表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
真・恋姫†夢想~朱霊伝~「六人目の大将軍」  作者: 羅貫厨
2章・歌姫+黄巾=乱
33/268

~黄巾の乱~黄巾が掲げる偶像

女の子を文章で表すのって大変ですね。

男は結構楽なんだけどなぁ…

 ~青洲某所~



「「「「ほわぁぁぁぁぁ!ほわっほわっ!!」」」」



 辺り一面は黄一色。


 空を舞う黄巾と大地を震わす奇声。



「こいつはすげーなぁ…」


「この熱量…この気勢。滾るものがある」


「こりゃどれだけ集まってやがるんだ!?」


「恐らく三万人程かと思われますね」


「………………」



 男達は数え役満姉妹の公演が行われるという場所に来ていた。


 集まった民衆の数もそうだが、その民衆から発せらる熱気はとても熱い。


 たった三人の少女がこれ程の民衆の支持を受けている。


 男達には衝撃だった。



「これは圧巻だな。正直侮っていた。ここだけでこれ程とは」



 長い髭を撫でつけながら丁遠志が言う。



「兄者の言う事は分かるが、民衆は民衆だろ?数が集まっててもなぁ」


「いや、民衆だけいたって意味はないさ。きっと張曼成に考えがあるんだろうよ」



 訝しげる鄧茂に韓忠が言葉を投げる。



「民衆を矢面に立たせる様な真似はしませんよ。寧ろ狙いは彼女達を支持している豪族や為政者が狙いです。彼らを我々側に引き込む為に私達は此処にいるんです」



 そう言って二コリと微笑む張曼成。



「んなこと言ったってよ、其れならこんなとこに俺様達が来る必要あったのかよ?」



 鄧茂はまだ納得いかない様だ。



「いや、来た意味はある。俺達が動かなければそう遠くない内に賊の討伐を名目に民衆の虐殺が始まるだろう。それは未然に防がなければ」



 沈黙を守っていた波才が口を開いた。


 それを聞いた鄧茂は驚いた様に、



「はあ?そりゃどう言う事なんでぇ!?民衆は別になんも悪い事してねーじゃないですか!」



 と声を荒げる。



「いえ、波才殿の言う通りです。中央の上層部はこれだけの民衆の集まりは反乱を起こすかもしれないと言うだけで潰す可能性が高いでしょう」


「反乱の可能性があるかもしれないと言うだけで虐殺とは…」



 張曼成の言葉に丁遠志が表情を険しくする。


 鄧茂と韓忠の表情も固い。


 彼らの視線の先には壇上の主を心待ちにしている民衆の姿。



「いや、それは違う。今回の誅殺の件を含めてそう単純な物ではないな」



 波才の発した言葉に四人が目を剥く。



「それはどう言う事でしょうか?」


「見ていれば分かるさ」



 張曼成が聞くも短く返し波才は沈黙した。


 少しして音楽が流れ始め壇上に三人の少女達が姿を現わすと同時に、



「「ほわああああああああ!!!!!」」



 会場が爆発した。


 先程とは比べ物にならない程の熱気が会場を包み寄生が大地を震わせる。


 そんな中、壇上の中央にいた桃色の髪の少女が前に進み出て、



「みんな~!今日も私達の公演を観に来てくれてありがと~~!!」



 壇上の少女が声高らかに叫ぶ。


 それに合わせ、



「「ほわああああああああ!!」」



 民衆が奇声を上げる。


 それを見て満足したのか少女は微笑み、



「みんな大好き~~!!」



 と愛を叫ぶ。


 それに合わせ、



「「てんほーちゃ〜〜〜ん!!!」」



 民衆が叫ぶ。


 続いて青く長い髪を後ろで束ねた少女が進み出て、



「みんなの妹!」


「「ちーほーちゃ~~~ん!!!」」



 と続き、


 薄い緑の髪に眼鏡を掛けた少女が進み出る。



「とっても可愛い!」


「「れんほーちゃ~~~ん!!!」」



 更に沸き上がる会場。



「「「私たち数え役満姉妹!!!」」」



 の掛け声と共に曲が流れ少女達は歌いながら壇上を所狭しと踊る。



 絶え間ない歌と曲。


 そして衰える事のない歓声の中、破才が口を開く。



「彼女達は民衆の偶像に成れてしまった。成ってしまった。だから殺される」


「そう言う事ですか」



