限り華琳様に匹敵する者は二人。


 一人は華琳様の好敵手とも言える袁家の当主である袁紹。


 一つ何かが違えば私は袁紹に仕えていたかもしれない。


 それ程に袁紹という人間は強大な存在感がある。


 そして、もう一人があの馬鹿。


 人は他人を測る。測りたくなるのだ。


 自らの価値観という枠に嵌め、常識という物差しで。


 見識、人間性、その他諸々。


 そして自らの物差しよりも高みにいる者を恐れ、そして憧れる。


 私にとって其れは、華琳様と袁紹だった。


 あの馬鹿が現れるまでは……。

   

 その名は――、


  

『朱霊。字を文博。真名は志牙』


  

 こいつに限っては測れない。


 最早その全てが。


 華琳様と袁紹もこいつを測れないんだと思う。


 常識、見識、価値観。どれもが違い過ぎる。


 普通の人間なら恐れ離れて行くだろう。


 でも私や華琳様と袁紹は逆だった。


 違うが故に知りたくなった。


 知りたいが故に考え見聞きし観察した。


 其れでも分からない。


 だから私は惹かれた。


 知的好奇心に依る興味はいつの間にか思慕になっていた。


 ムカつくから表には出さないけれど、いつかは――――

   


『ガチャ』


「!!?」



 物思いに耽って居たら執務室の扉が開き思わず隠れてしまった。


 隠れる必要は無かったのだけど考えていた事が考えていた事だけに出来れば今は会いたくな………



「おい、それで隠れてるつもりか?猫耳フードが思いっ切り見えてるんだが?」


(うぐっ!?)ビクンッ!



 いきなり見つかった。


 慌ててたから頭巾までは頭が回らなかった!


 フードというのは頭巾の別称らしい。


 大分前にあいつが教えてくれた。


 なんでそんな事を知ってるのかは教えてくれなかったけど…。


 見つかってしまったものは仕方がないけれど、あんまりにもあっさり見つかった事が悔しくて、簡単に見つけてくれた事が嬉しくて出た言葉が



「うっさいわね」



 だった。


 唯の照れ隠しだって分かってるけどなんとか平静を装う事は出来たと思う。


 たぶん。



「こんな所で何やってんだ?桂花」


「通り掛ったら華琳様が御怒りになりながらあんたと執務室に入って行くのが見えたから」



 理由を答えてから気付いた。


 これじゃ此処でこいつが出て来るのを待ってたと言ってる様な物だ。


 だから慌てて、



「あんた何やらかしたのよ?」



 矢継ぎ早に言葉を投げ出した。


 ホントはある程度予測出来てるけれど……。



「知らん」



 一言で返された。


 予測は出来るとは言え気になる物は気になる。


 此処は情報収集に徹するべきだ。


 恋敵と言ってしまうと恐れ多いけれどコレに関してだけは譲る訳にも行かない。


 うん、譲れない。譲りたくない。



「知らんって、あんた華琳様を怒らせたのよ?あの方が理由も無しに怒るわけないでしょ!?」



 適当すぎる返事に少しムッとなったけど此処は我慢。



「それがなぁ、全く身に覚えが無い事で叱言を受けてな。俺もどうして良いのか分からねーんだわ」



 こいつの言葉が本当だとすれば、私の推測通り華琳様は怒った振りをしていただけで二人きりになりたかっただけなんだと思う。


 きっと、この馬鹿は華琳様の気持ちに気付いてないから身に覚えが無いなんて言えるのだ。


 ちょっとは察しても良いと思うのに…。


 思わず溜息が出てしまう。



「はぁ…全く。で?どんな叱責を受けたのよ?」



 華琳様に同情してしまう。


 向けた想いに気付いて貰えない事がどんなに淋しいか分かるが故に。


 私だって怒りたい。


 早く気付けこの馬鹿って怒り……



「ん〜ほぼ聞き流してたからなぁ。

 最後の方で貴方がそんなだからうんたらかんたら?

 後は聞こえない位小さくぶつくさなんか言ってたけど、聞こえなかったもんはしゃーない。」


(は???!!!???)


   

 思わず耳を疑ってしまった。


 あろう事か華琳様の気持ちに気付かない処か話を聞き流してた!?



「あ、あんたって奴は…まさか華琳様の叱責を聞き流してるとは思わなかったわ…。…馬鹿なの?」



 鈍いにも程がある。


 華琳様が不憫過ぎてまた溜息が出た。


 私は同じ女として人として王として憧れ、そして同じこの馬鹿に想いを寄せる恋敵(仲間)としてコレは看過出来ない。


 正直ここまで鈍いとは思っていなかった。


 少し思い知らせてやらないと行けない。


 気合を入れて、いざ…!



「あー、とりあえず沙和ん所行かなきゃなんねーし俺はもう行くわ」


   

 って、逃げた!?


 此処で逃がしたら華琳様に合わせる顔がない!



