~志牙と愉快な仲間達~朱霊と宣帝
~志牙と愉快な仲間達~編は一度終わります。
さて、今俺は個人的な買い物の為に街へ出てきております。
朱霊です。
買う物は衣類と食材。
先ずは衣類を買いに服屋へ。
この世界、後漢時代であるにも関わらず色々ぶっ飛んでまして。
服屋にはメイド服、ナース服、バニースーツ、ゴシックロリータ系、どこぞのセーラー服とかあるんですよねー。
コスプレ衣装ばっかじゃねーか。
どうなってんだホント。
ちゃんと普通の服も置いてありますよ。
今回、服屋での目的は鍛錬用に着る服の新調で御座います。
出来るだけ簡素で丈夫な奴を購入。
服屋はこれで用済み。
お次は食材。
と言うかおやつの材料。
ちびっ子や女の子達のご機嫌取りに甘いものは欠かせないのですよ。
ヘソ曲げた時なんかには絶大な効果を発揮してくれます。
お試しあれ。
で、材料なんだけど此れまたこの時代にはなかったやろって物が色々鎮座してるんですよねー。
バナナとかどっから取り寄せたんだよ…。
他には乳製品、ナッツ系やカカオ、ヤシの実なんかもあるんだが…仕入先が気になる。
芋があった時点で可笑しいなとは思ってたんだけどねー。
この世界普通じゃねえ!
ま、あるものは利用するけどね。
カカオがあるからチョコ作れそうだけど、生憎チョコの作り方知らねえ。
なので普通にバタークッキー作ります。
買い物を終えて帰路に着いた所、酒屋さんから出てきた同い年位の女の人とぶつかり買ったばかりであろうお酒を落として割っちゃうっていう事故が起きました。
「すいません!大丈夫ですか?って大丈夫じゃないな、酒が」
「ああ、此方こそ済まないな。…あー、酒が…」
……男の声だった。
男なのかよ!
いや、今はそんな事より酒だ!
「あ、弁償しますよ!」
と、酒屋に入っていこうとしたら、
「いや、俺が今飲もうと思ってた奴はコレが最後の品だったんでな。もう店にはない」
おっふ…!ねえのかよ……。
「そうだな…替りと言ってはなんだがそこら辺の店で酒を奢ってくれ。今飲みたい気分なんだ」
どうやら店を出て飲もうとした瞬間に俺がぶつかったらしい。
昼間から歩き酒するつもりだったのかコイツ…。
「そういう事だったら近くの飯屋に行きますか」
「ああ」
という訳でやって来ました飯屋。
飯屋に着くまで少し話したんだがとんでもない奴だった。
一緒に卓に着いたコイツは……、
『司馬懿仲達』
いやー、聞いた瞬間ビビったね。
しかも同い年。
あの司馬懿ですよ!
三国志好きなら誰でも知ってる超有名人。
話を聞いたら河内から父親である司馬防と姉の司馬朗と一緒に荀爽の私塾の見学に来てたらしい。
が、司馬懿は私塾に興味が無かったらしく一人でぶらついていたらしい。
んで、現在に至る。
まー、この司馬懿。
飲むわ飲むわ。
ちっとは遠慮しろよ。
ま、気が合うのか司馬懿と話す他愛無い話は楽しかった。
会計が終わったら随分と財布が軽くなってたわチクショウ!
