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真・恋姫†夢想~朱霊伝~「六人目の大将軍」  作者: 羅貫厨
2章・歌姫+黄巾=乱
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~黄巾の乱~飛将呂布・前編

夏に入ってから遊びに誘われる回数が跳ね上がりまして更新が遅れております。

ごめんなさい。

今回も駄文ですがお付き合い下さい。

 ~豫州・汝南近郊~



 汝南へ進軍していた董卓軍は混乱していた。


 汝南に展開した黄巾第六軍に対し、連携して黄巾を挟撃するはずだった汝南の孔伷軍が董卓軍の到着前に壊滅したという報告を受けた為だ。



 汝南は河北に拠点を移す以前、袁家の本拠地とされていた都市である。


 その名残は根強く有力な軍閥を保有しており、それを纏めていたのが孔伷という男だった。


 その下には応邵・陳到・呂範・呂蒙・孟建・陳温・李術・陳祗・和洽といった者達が集っていたのだが、初戦にて総大将である孔伷以下、陳温・李術・陳祗・和洽が戦死。


 応邵・孟建が汝南での籠城戦に切り替えた為、全滅は免れたものの被害は甚大であった。



 猛威を振るう何儀率いる黄巾第六軍に対し、陳到・呂範・呂蒙が旗下の残兵を率いて董卓軍に合流、董卓軍に汝南軍の危機を知らせた。


 この為、董卓軍は合流した汝南の残兵を取込み、再編を余儀無くされていた。



「…正直、ここまで強いなんて思ってもみなかったわ。何進や斗和が言う程強くは無いと思ってたんだけど」



 汝南の敗残兵から報告を受けた賈詡は何儀率いる黄巾第六軍の戦闘力に舌を巻いた。


 確かに何儀個人の武力は特筆するべき物があるのだろうが、あくまでそれは個人の武の域を超えない物と予測していた。


 だが、黄巾第六軍三万は汝南軍七万を撃破し、軍としても恐るべき強さを示したのである。



「汝南に籠城した皆さんは大丈夫でしょうか?」


「籠城した応邵さんや孟建さんは無事だと思います。元は袁家の本拠地だけあって守りは硬いですので」



 心配する董卓に答えたのは呂蒙、字は子明。


『士別れて三日、即ち更に刮目して相待すべし』の人。


 現代日本では『男子三日会わざれば刮目して見よ』に変化している。



「黄巾軍と正面から当たるのは避けた方が良いだろう。我々との戦でその強さは実証された上、先の勝ち戦で士気も上がっている」



 言葉を投げたのは呂範、字は子衡。


 正史では孫策軍の金庫番みたいな事をしていた。


 孫権の代になると大司馬まで昇進している。


 後年は金庫番時代の金に厳しい性格から打って変わり、派手好きな性格になったものの仕事は真面目で法を尊重した人物。



「今からならば汝南攻略の為に攻城戦をしている黄巾の背後を衝けるかと思われます」



 進言したのは陳到、字は叔至。


 正史では趙雲共々『選り抜きの兵を指揮して勲功をあげた猛将』と讃えられた将。


 実は正式な記録が殆ど残っていない為、その人物像は窺い知れない謎の人。



「…分かりました。このまま進軍速度を上げ汝南を攻めている黄巾軍の背後を衝きます」


「「はっ!」」



 方針を定めた董卓軍は汝南の救援の為、黄巾の背後を衝く為に進軍を再開した。


 だが、彼らはこの後の展開を読み違えていた…。





 ~黄巾第六軍~



「なぁ、凱。このまま籠城した連中はほっといて良いのか?」



 問うたのは高昇。


 彼らは籠城した汝南軍に対し僅かな警戒の兵を向けたまま汝南の城に背を向けていた。



「構わない。元より城を攻めて民衆を苦しませるのは波才殿の望む所ではない。それより汝南救援の為に官軍が来る。そっちの方が問題だ」


「三傑が出張って来るかね?」