「あっ!?ちょっと、待ちなさいよ!まだ話は終わっ…へぷっ!?」


   

 追い掛け引き止めようと腕を伸ばし袖を掴んだ…筈だった。


 歩幅が違いすぎた。


 掴んだ筈の手は僅かに袖の端を摘んだ状態で思い切り引っ張られた状態になり、気が付いた時には敷石が目の前だった。


 次の瞬間、鈍い痛みに襲われた。


 要は転んだ。


 鼻を打ったみたいで凄く痛い。


 思わず涙が出て来る。


 思わず鼻を押さえたのは痛みの所為なのか、女の本能として鼻から血が出るのを見られるのが嫌だったからなのか…。


 痛みと恥ずかしさで頭の中がぐちゃぐちゃで、どうして良いのか分からなくて立ち上がる事も出来ず、なんとか落ち着こうと頑張ってたら馬鹿が振り向いて



「…ったく、なんで何も無い所でコケるんだか…」



 なんて言いながら手を差し伸べてくる。



「あ、あんたが悪いんでしょ!?グスッ…」


   

 私が袖を摘んだ事に気付いてないんだろう。


 私が勝手に転んだと思ってるみたいだ。


 それでもこうやって気を使って手を差し伸べてくる。


 こういう時に気を使えるんだから私や華琳様の気持ちに気付いてくれても良いだろうに。


 少し冷静になった私は馬鹿を睨んでやった。


 睨んでやったけど、差し出された大きな手に安心感を覚えてしまうのは仕方無いことだろうか。


 差し出された手を掴み立たせて貰う。


 繋がれた手に思わず胸が高鳴……



「んで、まだ何か聞きたい事でもあんのか?」


   

 奇襲された。


 繋がれた方の手に意識が集中してて痛みも忘れてたのに、押さえてる鼻がまた痛い。


 痛い?


 痛くはないんだと思う。


 繋がれた手が、差し出された手が嬉しくて、涙が出るから恥ずかしくて痛い振りをしてるだけ。


 多分。


 自分の事なのによく分からない。



「グスッ…あんた華琳様に罰を与えられてるんでしょ?私に被害が及ばないか気になってるだけよ」



 とりあえずなんとか気を落ち着けて無難に事を進める。



「あ~、なるほどな。諦めろ。」


 

筈だった。

   

だったのになんで此の馬鹿はニヤニヤしながらこっちを掻き乱してくるのか…。



「!?それどういうことよ…!?」


  

今回の華琳様とコイツの件に関して私は無関係の筈なのに…。


と言うかニヤケた顔がムカつく。



「一兵卒に格下げされて沙和んトコに入隊確定。俺が抱えてた政務は桂花に科せられる。以上」


「なっ…!?」


  

 一瞬で理解した。


 一兵卒!?降格!?


 華琳様が怒ってたのは振りの筈だと思っていたのに…。


 いや、違う。


 この馬鹿は華琳様の話を聞き流してたから怒った振りだったのを怒らせたんだろう。


 うん。納得。


 降格されても仕方が無い。


 むしろ妥当だ。


 ……が、この馬鹿が抱えてる仕事が私に回って来たらとんでもない事になる。


 抱えてる仕事の量もそれなりにある上に、この馬鹿だから任されていた物がいくつもあるからだ。


 コイツの見識や知識が絡んでる物に関しては、私は疎か華琳様でさえ迂闊には手を出せない。


 それ程にこの馬鹿は並外れている。

   

 異端と言って良い程に…。


 突き付けられた現実に呆然となっていたら、



「ハハ…冗談だ。一兵卒に降されたから政務やらなくて良いなんてあの覇王が許すわけ無いだろうしな。

 問題は再昇格するまで俺が沙和んトコの『アレ』に耐えられるかどうかだが…。

 まぁ、調練を施す側から施される側に変わるだけだし、今までと何かが劇的に変わるわけでもないはず。

 お前さんに皺寄せが行くことはないと思うよ。」


   

 からかわれたのだと理解した。


 正直からかわれたのはムカつくけど、考えたらこの馬鹿の言う通り華琳様がそんな事を許すわけがない。


 うん。良かった。



「…なら良いけど。それにしても一兵卒として沙和の所にって大丈夫な訳?あんたのムカつく性格が少しでも改善されるなら願ってもない事だけど。」


   

 華琳様はコイツの性根を叩き直すつもりで入隊させる事を決めたのだろうけど、あまり期待は出来ない。


 沙和の隊は華琳様が率いる軍の中でも親衛隊を除き1,2を争う程に厳しい調練だと噂されている。


 ちゃんと見た事はないけど。


 確かに普通の者なら効果は直ぐにでも望めるだろう。


 でもこの馬鹿は普通じゃない。


 ほんの少しでも改善されたら良いかなぁと言う程度だろう。


 多分、華琳様もあまり期待はしてないだろう。



「ムカつくって言われてもなぁ……。常日頃から俺を馬鹿にしまくってる桂花の性格も大概だと思うが」



 私や華琳様が小出しに見せてる好意や想いに気付かないから馬鹿って言われてるのよ!


 ホント早く気付きなさいよこの馬鹿!


 ……ただ今はこの距離感が心地よくて嬉しくて…。



「あんたが馬鹿なのは周知の事実よ。それより沙和の所に行くんでしょ?さっさと行くわよ!」



 と言い歩き出す。


 華琳様の為に文句言ってやるつもりだったのに、こうやって文句言い合っていがみ合ってるのが楽しくて…。


 華琳様の事を思えば不謹慎かもしれないけれど



「下っ端としてこき使われてひぃひぃ言ってるあんたを見てたら良い気分転換になりそうだもの。今から楽しみだわ」



 せめて、沙和の所に着くまでの二人きりのこの時間を独り占めしたい気分になってしまっていた。

この3話までがプロローグのつもりでした。次回から話が過去に飛びますので宜しくお願いします。

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