 波才の言葉で張曼成は全てを理解した。


 丁遠志、鄧茂、韓忠はまだ理解出来ていないといった風だ。



「彼女達はある種、民の希望だ。民衆から搾取する事に慣れ、民に奴隷である事を強要したい中央上層部にとって民衆に希望や原動力を与える彼女達は邪魔でしかない」



 波才の言葉に絶句する丁遠志達。



「中央上層部は民には希望など要らぬと言いたい訳か」


「やーれやれ。あの子達や慕ってる民は他の民達に対する生贄って事なのかい」


「クソが!フザケやがって!!」



 丁遠志達はそれぞれ憤慨している。



「それで、張曼成。彼女達にどう渡りを着けるつもりだ?」


「彼女達の有力な後援者に馬日磾と馬元義と言う兄弟がいます。彼らに私が入手した書簡を見せるのが確実かと」


「わかった。行こうか」



 波才達は会場を離れ後援者が集まっている陣幕に向かって行った。








 そこには数え役満姉妹の後援者達が集まっていた。



「いやー、今回の公演も大成功ですな」


「はっはっはっ!いずれ彼女達は大陸で一番の有名人になるやもしれませんね!」


「そうなれば我々も鼻が高いですな」



 陣幕の中は和気合い合いとしている。


 今回の公演の成功を喜び彼女達の飛躍に胸を踊らせる。


 彼らは歌と踊りで大陸一を目指す彼女達に期待していた。


 血を流さず大陸を変えていけるかもしれないと。


 と、其処へ一人の衛士が入って来た。



「失礼致します!陣幕の外に馬兄弟のお二人に会いたいと波才と申される方がお見えになっております!」



 衛士の言葉に顔を見合わせる二人。



「波才?聞いた事がないな。弟よ。お前はどうだ?」


「いや、それがしも心当たりはないぞ?どうする兄上?」


「まあ、悩んでいても仕方あるまい。会ってみよう。おい、波才殿に入って貰ってくれ」


「はっ!」



 衛士が陣幕を出て少しして男が二人入って来る。



「無理を言った様ですまない。俺は波才。こっちは…」


「張曼成と申します」



 と包拳礼をする。



「お会い出来て光栄だ。私は馬日磾。こっちは弟で…」


「馬元義と申す」



 と同じ様に包拳礼をする。



「して、波才殿。今日は何用で参られたか?」



 単刀直入に聞く。



「最近、数え役満姉妹の信奉者が賊徒に成り下がり略奪を働いている事を御存知か?」


「「なんだと!?」」



 彼ら後援者達にとってそれは寝耳に水であった。


 個人的な贈り物や、活動資金を提供する者達がいる事は知っている。


 その受け取り口になっているのも彼ら後援者達だからだ。


 しかし、数え役満姉妹の信奉者が賊徒化している話は知らなかった。



「そ、その話は本当なのか!?」


「ええ、間違いありません。しかも信奉者ではない賊まで真似をして黄色を掲げている様です」



 そう言うと張曼成は懐から一つの書簡を取り出し馬日磾に差し出した。



「こ、これは!?」



 顔が真っ青になる馬日磾。



「これは私が独自に入手した物で黄巾を掲げる賊を扇動した首謀者、つまり数え役満姉妹の誅殺指示書です」


「な、なんて事だ…何故こんな事に…」



 がくりと膝を付く。


 馬元義や他の後援者達も言葉を失っている。



「そ、そなた等は一体…?」


「俺達は彼女達を守り、利用する為に此処に来た。合わせて貰えるな?」


「…公演が終わった後でお引き合わせ致そう」


「わかった」



 こうして波才達は数え役満姉妹と顔を合わせる事になった。









 公演が終わり暫く経って陣幕に数え役満姉妹の少女達が戻って来た。



「はふぅ…歌ったねー!みんな楽しんでくれたみたいだし!」


「ちぃはもっと歌いたかったなぁ…」


「ちぃ姉さん大丈夫。またすぐ公演をする事になるから」



 きゃっきゃっと姦しく入った三人は陣幕の中の異様な静けさに不安を覚えた。



「え、えっと~?お疲れ様…?」


「みんなどうしたわけ?」


「何か変」



 困惑する三人に馬日磾が静かに近寄って行く。



「ば、馬日磾さん?どうした…の…?」



 馬日磾は思い詰めた様な顔で声を絞り出した。



