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真・恋姫†夢想~朱霊伝~「六人目の大将軍」  作者: 羅貫厨
3章・董卓+何進=動乱
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~洛陽動乱~想いを継ぐ者・前編

書き上がったので投稿します。


実は昨日の内には書き上がっていたのですが、見直していたらなんかコレじゃねぇなとなりまして大幅に書き直しました。


書き直したにも関わらず駄文の嵐ですがお付き合い下さい。

 厳顔に腕を引かれるままに居間へ引き摺り込まれた審配。


 姿を現した審配に月英が一瞬顔を強ばらせたものの、直ぐに平静を装う。


 娘が傍にいる為だろう。


 その顔に笑みを貼り付け厳顔と審配の前に茶杯を置き、静かに茶を注いでいく。



「…どうぞ」


「有り難く…」



 月英に淹れられた茶をひと口煽る。



「…旨い」


「―そう、ですか…」



 先程は感情を抑える事が出来ず、審配を殺そうとした月英とそれを受け入れた審配。


 二人の間を居心地の悪い空気が支配していく。


 韓忠と敵対していた審配ではあるが、韓忠を討ったのは彼ではない。


 だが、韓忠と敵対していた事も揺るがぬ事実。


 しかし君命があったとはいえ、夫の願いを受けてこの場にいる事もまた事実なのだろう。


 月英の中では審配をどう扱って良いのかが分からずにいた。


 韓忠を討ったのが審配であったのならどれだけ楽であったことだろうか。


 この場に娘が居る為、審配に自身が抱える憎悪を向ける訳にもいかない。


 彼女の中で遣り場のない感情が蠢いているのは誰の目から見ても明らかだった。


 母が偽りの笑みを貼り着けている事に娘も気付いているのか、茶杯を両手で抱え俯いている。


 そんな中、



「かぁ~!酒が五臓六腑に染み渡る!茶も旨い!」



 厳顔が場の空気を払拭するかの様に酒気を帯びた息を吐き出し、



「む~?審配殿!杯が進んでおらぬ様だな?やはり茶ではなく酒の方が良かったのではないか?」



 酒と茶を交互に煽りつつ厳顔が審配に絡んだ。



「いや、茶で結構。この場で飲んでも酔えるとは思えんしな」


「そうか。ではこのままズルズルと長引かせる訳にもいかんな」



 再び審配に酒の誘いを断られた厳顔の目が月英の娘を捉えると順繰りに部屋にいる者達へ視線を投げていく。


 その目は先程まで審配に絡んでいた酔っ払いとは思えぬ程に力強く鈍い光を湛えている。



「桔梗……?」



 月英が訝しげに声を掛けた瞬間、



「審配殿。敵だった貴殿から見て大和…、韓忠はどんな男であった?」


「「「――!!!」」」



 この場にいる者達が避けていた話を厳顔が切り出した。



「お、おい、ババ……!」


「あん!?」


「……厳顔殿!その話はお嬢様の前でする様な事じゃねぇだろ!?」



 周倉が慌てて厳顔に食って掛かるものの、



「黙っとれひよっこ!戦が終わっても父親が戻って来ぬのであればいずれ璃々も気付く。先延ばしにするぶん傷は深くなるだけじゃわい!」



 一括されてたじろぐ。



「それでも…何も今言わなくても良かったじゃないの……」



 厳顔の言葉に理解は示すものの審配の存在が気に掛かるのか、月英の目が恨めしげに審配を捉えている。



「早いか遅いかの違いしか無いだろう?今言っとかんと時間が経つにつれて言いにくくなるだけじゃわい」



 だが、厳顔が月英の言葉を切って捨てた。



「それは…そうかもしれないけれど……」


「おとーさん死んじゃったの……?」



 そこへ俯きながら沈黙していた少女が、誰もが口にするのを憚かんでいた『父親の死』を口にした。



「璃々……えっと、その……」


「あ、いや、お嬢様……」



 少女の投げ掛けた疑問にどう答えて良いのか分からず、しどろもどろになる大人達。



「ごまかさなくたっていいもん!この人たちが来てからおかーさんずっとこわい顔してるし……」


「ち、違うのよ璃々!」


「なにがちがうの?」


「う…、それは……」



 月英は少女の言葉に慌てて取り繕う言葉を探すが、見つける事が出来ず助けを求めるかの様に厳顔を見た。



「紫苑。誤魔化すな。お主が思っておる以上に子供の成長は早い。

 それに、璃々は頭の良い子だ。もう大和が帰って来ぬ事は理解しておるだろう。ちゃんと娘と向き合ってやれ」


