~龍を殺す者~白い猫と黒い猫 後編
お酒を飲みながら酔っ払った状態で打ち込みしてました。
結構な駄文が数珠繋ぎになってると思いますが宜しくお願いします。
袁基をぶっ飛ばしてから数日後。
袁基が慰み物にしていた女子達は全員が冀州袁家の保護下に置かれ、療養する事になったそうだ。
身体の傷は癒えても心の傷は癒えないだろう。
そして、その中に荀爽から送られた荀家の使用人が居たという事に驚いた。
荀爽は袁基がやっていた事を知っていた事になる。
袁基とその手下共は然るべき処罰を受けるだろうがそれだけだ。
処罰では生温い。
またいずれ自分の欲を満たす為だけに同じ事を繰り返すだろう。
反省してるとは思えない。
何しろ雲隠れしてやがるからな。
烈火には袁基の所在を探らせている。
袁基は荀爽の前で俺が殺す。
そして荀爽を潰す。
あれ以来、荀彧と荀攸は塞ぎ込んでいる。
男の醜悪さを知ってしまったからか、俺を除いて朱家の使用人の男は近寄る事すら出来ない状態。
森羅に至っては部屋から出て来ねえ。
直接その眼で現場を見てしまったからだろう。
執筆もせずひたすら酒を飲んでいる。
荀彧と荀攸、森羅のケアが優先だな。
とは言っても荒療治だが。
先ずは二荀の所へ。
二人に貸している部屋の扉を軽く叩く。
「志牙だ。少し良いか?」
「…いいわよ」
返事を確認してから室内へ。
「少しは落ち着いてきたか?」
「少しはね…」
「多分大丈夫」
ただの強がりだろう。
表情は冴えない。
「先に言っておく。今烈火に雲隠れした袁基の居場所を探らせている」
二人は僅かにこちらに目を向け、
「何のために?」
袁基の名など聞きたくもないと言った風だ。
「荀爽の前で殺す」
「「………」」
「袁基もクソだったがこの国には同じ様な事がいくらでも転がってるだろう」
二人は黙って俺の話を聞いている。
「恐らくこの国を内側から変えて行く事は無理だ。だから…」
「「だから…?」」
「龍を殺す」
「「!?」」
龍とは劉。
龍を殺すという事は、つまり漢を滅ぼすと云う事だ。
「龍を殺し、儒教という膿を洗い流す。その為にお前達に協力して貰いたい」
「私達に何をしろと…?」
「それ以前に何をするつもりなの?」
二荀の瞳に僅かに光が灯る。
「荀爽が中央と繋がっているのなら、荀爽を介して宣戦布告する。直接言う様な真似はしないが龍を殺すと言えば察するだろう」
「無茶よ!個人で動いてどうこう出来る物じゃ無いわ」
「だからお前達に協力して貰いたいのさ」
「私達が協力したくらいでどうにかなると思ってるわけ!?」
「お前達だけ、なら無理だ。ま、考えがある。今は言えないがな」
冀州袁家と孫家、公孫賛、劉備。
そしてまだ見ぬ曹操。
俺の知っている歴史とは大分掛け離れたこの世界だが、元を知っているだけでも大きなアドバンテージになる。
二荀が言っていた。
曹操は無位無冠だと。
曹操は黄巾の時、朱儁や皇甫嵩の下で働き功を上げた。
此処では俺が朱儁や皇甫嵩の代わりに功を上げさせてやる。
そして反董卓連合で冀州袁家、孫家、公孫賛、劉備、曹操を纏めてしまえばいいだろう。
冀州袁家と孫家の仲が良好ってのは今の俺にとっちゃ僥倖だな。
孫家の家臣をまだ見たことは無いが……。周瑜とかね。
董卓軍と馬家の情報も必要だな。
後は呂布か…。
劉表と劉焉は……放っといて良いだろう。
劉の二人には最後の生贄になってもらうつもりだし。
「はぁ…言えないって何よ?協力しろと言っておいて考えてる事は言わないなんて都合が良すぎるんじゃないの?馬鹿なの?」
流石にこの時代の歴史をある程度把握してるから先手打ちまくれるなんて言える訳がないだろう。
