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真・恋姫†夢想~朱霊伝~「六人目の大将軍」  作者: 羅貫厨
2章・歌姫+黄巾=乱
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~黄巾の乱~戦後処理

駄文ですがお付き合い下さい。

「…信じられません。たった一人で戦闘に勝ってしまうなんて…」



 戦後処理に追われる中、呂蒙の表情は険しい。


 呂布という存在は彼女の常識を遥かに超えていた。



「アレが飛将か…。敵でなくて本当に良かったですね」



 うんうんと頷きながら同意する陳到。



「その飛将と同じ軍になったんだ。逆に心強いだろ?そんな事よりお前ら喋るのは構わないんだが手は止めるなよ?」



 意識が漫ろになっている二人に呂範が突っ込む。


 汝南での戦いが終わった後、三人は正式に董卓軍へ仕官を願い配下となっていた。



「呂布殿の強さも常軌を逸していましたが、董卓軍其の物も異質ですね…」


「…はい」


「そうだな…」



 彼らは董卓軍に混じって戦死した黄巾兵や汝南兵の亡骸を一箇所に集めるという作業に従事していた。


 山積みにされた亡骸は火を掛けられ焼き払われていく。


 儒教という概念が浸透しているこの時代、亡骸を悪戯に傷つけるのは禁忌とされている。


 その禁忌を破り董卓軍は亡骸を焼き払っているのだ。



「しばらく肉が食えなくなりそうだ…」



 ゲンナリとした感じで呂範が愚痴を零す。



「同感です…」



 呂蒙も気分が悪いらしく眉間に寄った皺が深くなっている。



「しかし、何故董卓軍はこの様な事をしているんでしょうかねぇ?董卓様を見る限りこの様な事を許される方には見えなかったのですが…」



 三人は主君の真意を測りかねていた。



「疫病対策よ。亡骸は埋葬するだけでは疫病の原因になるらしいのよ。だからこうやって焼き払う必要があるみたい。確か…火葬、だったかしら?」


「「「え?」」」



 声のした方向へ顔を向けると、そこには賈詡がいた。



「三人ともご苦労さま。一度休憩にするわよ」



 作業と思案に追われていたせいか、既に日は真上に登っていたらしい。


 賈詡に伴われ、三人は天幕内に準備された食卓に着く。


 戦後処理に追われている為か、食事もそこそこに切り上げて戻って行く者が多い。


 正確には食事が喉を通らないのかもしれない。


 上座に座っている董卓も先程から箸が全く進んでいない様に思える。


 辺りに充満する肉の焼ける匂いはそれだけで食欲を奪い去っていくのだろう。



「…あの、董卓様。食事中に話す様な内容ではないのですが、亡骸を焼き払っているのは疫病対策の為だと聞き及びましたが本当なのでしょうか?」



 呂蒙の問い掛けに周囲に残っていた者達の顔が歪む。


 その視線が『こんな時にそんな事聞くんじゃねえよ』と言っている。



「…はい。本当の事です。私達の友人に朱儁将軍の御子息の方がいるのですが、その方は医療に精通しているみたいで数々の病気の治療方法と共に疫病対策を教えてくれたんです」


「えっ!?朱儁将軍の御子息、ですか…」



 どこかの詐欺師に嘘を吹き込まれたのでは、と勘ぐっていた呂蒙は董卓の口から出た名に驚きを隠せなかった。



「あ、でもその者が朱儁将軍の御子息を騙っていたという可能性もあるのではないでしょうか?」


「いえ、洛陽で朱儁将軍が『倅から話は聞いている』と仰られていたのでそれはありません」


「そ、そうですか…」



 疫病対策。


 眉唾物だと思った事が真実味を帯びてきた。


 しかし、それとは別に疑問も増える。



『何故そんな事を知っているのか』



 少なくとも彼女の知識にそんな情報はなかった。



(朱儁将軍の御子息…。調べてみる必要がありそうですね)



 そんな事を考えつつ食事を済ませ、天幕を抜け作業に戻る。


 彼女はまだ『朱霊』という男を知らなかった。





 ~汝南玉座の間~




「此度の救援、誠に有り難く。亡き孔伷様に変わり深く御礼申し上げます」


「汝南が無事で何よりです。ただ、私達の到着がもっと早ければ汝南軍の被害を出さずに済んだのではないかと悔やまれます…」



 頭を下げる応邵に対し、懺悔とも取れる言葉を返す董卓。


 食事を終えた彼女は賈詡と徐栄を伴い汝南の城へ出向いていた。



「いえ、董卓様の到着が早くとも結果は然程変わらなかったでしょう」


「…?どういう事でしょうか?」


「今回の汝南軍は各県からの寄せ集めでした。連携して動く事も出来ぬと判断して董卓軍の到着まで籠城し、その後に挟撃するべきだと進言したのですが孔伷様に聞き入れて貰えず…」


「各個撃破されていった、そんなところかしらね」


「…はい」



 肩を落とし悔しそうに顔を歪める応邵。




 孔伷という人物。


 演技では反董卓連合軍の第三軍として洛陽を攻めている。


 史実では清談が得意だった人物で『孔伷が語り掛ければ枯れた木も花を咲かす』と言われた程に精通していた。


 その反面、軍事に関しては無能であったと言われているが、敵対関係にあった鄭泰という人物が意図的に過小評価した説もある。



 彼は汝南に押し寄せた黄巾軍が自軍の半数以下だと見くびり、たかが賊如きと数を頼みに攻撃を仕掛け、逆に討たれてしまったのである。



「それで応邵殿達は今後どうするつもりでごわすか?」


「朝廷が新しい太守を派遣してくるまでは孟建殿に太守代行を務めて貰い、私はその補佐をするつもりです」


「分かりました。朝廷に掛け合いなるべく早く次の太守を決めて頂ける様に使いを出しておきます」


「ありがとうございます!…所で、陳到殿達は…?」


「彼らは我が軍に留まるそうです」


「…そうですか。彼らがそう決めたのであれば引き止める事は出来ませんね」



 心底残念そうに頭を振る。


 どこも人手不足の今、優秀な人材を失うのは痛手であったが応邵に彼らを引き止める術は無かった。




 ~呂布と高順~



 諸将が戦後処理に追われる中、呂布は人気のない場所で佇み空を見上げていた。


 思い返されるのは先の戦の事。


 いつもなら彼女の武を目にした者は蜘蛛の子を散らす様に逃げていた。

 だが、今回の敵は逃げるどころか、逆に向かって来たのだ。


 理解出来なかった。



「(逃げれば死ななかったのに…)」



 結果的に自軍に被害は無かった。


 だが、代わりに敵軍の死で戦場は溢れ返った。


 自分の取った行動は最善だったのかと疑問に思う。



「…恋。こんな所にいたか」



 不意に後ろから聞き慣れた声がした。



「…紅煉」



 振り返ることなく声の主の名を呼ぶ。



「うむ」



 高順は一言返すと呂布の隣に並び、同じように空を見上げた。


 その視線の先には空に溶けていく煙。



「…敵が逃げなかった」


「そうだな」


「なんで…?」


「…もし月様に危険が迫っているとしたらお前は逃げるか?」


「逃げない」


「敵も同じだ」


「…そっか」



 高順の言葉に納得行ったのか小さく頷く。



 呂布、字を奉先。真名は恋。


 彼女が高順の言った言葉の意味を真に理解するのはまだ先の事である。


次から本編に戻ります。

次回は9/4に投降予定です。

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