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真・恋姫†夢想~朱霊伝~「六人目の大将軍」  作者: 羅貫厨
2章・歌姫+黄巾=乱
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~黄巾の乱~飛将vs何最強の武

更新が遅くなりました。

すいません。

駄文ですがお付き合い下さい。

 ~黄巾第六軍本陣~



「…なぁ、凱。アレを止められると思うか?」



 高昇が言葉を吐き出す。



「正直、俺だけでは無理だな」


「やっぱ凱でも無理かぁ…。ありゃ本当に人間か?」



 何儀の返しに対し、黄巾軍本陣を目指し一直線に兵を割り進む呂布を見やり思ったままを口に出した。



「…少女にしか見えなかったが、戦場ではアレが天下に名高い『飛将』としての姿なんだろうよ」


「噂ってのは誇張されるモンだと思ってたんだが、アレに関しては噂以上だなぁ…」


「同感だ。気を付けるべき相手であるとは思っていたが、こちらも思い上がっていた様だ」


「んだな。で、どうするよ大将?」



 立ち塞がる兵を物ともせず死を振り撒いている呂布への決断を促す。



「伝令!全軍に撤退の銅鑼と共に『逃げ散れ』と」


「逃げ散れですか…?」


「そうだ。各自の判断でばらけて逃げさせろ。その方が敵の追撃を躱せる可能性が高い」


「!御意!!」


「行け」


「はっ!」



 伝令を飛ばし、轡を並べる高昇の肩に手を置く。



「…高昇、付き合って貰うぞ」


「良いぜ大将。いっちょ派手にやってやろうぜ!」



 何儀と高昇は味方撤退の支援の為、撤退の銅鑼が鳴ると同時に呂布へ向かって馬を走らせた。




 ~張闓隊~



 董卓軍を警戒し隊を動かさずにいた張闓の耳に鈍い銅鑼の音が聞こえた。



「……撤退の合図だな。董卓軍の追撃を防ぐ為に隊はこのまま現状で待機。董卓軍が動いたら一度弓を斉射してそのまま離脱するぞ」


「「はっ!」」



 配下に指示を出し呂布の位置を確認する為、戦場を一瞥した彼の目に本陣から二騎の騎馬が呂布へ向かって行くのが見えた。



(アレは何儀殿と高昇殿か?まさかとは思うが二人で殿をするつもりではあるまいな?)