「…そう、ね」



 厳顔に逃げ道を塞がれた月英。



「……璃々、向こうのお部屋でお母さんとお話しましょうか」


「…うん」



 優しく娘を抱き寄せると話をしようと言葉を掛け、その手を引いて居間を後にした。



「厳顔殿。いささか急過ぎたのではないか?月英殿にも心の準備というのがあるだろうに」


「いや、紫苑の事だ。あのままズルズルと引き摺ったままにしていては永遠と娘に父親が死んだ事を伏せていた可能性がある。

 それに親子で向き合えばアレも大和の死を受け入れられるだろうよ」


「ふむ。そうであれば良いのだがな」


「さて、紫苑がおらねば茶も乾く。どうだ審配殿、一献傾けぬか?孺子達も飲むであろう?」


「…そうまでして其れがしに飲ませたいのか……」



 月英が娘と共に居間を出て行くのを見送った厳顔が徳利を掲げニヤリと北叟笑んだ。



 ◇◇◇



 居間を出た月英は娘の手を引き寝室へ入り、寝台に二人で腰掛けた。


 娘の目を見た月英は何から話して良いのか迷っていたが、



「…おかーさん。おとーさんは死んじゃったの?」



 娘が居間で口に出した疑問を再び口にした。



「…ええ。お父さんは……っ……ぅ………」



 娘と二人きりという状況だからだろうか、韓忠の死を認めようと娘に言葉を返そうとした月英は最後まで口にする事が出来ず嗚咽が漏れた。



「璃々…。お父さんとはね、もう…会えなくなっちゃったの……」



 愛する夫を失い、二度と会う事が出来ないと認めてしまった。


 認めたく無かった。


 だが、自分を真っ直ぐに見つめてくる娘の二つの瞳がそれを許してくれそうにない。



「ごめんね璃々……ごめんね…」



 何に対して謝っているのだろう…?



 自分自身で何故謝っているのか分からないにも関わらず、口から零れ落ちるのは嗚咽と謝罪の言葉だけだった。



「…ひっく、ひっ…おかーさん……」



 母の流す涙と嗚咽に感化されたのか、それともようやく父親が死んでしまったという実感が寂しさと共に込上げて来たのか娘の頬に涙が伝う。



「ごめんね、ごめんね…」


「うわあああああん」



 母は優しく抱き締めるように娘の体を引き寄せ共に涙を流す。


 娘は優しい母の温もりの中で止めど無く涙を流し続けた――



 ◇◇◇



 その頃、居間では、



「そうかそうか!大和の奴大したものではないか!あ、気を悪くしたのならすまぬ」


「其れがしは事実を述べたまで。先程言った通り、韓忠殿の弓の腕前は見事な物だった」


「いやはや、三傑とまで謳われた朱儁将軍にそこまで言わせるとは…」



 韓忠の誇った弓の腕前とその武勇伝を酒の肴として話に華が咲いていた。



「それにしたってよぉ、何だったんだよあの黒ずくめの連中はよぉ…」


「全くです。弩でさえ弾き返す強度を誇る盾と鎧…。

 彼らのお陰で我々は接敵前から戦意を奪われる形になってしまいましたからね」



 先の戦いを思い出したのか、廖化と周倉の表情が曇る。



「ああ、アレは蔣寄の率いる重装盾兵隊だ。

 羅馬(ローマ)から取り寄せた鋼鉄製の鎧と盾を装備した部隊でな。朱家が率いる部隊の中でも屈指の防御力を誇っている」


「たった一戦で張曼成様を討った臧洪隊といい、攻めの朱儁配下はとんでもない部隊ばかりだ…」


「その重装盾兵隊の足を弓ひとつで止めた上、臧洪を一矢で射抜いたのは貴殿らの主だぞ…。こちらとて驚かされたのだ」



 各々が想いを馳せる様に口を開き、先の戦を過去の物とする様に酒と共に飲み干して行く。


 そこへ、



「随分と話に華が咲いているようね」



 いつの間にか戻って来ていた月英が声を投げた。



「おう紫苑。随分と吹っ切れた様な顔をしているな。璃々はどうした?」



 厳顔が振り返り月英の顔を見てニヤリと笑った。


 赤く腫れ上がった瞼がどれだけの涙を流したのかを雄弁に物語っている。



「泣き疲れたみたいで今は眠ってるわ」



 厳顔の問いに言葉を返すと月英はニコリと微笑み卓に着いた。



「飲むか?」


「ええ。貰えるかしら?」


「うむ」



 月英が手に取った盃に厳顔が酒を注いでいく。


 それを見つめる月英の顔は憑き物が取れたかの様にさっぱりとしたものだった。


予定としては次回で審配さんメインのお話は終わります。


次回の投稿予定も未定です。

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