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真・恋姫†夢想~朱霊伝~「六人目の大将軍」  作者: 羅貫厨
2章・歌姫+黄巾=乱
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〜黄巾の乱〜日輪を支える者

黒威 竜様、通りすがりの凡人様のお陰で馬休さんの真名の変換が出来る様になりました。

有難うございます!

 ~程昱視点~


 風はどうしたら良いでしょう?


 確証は無いのに確信してしまいました。



 お兄さんは『異端』だと。



 風たちが初めて会った時から始まり、洛陽で大喬ちゃんや小喬ちゃんに会った時、朱里ちゃんや雛里ちゃんの時も。


 お兄さんは同じ顔をされていました。


 そして、軍団編成の時に、



「歴史に倣うか…」



 恐らく自身でも気付いていないのでしょうが、すぐ隣にいた風だから僅かに聞こえた呟き。



 ―――『歴史』―――



 その歴史はどの歴史を指しているのでしょう?


 思わず体が震えてしまいます。


 今迄のお兄さんを観るに後漢以前の歴史ではないのでしょう。


 きっとお兄さんはこの中華の歴史を知っているのでは?


 そう考えると色んなことの辻褄が合うのです。


 風の夢のことを知っていたり、風たちを見て驚いていたこと、多くの医療知識や疫病対策。


 でも、お兄さんが朱儁さまの御子息であることもまた偽りのない事実。


 未来に生まれた方が過去に生を受ける…。


 そんなことがあり得るのでしょうかー?


 もし、風の推測が間違っていないのだとしたら…。


 お兄さん、お兄さんが映し出しているその瞳には何が視えているのですかー?


 風はお兄さんが視ているそれを一緒に視てみたいのですよ。



「…お兄さん」


「ん?」



 考え事をしていたらしいお兄さん。


 風は今からお兄さんに……、



「少しお話があるのですがー」



 お兄さんという日輪を支える為に一歩踏み込んでみるのですよ。



「話?どんな話だ?」


「それはですねー、ここではちょぴっと話にくいことなのでお散歩に行きませんかー?もう陽は落ちてしまってるでしょうがー」


「…??まあ、良いけど」



 お兄さんと連れ立って夜のお散歩です。


 春とはいえ、陽も落ちると少し肌寒いですねー。


 お屋敷を離れて邑の外れにある小川へ。


 お兄さんがちょっと大きめの岩に腰掛け、風はお兄さんの膝の上に。


 すっぽりとお兄さんに包まれ感じる温もり。


 風はこの温もりが大好きなのですよ。



「て、話ってのは?」


「…………」



 お兄さん、いけずです。


 ちょっぴり性急すぎませんか?



「ん?どした?」



 抗議の視線を送っても首を傾げるだけのお兄さん。


 むー、話があるからと言ったのは風だから仕方ないのですがー。



「えーっとですねぇ…風はお兄さんにお仕えすることにしたわけですがー…」


「あ、ああ…?そうだな?」



 怖いですねー。


 本当は黙っていた方が良いのでしょうが、風はどうにも我慢出来ないようです。


 ただのちっぽけな独占欲。


 秘密を共有して風がお兄さんの特別になりたいという女の子としての欲求。


 風は独占欲が強い方だと自覚はありましたが、自分でも思ってた以上に独占欲が強かったみたいですねー。


 だからこれは風のわがままなのかもしれません。


 それでも風はお兄さんのことをもっともっと知りたくて仕方がないのです。



「…本来のお兄さんの知ってる『歴史』だといまごろ風は曹操さんにお仕えしていたのではないですか?」


「…!!」


 あー、やっぱりですかー。


 風の推測は間違ってなかったみたいですねー。



「………」


「………」


「………」


「………」



 風が突ついた薮からはなにがでるんしょう?