 張闓にとって何儀は依頼主である。


 依頼された任務は果たせなかったとは言え、依頼主にまで死なれたとあっては今後の活動に支障が出るかも知れない。


 そして『別口で受けた依頼』の事もある。



「…おい、貴様」


「はっ!何か?」


「董卓軍が動いた後の指示は貴様が出せ。其れがしは何儀殿と高昇殿を迎に行く」


「承知しました。どうかお気を付けて!」


「うむ」



 何儀を死なせないと決めた彼は配下に指揮を任せ、100程の騎兵を引き連れ戦場を駆けた。





 ~呂布vs何儀~



 黄巾第六軍の本陣へ向かって猛攻を掛けた呂布は、何としてでも本陣へ行かせまいとする黄巾兵を相手に死を撒き散らしていた。


 ひと振り毎に軽く三十以上の兵の命が消えていく。


 それでも瓦解せず、自らの将を守らんと抵抗を続ける黄巾兵。


 これに対し呂布はある意味恐怖していた。


 今までは彼女の武が振るわれれば敵は瓦解し総崩れとなっていたが、この者達は逃げるどころか抵抗を強めて来たのである。


 呂布にとってそれは初めての事であり、今までに経験した事がない言い様のない恐れを抱いた。


 彼女が戦場に立ったのはその方が敵も味方も犠牲が少なくなるから。


『今回も敵が逃げ散れば良い』と思っていた。


 だが、黄巾兵は彼女の思いとは裏腹に命を捨てる選択をした。


 今まで経験した事のなかった『彼らの在り方』を彼女は理解出来なかったが故に恐怖した。


 だが、退かぬのであれば斬る他ない。


 彼女は得体の知れない恐怖を飲み込み戟を振るう。



「……!?」



 何かが飛来し、死兵と化した黄巾兵を斬り伏せていた呂布の足元を抉り轟音を響かせた。


 とっさの判断で飛び退き躱す事に成功した彼女が目にした物は鎖に繋がれ棘の付いた巨大な鉄球。



「いけるかと思ったんだが…。なかなかどうして上手くいかないものだな」


「アレが躱されるのかよ…。ったく、本当にヤベエ奴だなぁ」



 声がした方へ目をやると敵将と思しき二人の男。


 一人の男は手にした鎖を手繰り寄せ、地を穿ちめり込んでいた鉄球をいとも容易く手元に戻した。



「高昇、周りの兵達を退かせてくれ。まずは俺がやる」


「わかった。…お前らァ!!!撤退だ!!!固まらずに各自で逃げ散れ!!退け!退けぇ!!!」



 高昇は馬を走らせ呂布を足止めしようと奮戦していた兵達に撤退を促す。


 何儀は馬を降り呂布と対峙した。



「お前が呂布、か…。俺は何儀。黄巾党第六軍を率いている」


「……………」



 何儀の名乗りに沈黙で返した呂布。



「行かせて貰う」


「…来い」




 今ここに飛将と何一族最強と云われる武が激突した。




「があああああああ!!!!」


「……!」


 大きく振りかぶられた鉄球が目にも止まらぬ速さで投げ放たれる。


 呂布は直線的に投げ放たれたソレを僅かに身を反らす事で躱し、そのまま最大戦速で何儀に迫ろうとした。



「甘えよ!おらぁ!!!」



 投げた鉄球の鎖を強引に手繰り寄せる。


 鉄球は軌道を変え、斜め後方から呂布を襲った。



「……」



 呂布は戟を薙ぎ鉄球を打ち払う。


 何儀は鎖を握ったままその場で一回転し遠心力を使って鉄球で薙ぎ払う様に引き戻す。


 鉄球は地に着く事なく再度呂布を襲う。



「…!」



 弾いたはずの鉄球が間髪を入れず再度飛来した事に気付き、跳ねるように後退。


 空を薙いだ鉄球はそのまま何儀の手元へ戻った。



(ちっ。不意を衝いたはずなんだが、ああも簡単にとは。分かってはいたが勝てる気がしねえな…)



 思わず顔が歪む。


 必殺を以て挑み、不意を衝いて短期で終わらせようとした。


 だが、彼の不意を衝いた必殺の一撃は呂布という武人には通用しなかった。



(小手先の技で倒すのは無理だな。デカイ一撃を正面からぶつけに行くしかなさそうだ…)



 思考を切り替え鎖を操り車輪を描く様に鉄球を回す。


 巨大な鉄球が目にも止まらぬ速さで振り回され、『チッチッチッ…』と空を切り裂く音が不気味に響く…。


 この『チッチッチッ…』と言う音がする程の速度…。


 どれほどの速さなのかというと、飛行している『レシプロ機(プロペラ機)』のプロペラが回転する速度と同じと言えば分かって貰えるだろうか。


 鉄球をその速度で振り回せる何儀の力もまた異常である。



「行くぞ!!うおおおおおおお!!!」


「……」



 裂帛の気合と共に駆け出す。


 呂布が戟を縦に振り下ろし、構えるのが見えた。

 鉄球の威力が十分に発揮できる距離で大きく振りかぶり鉄球を投げ放った。










 はずだった。


 宙を舞ったのは鉄球ではなく彼の右腕。


 制御を失った鉄球は放り出され彼の遥か後ろで大地が砕ける轟音が響いた。



「…は?」



 何が起きたのか彼には分からなかった。


 何儀の腕を斬り飛ばしたのは呂布の放った衝撃波による斬撃。


 涼州の賊討伐で朱霊が『真空波みたいな物』と称していた物である。


 自身の腕を斬り飛ばされ呆然となっていた何儀にトドメを刺さんと呂布が突進した。


 何一族最強と云われた武が呂布に届く事は無かった…。













「やらせるかってんだよ!!!!!」


「!!??」



 何儀を討たんとした呂布の前を円盤状の巨大な何かが大地を削りながら通過、呂布の突撃を止めた。



「凱!!逃げるぞ!!」



 呂布を止めたのは高昇。


 牽制攻撃を仕掛け呂布を止め、呆然としていた何儀を自分の馬に引き上げると全速力で馬を走らせ呂布を振り切ろうとした。



「…逃がさない」



 指揮官を逃せば黄巾の残党が集結し再びどこかを攻撃するかもしれない。


 直感的にそう判断した呂布は彼らを逃がすつもりはなかった。



「いや、彼らは逃がさせて頂こう」



 追撃しようとした呂布だったが、彼女の前に張闓とその配下の騎兵が立ち塞がった。



「貴様達は呂布を足止めし、ここで死ね」


「「御意!」」


「では何曼殿、行きますぞ」


「あ、ああ…」



 だが、その張闓も配下に死ねと言い残し反転、何儀の鉄球を回収し何曼と共に戦場を離脱していった。




 主だった黄巾の将が敗走し、汝南に於ける攻防は終わりを迎えた。


 汝南を攻めた四万近い黄巾軍は呂布一人に対し、死者二万五千を超える被害を出し敗れたのである。


 ただし、これは呂布の望んだ結果ではなかった…。


 血に濡れ、死の充満した大地に佇み唇を噛む。


 極力犠牲を出さない為に戟を振るった彼女は、自らが必要以上に血を流してしまったと自責の念に駆られるのだった。

何曼さんがなんで生きてるのかは次回で書きます。

残り2回程何儀さんや月さん達を書いた後で波才率いる黄巾本隊との戦いを書くつもりです。

次回は8/29に投降する予定です。

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