~黄巾の乱~中華を覆う暗雲の根・1
昨日の内に投稿したと思ったらしてなかった…
申し訳ありません。
~某所~
とある玉座の間。
ここに天下を伺う一人の男がいた。
彼は不満だった。
女が統べる天下に。
かつての中華では女など取るに足らない存在でしかなかった。
後漢に入りその様相は様変わりした。
優秀な女が増え、男という存在の力が失墜していく。
彼が権力を手にした時、頂点にあった皇帝は女であった。
彼にとって女とは欲望の捌け口であり、政治世界を渡る貢物であり、世継ぎを産ませる為の道具に過ぎなかった。
道具が朝廷を我が物顔で闊歩し、あまつさえその道具が皇帝として頂点にある。
屈辱でしかなかった。
たかが女如きが臣民の頂きに置かれていることが。
故に画策した。
自らが皇帝として立ち、国を正しい形に戻さんとして。
少しずつ現皇室の力を削ぎ、新たに取って代われるように。
男たちが権威を取り戻すために。
儒教が招いた弊害である男尊女卑。
『万人分け隔てなく接するべき』というのが本来の教え。
ところが時代の経過とともに、どこから出てきたのかはわからないが妻は夫に身を以って尽くす義務があると言う考えが優先され、女は男を立てるのが当たり前となり、男尊女卑が出来上がった。
本来あるべき意味を履き違え、こじらせた結果がこの男である。
そして好機が訪れた。
黄巾の蜂起。
宮中で権威を振るう外戚の何進やそれに付随するもの達の排除に役立つと北叟笑んだ。
手を回し何進の名を使い関係した者、そして関係があると見做した民を処刑させた。
これで黄巾を鎮めるのに失敗させれば何進などを排除できる。
何進を排除した後は手の者を送り宮中を掌握し、朝廷の腐敗を理由に禅譲まで漕ぎ着けられるだろう。
問題があるとすれば禅譲対象が妹になる場合だが、年齢を理由に傀儡化されないようにと退ければ良いか…。
「失礼致します」
玉座の間に一人の翁が入ってくる。
彼が朝廷に送り込んだ手の者の一人。
なにか動きがあったか…。
「師父か…何用だ?」
「何進が三傑に召集令を出し、諸侯に鎮圧の勅を下しました」
報告に鼻を鳴らす。
「ふん、三傑か…。面倒な事を。諸侯はどうでも良い」
三傑が動けばこの乱は大した効果もなく鎮圧される可能性がある。
大人しく何進に従うとは思えないが、万が一のことも考えておくべきか。
「如何なさいましょう?」
「鎮圧されたら計画が狂う。督郵として左豊を送り込む手筈を整えろ。三傑が目障りになるようであれば兵権を剥いでも構わん」
「畏まりました。もし、黄巾の賊共が大した効果もなく鎮圧されるようでしたら次の手を打ちます故、ご安心を」
「ほう?まさかとは思うが…、『アレ』を使うつもりか?」
思わず身を乗り出す。
出来るならば表には出さないに越したことはないのだが、アレは確かに有効な手札になるだろう。
「事後処理が面倒ではございますが、間違いなく主上が皇帝に即位なされるための布石になるかと」
「ふむ。…万が一の事もある。準備はしておけ」
「ははっ!」
一礼し彼の手の者は玉座の間を後にした。
「もう少しだ…もう少しで我が天を掴む…クハハハ」
一つの書簡を取り出し北叟笑む。
書簡には、
『諾』
の文字。
恐らく密書の類であろう。
「最悪、洛陽を火の海に沈めねばなるまいな…」
そう呟き思考を巡らせる。
カラリと音を立て開かれたソレ。
『袁、韓、劉、王』
たったそれだけしか書かれていない書簡。
彼の黒い思惑が大陸を飲み込まんと根を張り始めた瞬間であった。
次回は動きます。