此れが俺と司馬懿の出会いだった。
其れからは司馬懿が南皮に逗留してる間、結構な頻度で奢ったり奢られたりしながら交友を深めてた。
ある日、司馬懿が河内に帰るからと最後にまたいつもの様に飯屋へ。
早速、出された酒を飲み始めた司馬懿。
「うむ。美味い。所で朱霊。お前儒教をどう思うよ?」
唐突にそんな事を聞いてくる。
「俺の個人的な意見で良いなら言うが」
「構わんよ」
「――正直、邪魔だな」
俺の言葉にピクリと反応する司馬懿。
「ほう?何故そう思う?」
「儒教ってのは欲に塗れた豚共の都合の良い道具だからな。
儒者の殆どが徳がどうこう言いながらやってる事は糞以外の何物でもない。国を腐らせる原因でしかねーよ」
俺は自分の考えをぶち撒ける。
司馬懿は我が意を得たりとばかりにニヤりと笑い、
「その通りだ。腐れ儒者共は口では随分と立派な事を宣っているが、やっている事は犬畜生にも劣る。
ま、俺の家族も腐れてるんだがな……。
父は姉や妹達を道具としてしかみていない。姉や妹達も其れを受け入れてしまっている。諦めと共にな…。
其れは司馬家だけではない。そしてこの国には腐れ儒者が蔓延り国を腐らせている――」
遣る瀬無いといった風に盃を煽る司馬懿。
家族仲が良好な俺にとって司馬家の実情は想像し辛い物があるが、此れが現実なんだろう。
そして其れはこの国では当たり前の事になっている。
「お前はどうすればこんな腐れた世が真面になると思う?」
酒を煽りつつ言葉を投げてくる。
きっと司馬懿の中ではもう答えは出ているんだろう。
「漢を滅ぼす。んで、新しく国を作り儒教を廃せば良いのさ。
……まぁ、いう程簡単な事では無いがな」
「気まぐれで聞いたとはいえ、俺と同じ考えを持つ奴がいるとはな……。 随分と奇妙な縁もあったものだ」
俺の言葉にフッと笑いを溢す司馬懿。
「今日は良い日だ…格別に酒が美味い」
ポツリと呟く。
「南皮に来ても無駄に刻を過ごすだけだと思っていたんだが、お前に逢えた事で有益な物に変わった。感謝してる」
なんてクサイ事を言ってくる。
「俺も楽しかったぜ。また機会を作って二人で飯でも食おうや」
うん。俺も大概だな。
司馬懿は俺の盃に酒を注ぎ、自分の盃にも酒を注ぐ。
そして盃を掲げ、
「森羅だ」
そう言い自らの盃を煽る。
「志牙だ」
真名を預け同じ様に掲げた盃を煽った。
この日酌み交わした酒は格別に美味かった…。
司馬懿と出逢ってから暫く経ったある日。
俺の元に森羅が訪ねて来た。
「志牙。俺を朱家の末席に置いてくれ」
どうやらウチに席を置くらしい。
「森羅だったらもっと良い仕官先があるだろうに」
「いや、俺は戦略や戦術の指南書の執筆活動をしていてな。まだ仕官するつもりは無かったんだ。」
「ん?なら何でウチに?」
「ある奴から仕官しろと催促されてたんだが、執筆活動が忙しいからと断ったにも関わらずしつこくてな……。
居留守を使ったり仮病使ったりして逃げてたんだが、今回の使者が縄でふん縛ってでも連れて来いと言われたとか抜かすから志牙の所へ逃げて来た訳だ」
相手は曹操だな。
有名な話じゃねーか。
「んで、ウチで静かに執筆活動に勤しみたいと…」
「まあ、そういう事だ」
「構わないぜ。とは言え俺も袁家に世話になってるだけなんだがな」
「其れは好都合だ。ゆっくり執筆活動に専念出来る。機会があれば志牙にも読ませてやる」
「へえ?森羅の指南書ね。是非見てみたいね」
あの司馬懿仲達の指南書とか激レアだわ。
こうして森羅が朱家に入った。
後日、森羅に誘われ指南書を見せて貰う事になった。
「いずれお前も朱家を継ぐ事になるだろうからな。必ず役に立つ筈だ」
そういうと一つの書を放って来た。
「そいつは楽しみだ」
放られた書を掴み取り確認する
「……………………」
【猿でも分かる房中術】
~初めての逢引から閨まで~
著:【森羅】
………艶本だった。
次回から~龍を殺す者~編になります。