「御三方にお話しなければならない事があります」








「なんで…」


「嘘…」


「~~!!」



 話を聞いた三人の少女達は絶望に落とされた。


 ただ歌う事が好きだっただけ。


 周りの人達が笑顔になってくれればいい。


 大陸一になって大陸中の人達を笑顔にしたい。


 そんな純粋な思いは醜い欲望に染まった一部の人間によって汚されようとしていた。


 絶望に落とされた姉妹に破才が言葉を投げる。



「馬日磾から話は聞いたな?俺は波才。お前達を利用しようとしている者だ」


「私達を利用…?私達に何をさせようとしてるんですか…?」



 波才に睨む様な視線を向ける少女達。



「ああ、言葉が悪かったか。別にお前達を利用する訳じゃない。お前達を支持してる有力者達を利用するだけだ。お前達がする事は公演を暫く控える事くらいさ」



 苦笑しながら訂正する波才。



「公演を控えるってどれくらいよ!?」



 青い髪の少女が不機嫌そうに聞く。



「さあな?俺達が勝てばすぐにでも再開出来るさ。俺達が負けたらわからんな。だがこれ以上目立てばお前達を守る事が難しくなる」



 波才は自分だってわからないという風に答える。


 わからなくて当然なのだ。


 だからこそ活動を控えさせるのだ。


 居場所を特定され命を狙われてしまったら元も子もない。



「私達は活動を休止するだけですか?」



 メガネをかけた少女は波才を信用出来ないという風に質問を投げかけた。



「ああ。それだけで良い。お前達は民に希望を与えられる存在だ。下手に動いて死なれちゃ困る」



 そう言いニヤリと笑う。



「だからお前達が被るはずの民や賊を扇動したっていう泥は俺が被ってやるよ。お前等もそれで構わないな?」



 四人に目を向け言葉を投げる。



「希望の光を絶やさぬ為ならば」


「聞くまでもねーよ!腹は決まってらあ!」


「以下同文」


「ご随意に」



 四人も覚悟は出来ている。



「これから忙しくなるな」



 先ず波才達が取り掛かったのは彼女達を支持している有力者達への根回し。


 これは後援者達に協力させ、各地の有力者達へ姉妹が誅殺されかけている現状を伝えに行かせる。


 その次に取り掛かったのが各地にいる信奉者が賊徒化しないように纏める。


 そしてその中から有志を募り民兵組織を作りあげた。


 次に黒山賊と白波賊の二つの大きな賊の集団を引き込む。


 これは賊と民を扇動したという事実を波才が被るためだ。


 組織した民兵部隊の調練や序列などを決め組織としての地固めと賊だった黒山と白波の規律の徹底。


 民の為に立ち上がる自分達が匪賊に堕ちない為に規律は厳格なものとした。


 次に意味もなく黄色を掲げる賊の排除の為各地に大将となる者を派遣する。


 冀州に丁遠志、鄧茂。


 荊州に張曼成、韓忠。


 中原に波才。


 これは既に成果が出始めており、帰順する者も少なくはない。


 従わなければ害になるだけなので徹底的に潰していく。


 順調に事は進んでいるだろう。


 既に志を同じくした同士たる諸侯や豪族が名乗りをあげている。


 筆頭に外戚である何進の一族である何儀。


 豪族の高昇、管亥、厳政、孫仲。


 義勇軍の周倉、裴元紹、廖化など。


 為政者からは宛太守の褚貢。


 鉅鹿太守の郭典。


 中常時の封諝、徐奉。


 有志は確実に増えていっている。





 ある時、波才の元に馬日磾が訪ねてきた。



「波才殿。貴方は何故この様な組織をお作りになられたのです?」



 投げ掛けられたその言葉に破才は微かに笑い、



「龍を癒し、国を立て直す為だ」



 と答えた。


 本来の歴史とは異なり、この世界の黄巾は民と賊の反乱などではなく、波才を中心とした黄巾党という革命軍として産声を上げつつあった。








 朱霊と波才。


 龍を殺さんとする者と龍を癒さんとする者。


 二人はまだお互いの存在すら知らない。

次回はどこにでもありそうな家族を書いていきたいなと思っています。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