「どうだろうな。陳の旗と呂の旗が二つ戦場を離脱するのが見えたから援軍を呼びに行ったと踏んでいるんだが、どこの連中が来るかまではわからんな」



 言葉を交わしながら戦場を離脱して行った旗の方向を凝視する。


 何儀率いる黄巾第六軍は汝南を攻めず、敵援軍が来ると見越し迎撃の態勢を整えていた。



「はは!次は張闓と黄邵や何曼にも手柄を譲ってやらないとな。俺らが汝南軍を相手にやり過ぎたからあいつらに何もさせてやれなかったからなぁ」



 先の戦闘で大いに敵を打ち破ったからであろうか、高昇は上機嫌である。



「油断はするな。慢心は身を滅ぼすぞ?」


「わかってるよ。でも凱だって弟に手柄を立てさせてやりたいだろ?」



 ニヤニヤしながら何儀の肩に手を掛ける。



「俺は何曼が生き残ってくれさえすればそれで良いさ。あいつが無茶をしなきゃ良いんだがな」


「そこら辺は黄邵が上手く手綱を握ってくれるさ。所で弟の真名ってなんぞ?」


「本人に聞け。俺が教える物じゃない」


「何曼が教えてくれないんだよ!なんでだろうなぁ…?俺って嫌わ…、ちっ!敵だな」


「そうだな」



 言葉を交わしていた彼らの目に敵援軍と思しき軍勢が映る。


 その大将旗には『董』の文字。


 その周りには賈・陳・張・徐・呂・高の旗。


 内訳:【董卓・賈詡・陳到・張遼・徐栄・呂布・呂蒙・呂範・高順】



 軍勢総数四万と四千弱。



「…董卓軍か!」


「確か飛将って呼ばれる呂布とかいう奴がいる軍じゃなかったか?」


「ああ、これは骨が折れそうだな」


「わざわざ涼州からご苦労なこった」



 意識を戦闘に切り替え、敵陣を睨む。



「伝令!全軍に戦闘開始の合図を上げさせろ。それから真紅の呂旗には十分に警戒する様にと伝えて回れ」


「はっ!」


「…!いや、待て!!」


「は…?はっ!」



 伝令を飛ばし開戦に備えようとした彼の目に信じがたい物が見えた。


『たった一人』でゆっくりとこちらへ歩を進める武人の姿。



「なんのつもりだ…?」



 何儀にはそれが不気味に思えた。


 近づいて来るに見えるは一人の赤い髪の少女。


 人が振るうには大き過ぎる戟を肩に担ぎ、悠然と黄巾軍の眼前で歩みを止め、そして小さく名乗りを上げた。





「…恋は呂布。………来い」





 呟く様な名乗りを上げた少女はその武を以て黄巾軍を震撼させる事になる。




 ~董卓軍~



 汝南の城を前にした董卓軍は予想とは違い、黄巾軍が城攻めを行っておらず迎撃の態勢を整えていた事に驚きを隠せなかった。



「なんや、城なんか攻めてとらんやんか!ばっちしこっち狙っとるわ」


「あーもう!なんなのよアイツ等!?ちょっと陳到!聞いてた話と違うじゃない!」


「…面目ない。まさか城を前にしてこちらを迎撃する準備をしてるとは思いませんで…」


「へうう…。皆さん落ち着いてください~」



 予想外の事態に若干浮き足立った董卓軍であったが、



「問題ないでごわす。通常の野戦に切り替えれば良いだけの事でごわす」


「…然り」


「「……」」



 徐栄と高順の言葉により顔を見合わせながら落ち着きを取り戻した。



「ほんならどうすん?正面からやるんやったらウチと紅煉が先陣切りよるけど」


「そうですね。董卓様の軍は騎馬が主体ですので、張遼様と高順様が先鋒、中軍に我ら汝南軍と徐栄様、後軍に董卓様と賈詡様、呂布様でよろしいかと思います」


「そうね、ボクもそれで良いと思う」


「では、各軍開戦に備え準備を急いでください」



 張遼の言葉を皮切りに布陣の形が決まり、陣中が慌ただしくなる。



「ところで、呂布殿は…?」


「「え…?」」



 呂布の姿が見えない事に気付いた呂範の言葉に慌てて周囲を確認すると、敵軍に向けて戟を片手にゆっくりと歩を進める彼女がいた。