「……いつから…?」


「違和感は始めからありましたがー、確信に至ったのは今日ですねー」


「…」


「お兄さんはご自分のことをあまり喋らない方だったので推測の域は出なかったのですが、今日の軍編成の時に星ちゃんと朱里ちゃんの編成で歴史に倣うか、と呟きが聞こえましてー」


「…!」



 顔を歪めて口を押さえているお兄さん。


 風は踏み込んではならない領域に踏み込んでしまったみたいですね。



「!」



 不意にギュッとお兄さんが抱きしめてきました。


 微かにお兄さんの体が震えているのがわかります。



「巻き込むつもりはなかったんだけどなぁ…」



 ポツリと漏れた言葉…。


 たった一言零れたお兄さんの覚悟…。


 風にはそれがとても愛おしく感じられるのはなんででしょう?



「たぶん位置的に風にしか聞こえてなかったと思います」


「そっか…」


「本当のことを教えていただけませんか?」


「それは…」


「風は…、風ではお役に立てませんか?」


「…聞いたら後戻り出来なくなるぞ…」


「風はお兄さんという日輪を掲げたのです。お兄さんを支えたいと風は望んだのですよ」


「ハハ…、…敵わないなぁ」



 小さく微笑みながら風の頭を撫でてくれるお兄さん。



「ふふふー。恋を知った女の子はすごいんですよ?」


「そりゃぁ敵わないわけだっと!」


「ひゃぁ!?」



 いきなり体を抱えて風を方向転換してくるお兄さん。


 正面からお兄さんに抱きつくような感じになってしまいました。



「ふぅ…。気をつけてたんだけどなぁ…。無意識で出てた言葉を聞かれてるとはね」


「は、はいぃぃ…」



 なんというか、恥ずかしいですねー…。


 たぶん風の顔は真っ赤になってるのではないでしょうか。



「知られてしまった以上は逃がすわけにはいかないな」


「ふ、風は逃げませんよー?」



 こ、これは堪りませんねー。


 ぐぃぐぃと風の心が押される感覚。


 お兄さんの色に染められていく風の心。



「なら、ずっと俺を支えてくれるか?」



 風がずっと望んでいたお兄さんからの言葉。



「風はずっとお兄さんの側にいるのですよ…」


「うん。よろしくな風」


「はいー」



 それからはお兄さんに色んなことを教えて貰いました。


 お兄さんがこの中華の歴史から見て1800年以上も先の未来で生まれ、気が付いたらこの地に朱霊として存在していたということ。


 私たちが歴史に名を残した存在で、お兄さんが知っていた人物のほとんどが男性であったこと。


 この中華の歴史が本来あるべきお兄さんの知っている歴史と大きく掛け離れてしまっていること。


 目の前に迫っている黄巾が本来の官軍対宗教団体とは違い官軍対革命軍の構図になっていること。


 このままいくと何進さんや月ちゃんたちが危険にさらされること。


 朱霊軍、冀州袁家、孫家、董卓軍、馬騰軍を曹操さんの下でひとつに纏め、漢を滅ぼして法治国家を興し曹操さんに新たな天下を獲らせようとしていること。


 そして、この世界が誰かの願望によって創造(つく)られた物である可能性が高いということ。


 お兄さんはその願望を叶えるための駒でしかない可能性が高いということ。



「知らない方が良かったんじゃないか?」



 風を抱きしめ優しく頭を撫でてくれるお兄さん。



「風は後悔なんてしてませんよ?」



 知ることを選んだからこそ、こうしてお兄さんを近くに感じられるようになったのですからー。



「ずっと風を側に置いておいてくださいね?」


「あー、出来る限り善処するよ」


「ふふー。独り占めはしないつもりですが、あんまり構ってくれないと…」


「報復が怖いので肝に銘じておきます!」


「むー。風はそんなにいじわるではないのですyっ・・・!?」



 不意打ちでサクッと唇を奪われてしまいましたー。






 風の初めてのくちづけは………秘密なのですよー。


次回はちょっと短いかもしれません

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