~黄巾の乱~朱家義勇軍と戦う理由
駄文の嵐です。
次からもっと駄文になります。
さて、黄巾が本格的に動き出したようです。
俺が戦場に立ったのは今までの中で二度だけ。
朱霊です。
覚悟はしてたけど万を超える戦争ですね。
緊張して吐きそうです。
壇上に上がった俺の眼前には一万の兵士たちのみなさん。
そしてそれを率いる朱家の面々。
俺は彼らに死ぬ覚悟を持って戦えと命じなければならない…。
家族がいるだろう。
恋人がいるだろう。
友人がいるだろう。
其々に守りたいものがある。
其々が心に抱くもの。
死ぬなとは言えない。
ここにいる全ての者が同じ死線に立つ。
「あー、この義勇軍を率いる朱霊だ。今までの厳しい調練を耐えここに集った諸君らに感謝を」
「そして、まずお前達に言っておかなきゃいけないことがある」
「正直に言おう。今回のこの黄巾の連中なんだが、相手も官軍と義勇軍だ」
俺の言葉にざわざわと動揺が走る。
気持ちは分かる。
朝廷から流布された情報では農民や賊の集まりで烏合の衆とされている。
情報操作は戦時の常だとは思うが、朝廷が味方に流した情報が嘘だらけとかねー…。
ま、こうでもしなきゃ黄巾の数は今の倍くらいまで軽く膨れ上がってただろう。
「黄巾が邑や街を襲い略奪をしているなんて話を聞いたことがあるか?」
「ないだろう?彼らは完全に統制された軍隊…」
「黄色を掲げ国家を救わんとする英雄達…。それが黄巾だ」
「彼らが冀州に来たのは意味もなく黄色を掲げ暴虐を働く無法者共を駆逐するためだった」
「黄巾の彼らが冀州に来てから賊の数は随分と減ったらしい」
「黄巾が立ち上がった今、この地にいる彼らの目的は強大な袁家の足止めだろう」
「はっきり言う。黄巾は明確な目的があってこの戦いに臨んでいる」
「朝廷側の上層部の目的なんて、自分たちの利権を守ろうとしてるくらいだろう」
「そして俺達、この義勇軍に大義なんてものはない」
「初めから戦う意味なんてこちら側には存在していない」
「この戦いに参加しても得るものは殆どなく、死んだものは犬死と言っても良いだろう」
「大義を掲げ、賊を討ち滅ぼさんとこの軍に参加した者達の中には落胆した者も多いはずだ…」
「去りたい者は去ってくれて構わない。それを咎めるつもりは無いし、咎められる者もいないだろう」
「戦う理由なんて無いも同然だからな…」
「だが戦争なんてモノは大概そんな物だ。なら俺達はどうすればいいのか?」
「答えは簡単だ。俺達は俺達のために戦おう」
「俺には俺が掲げる理想がある。俺はその理想のために戦う」
「お前達に理想はあるか?お前達には命を掛けてでも成し遂げたい志はあるか?」
「もし、お前達の中にそれがあるのならば俺について来い」
「もし、志半ばで倒れたのなら俺がその志を引き継ごう」
「覚悟を決めろ。その手を血で染めても志を貫く覚悟を」
「もう一度言う。去りたい者は去れ。それでもここに残る者達は俺の同志だ」
空間を静寂が包み込む。
だが、背を向け去りゆく姿は見えない。
どうやらここに集った連中は最高の馬鹿共らしい。
ニヤリと口元が歪む。
「どうやら、去る者はいないようだな」
「ようこそ朱家義勇軍へ。俺はお前たちを歓迎する!」
「さあ、始めようか。俺たちのための戦いを」
朱家義勇軍、静寂を以て始動。
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「あんた馬鹿なの!?なによアレ!?味方の戦意を削ぎ落としてどうするのよ!」
演説を終え、各軍団が慌ただしくなる中で壇上を降りたら玉蘭がえらい剣幕で詰め寄って来て首を絞められた上、思いっきり揺さぶられた。
「お、おおお、おち、落ち着け!?て、てか死ぬ…、し…」
「あんたなんか死んじゃえ!このお馬鹿!!!」
余程さっきの演説が気に入らなかったのか…。
開戦前に総大将の俺が死にそうだ。
「落ち着け玉蘭。あの演説は俺の指示通りだ」
助け舟を出してくれる森羅。
ありがとう、マジで危ない所だった。
「はぁ!?どういうことよ!?」
「ぐえぇ…」
納得いかないといった風にさらに俺の首が絞められる。
「今回の戦で、もし黄巾の将と舌戦になった場合の事を踏まえてのことだ。
相手がただの賊であるならばこんな事をする必要はなかったんだがな」
「…っ!戦意を上げるためではなく、戦意を下げられないための布石…」
「そうだ。始めからこちらに大義ありと戦意を上げてしまえば、相手の掲げる大義に飲まれる可能性の方が高い」
「こちらの戦う理由を各自の理想のためとしたのは大義に左右されない意志を持たせるため…」
「ああ、そうだ。…分かって貰えた所で、堕ちてるぞ」
「へ?」
「開戦前に総大将を再起不能にされては敵わんのだが…」
「………………………きゅぅ」
「あ、あはは…」
玉蘭の乾いた笑い。
なにはともあれ、朱家義勇軍は平原方面へ。
さて、冀州において集まった各軍の動きだが、
黒山黄巾6万に対し并州袁家2万、公孫度軍2万と孫家が2万の軍を率いて対峙しているらしい。
一方、黄巾の主力の二軍11万に対しては冀州袁家5万、并州袁家4万、朱家義勇軍の1万。
并州袁家の力もバカに出来ないらしい。
両袁家だけで11万の大軍。
孫家も含めれば13万になる。
これでまだかなり余力があるってんだからどれだけポテンシャルがあるんだろうか?
冀州袁家の先鋒は顔良、文醜。
中軍に張郃、紀霊。
本隊に袁紹、袁術。
参軍に田豊、張勲。
并州袁家の先鋒は呂威璜、趙叡、張楊
中軍に麹義、牽招。
本隊に淳于瓊。
参軍に逢紀、許攸。
正直に言うと并州袁家を舐めていた。
冀州袁家に比べると小粒感が否めないが、総合的なバランスは并州袁家の方が優れていると思われる。
配置として左軍に冀州袁家、中央に朱家義勇軍、右軍に并州袁家。
この配置は数の絶対数が圧倒的に少ない朱家義勇軍を左右の袁家が援護するためのものらしい。
初めは并州袁家を警戒していたんだが、并州袁家の総大将である淳于瓊は人が出来ているらしく、
「国家の有事に私情は挟まぬ」
と、正史の張遼みたいな事を言ってた。
これだけの人物がいて袁基みたいなクソが好き勝手してたとかね…。
朱家義勇軍の先鋒は第五軍団。
配置として
【第五】
【第三】【第二】【第四】
【第一】
こんな感じ。
布陣が終わり後は開戦を待つのみ。
眼前には朱家義勇軍。
その向こうに見えるは黄巾。
『ジャーンジャーン!!』
銅鑼が鳴り響く。
開戦の合図。
今、冀州に於ける戦闘の火蓋が切って落とされた。
次回は「平原の戦い」になります。