「あちゃー、こんなトコで恋の気まぐれが…」


「えええ!?止めないとまずいのでは!?」


「恋なら大丈夫よ。それよりこっちは布陣を急ぎましょ!」


「…それで良いのか?」


「…問題無い」



 比較的落ち着いた反応の董卓軍に対し、一人で黄巾軍へ向かった呂布を心配する汝南軍。


 この後、汝南軍の面々は呂布という一人の少女が持つ武に驚嘆する事となる。





 今、董卓軍が誇る『飛将呂布』の武が振るわれようとしていた…。





 ~呂布vs黄巾第六軍~



「…恋は呂布。………来い」


「たった一人でなにが出来る!!殺せぇぇぇ!!!」


「「おおおおおお!!!」」



 たった一人の少女の挑発に汝南軍を破り士気の上がっていた黄巾軍はそれに乗ってしまった。


 当初3万だった黄巾軍は汝南軍の投降兵を吸収、その数を四万近くまで増強しており、一人でのこのこ出てきた敵軍の将と思しき少女に我先にと突撃した。


 この兵の暴走は『黄巾兵だけ』なら起こりえないものだった。


 投降した汝南兵が功を上げんと逸り、動いてしまった汝南兵に黄巾兵が釣られる形となったのだ。



「ちっ、しまった…。投降した汝南兵を先鋒に置いたのは俺の失態だな…」



 暴走し勝手に突撃して行った兵を目にし、何儀は苦虫を噛み潰したように言葉を吐いた。


 呂布が隊を率いずたった一人で出てくるとは思っていなかった。


『たった一人で出てきた』という事実が兵達に相手を与しやすいと思わせてしまった。


 だが『呂布』とはいえ、たった一人でどうにかなるとは思えない。



「この戦の後で暴走した者達の処遇を考えんとな…」



 何儀もまた『呂布』という少女の強さを見誤っていた。


 その判断が彼らの悪夢の始まりだとも知らずに…。





「うおおおお!!殺せえええ!!!」


「続けえええ!!!」


「「おおおおおおおおお!!!」」



 呂布に対し突撃を掛けた黄巾兵。


 将が一人で出てくるなど良いカモでしかないとその首を狙い取り囲む様に殺到したが、



「…うるさい」



 呟きと共に振るわれた戟により砂塵と赤い花弁が宙に舞った。


 たった一度振るわれたその武。


 その一撃により彼女の周辺に群がっていた兵が根こそぎただの肉塊に変えられた。


 その数凡そ130。



「…は?」



 一人の兵が間抜けな声を洩らした。


 奇妙な感覚だった。


 目の前にいた味方が弾け飛び散ったのだ。


「…う、嘘だ…ろ…?」


 体の自由が効かず前のめりに倒れ、落下する様な感覚が彼を襲う。


 僅かに顔を動かし見えたのは胸部から上がなくなった自分のモノと思しき身体。


 意識が消える寸前に見えたモノは自分と同じ様に胸部から上を失った仲間達が次々と崩れ落ちる光景だった…。





 この出来事に呂布を囲んでいた黄巾兵達は戦慄した。


 呂布に斬り掛った者達は爆散とも言える形で粉々にされ、その後にいた幾人もの仲間が僅かな刻を置いて胸部から上が転げ落ちるという惨劇を目にしてしまったのだ。


 たった一撃で100人以上が粉々にされ、更に100人以上が胸部から上を失うという事象。



「…ぁ…ぅ、うわあああああ!?逃げろおおお!!!!」



 誰かが叫んだ。


 その悲鳴を合図に雪崩の様に崩れ、逃げ出す黄巾兵を逃がさないとばかりに無慈悲とも言える追撃を仕掛ける呂布。


 狩る者と狩られる者が逆転した瞬間だった。




『飛将呂布』が撒き散らす悪夢はまだ始まりに過ぎない…。


何儀さんと恋ちゃんをぶつける予定だったのですが、思ったより長くなりまして次回、若しくはそれ以降になるかと思います。

次回はなるべく早く更新出来るように頑張ります。

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