「教えちまったら面白くないからな。ただ、俺が見据えてる理想と言うか、俺の道は教えておくよ」
「下らない話だったら蹴り入れるわよ?」
蹴りは勘弁して欲しいなぁ…。
「儒教国家である漢を滅ぼし、新たに法治国家を創る」
「「!!」」
「今はまだこれしか教える事は出来ないけど、いずれ時期が来たら話す」
「あんた、この国の儒者全てを敵に回すつもり?」
「初めからそのつもりさ」
そう言い部屋の扉を開ける。
「ま、考えておいてくれ」
考えさせる事で少しは立ち直ってくれるといいなぁなんて思いながら部屋を後にした。
そして俺は酒瓶片手に森羅の所へ。
「入るぞ」
問答無用で部屋の中へ。
「志牙…か」
森羅の近くで腰を下ろす。
「塞ぎ込んで酒煽ってるだけだと気分は晴れないだろうからな。愚痴を聞きに来た」
持ってきた酒を森羅の盃に注いでいく。
「志牙。俺はあの日、陵辱されていた女子達に姉や妹達を重ねてしまった。親が決めた望まぬ相手に蹂躙されるのかとな」
酒を煽りつつ言葉を吐き出し始める。
「俺は人が好きだ。人生を謳歌し、友情を成し、愛を語り、子を慈しむ。そんな人間が好きだ。
だが、そんな細やかな幸せを奪うことに愉悦を覚えるクズ共も存在する。
…俺は直接奪われた者を見た。生きているにも関わらず死んでいる。そんな目だった…。あの目が忘れられない」
トラウマになってるみたいだ。
俺も見ていたら同じ様になっていたのかもな。
「アレがこの国の現状の縮図なのだと分かってはいたつもりだったんだが、俺には覚悟が出来ていなかったらしい」
「頭の中で理解するのと直接見るのでは違うさ。俺だって森羅の立場だったら同じようになるだろうしな」
酒を煽り更に酒を注いでいく。
「で、志牙よ。どれだけの血を流すつもりだ?まさか慰めに来ただけなんて事はないだろう?」
察しが良すぎるぜホント。
盃を煽り一言。
「…龍を殺す」
「…………」
沈黙と共に酒を飲み干す森羅。
そして真っ直ぐ俺に向き直る。
「この司馬懿仲達。最後まで付き合おう」
「頼むぜ、艶本軍師殿」
「誰が艶本軍師だ!…全く。こんな時くらい締めれば良い物を…」
明確な目標は力となる。
きっと森羅は司馬懿仲達としてこれからも迷うのだろう。
自分の中の矛盾に。
平和を願いながら血を流すことに。
きっとそれは俺もだろう。
だが、その矛盾を呑まなければ何も変えられない。
全ての人が幸せになるなんて無理だ。
少なくとも袁基みたいなヤローに幸せになって欲しいなんてこれっぽっちも思わない。
俺は俺が幸せになって欲しいと思うものの為に、俺が、俺達が幸せになる為に理想を振りかざす。
さぁ、これから忙しくなるぞ!
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それから暫く経って烈火が袁基を引き摺って来た。
恐らく見つけた時にボコボコしたのか、まるでボロ雑巾みたいになってた。
「…これ死んでないか?」
「多分生きてると思うぜ?ちょいとやりすぎたかもしれねーが、どうせ殺るんだろ?」
そうなんだけどさー。
コレじゃ袁基かどうか見分けつかねえ…。
せめて顔は判別出来るくらいには抑えて欲しかったな。
まぁ、荀彧と荀攸が一緒だから問題はないだろう。
「烈火。みんなを集めてくれ。荀爽を潰す段取りを話合いたい」
「あいよ。居間で良いか?」
「いや、俺の私室で頼む」
「了解」
少し経って俺の私室に森羅、烈火、荀彧、荀攸、そして縛られたボコボコの袁基。
荀爽を潰せば荀彧と荀攸は自由になれるだろう。
俺にとっては理想への第一歩だ。
袁基の血を以て宣戦布告の狼煙とする。
「さぁ、そろそろ始めようか」
まだまだ続きます




